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2010年6月 5日 (土)

介護費用の見積り

資産運用において住居、保険、車、教育など人生の大出費の傾向と対策については、巷の本や雑誌で紹介されています。どれもカット&セーブしましょう、できますよ、と喧伝されていますが、私はここにひとつよく考えるべき事象があると思います。それは老後に介護が必要になったときのことです。

老後費用について、個人投資家の皆さんは毎月、毎年の費用をそれなりに見積もり、これに対して公的年金+運用資産取り崩しでまかなうよう想定していると思われますが、老後の費用の使われ方については、最後まで自分自身でコントロールできない可能性があることを考慮すべきです。

現実的に言えば、大抵の人が、老後、早ければおそらく70歳代半ば、通常なら80歳前後くらいで認知症あるいは生活に支障がでるくらいの「ボケ」、さらには自活するために必要な体力や健康状態が維持できず怪我や病気に陥る状態が想定されます。

高齢者が自活できない要介護状態になったとき、子供達がフルサービス介護をするとなれば、彼らにとっては、介護に関して体力、精神、経済各面での負担はものすごく膨らむ恐れがあります。ともすれば子供達の生活を一定期間、あるいはそれ以上に破壊してしまうやもしれません。

そこで私の場合、夫婦とも心身が以上のように通常生活に支障をきたすようになれば、子供達の負担を最小限にすべく、自宅を出てきっぱりと老人介護施設にはいることを念頭においています。現在の自分の親のケースから必要となる費用を見積もっており、この資金繰りも考えねばなりません。

老人介護施設といっても実態としては色々あり、社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームへの入居が先ず考えられます。このようなところは比較的安価ですし、以前よりは設備仕様も改善されています。(その分コストアップも招いていますが)

しかしながらどこも供給不足であり、大都市圏だと1箇所あたり入居待ちが数百人と伝聞されるところもあるくらいです。また入居予約をして空き待ちであっても、あとからより重症な要介護者が申し込んでくれば、そういった人に優先して空き部屋があてがわれますので、普通(?)の入居待ち高齢者の場合、入居が先か、葬儀が先かということになりかねません。

そうなると特別養護老人ホームへの入居が困難であれば、次善策として民間企業の有料老人ホームを利用するほかありません。昔からよくイメージされる老人ホームの類には入居時の保証金が数百万もかかるところもめずらしくありません。(社長がマスコミによくでてくる某居酒屋チェーンがグループ展開する有料老人ホームなんかもそうです。)

このようなところはちょっと敷居が高いです。次に考えられるのは昔コムスン、今ニチイが経営しているような施設であり、事業者も数多くいます。このへんのところは入居時の保証金も数十万レベルです。

いずれにしても上記のような有料老人ホームに入所した際の費用は一般に150~300千円/月といわれています。

ちなみに現在、こうした有料老人ホームに入居している私の母親の事例を紹介すると以下のとおりです。

1)有料老人ホームの入居費用       :180千円/月
2)施設かかりつけ医の往診、薬の処方代 : 10千円/月
3)オムツ他備品                : 10千円/月

上記合計で200千円/月です。実のところ母親が自宅で一人暮らしをしていても食費、水道光熱費、雑費、在宅介護サービス費などを積み重ねれば、やはり月額十数万円くらいはかかってしまいます。これに数万円をプラスすれば24時間介護サービスがつくことになるので、介護する側から見ればもう圧倒的にリーズナブルといえます。

200千円/月程度であれば2,400千円/年と想定。期間は10年前後でしょうか。つまり夫婦で有料老人ホームへ入居すると4,800千円/年、10年で48,000千円かかる計算です。なおこれには空き家にした自宅に関わる費用や税金・保険料関連の不可避な別途出費などは含まれていません。

私が同様のサービスを受けることになる35~40年後?はこうした有料老人ホームの入居費用水準がどうなるかわかりませんが、少なくとも同様の水準は見積もっておく必要があります。

おそらく通常、これらは老後の生活費用として準備した資金から拠出されると思いますが、更なる問題はこれら資金および介護まわりの諸手続きを誰がコントロールをするかということです。実は資金手当よりもこちらの方が深刻な問題ではないでしょうか。

(つづく)

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