店子の退去-④賃借屋経営やめます
(前回からのつづきです。今回完結です。)
退去日(日曜日)の夜に、賃借屋の近くのコンビニに書類コピーをとりに行った際に、Aさんとばったり会いました。
おそらく涼しくて、トイレも借りられるコンビニで時間を潰していたのかもしれません。Aさんは私を見つけるとやってきて「この度は本当にご迷惑をおかけしました」と深々と頭を下げてコンビニを出ていきました。
そのあとでは、上記の数日後に賃借屋前で外の所有物の処分についてAさんと会話(前回投稿参照)して以降、Aさんを見かけていません。
Aさんは所有物の撤去作業をしながら、「週明け(月曜日)になったら市役所に相談に行きます」と言っていました。冷徹に見ればAさんはこのままだと推定100%ホームレスになると思った私は、市役所に窮状をしっかりと説明して、とりあえず緊急避難措置でも講じてもらいなさいと励まし?しておきましたが、果たしてどうなったやら。
Aさんの半生がこうなってしまった原因は育った境遇のせい、本人の自己責任、社会の雇用情勢のせいなどいろいろと因数分解できるとおもいますが、それを詮索しても虚しいだけでしょう。
なによりAさんには生活困窮に陥った際のセーフティネットがほとんどないのです。生活保護は認可されるかどうかわかりませんし、頼れる親類知人もほとんどいません。何より自身の乏しい就業力は、そもそも問題ではありますが。
そんなAさんにとって、安価で保証のいらない住居を賃借し、半年以上もの家賃支払延滞となってもすぐ追い出さずにまだ住まわせている私の賃借屋経営が、なんだか社会のセーフティネットの一部になっているように感じてしまいました。
自治体がそういう認識もなく、結果として生活困窮者の住居問題を一個人事業主に押し付けて、知らんぷりを決め込んでいるような気もしてきて、とても嫌になりました。(ちょっと大げさかもしれませんが)
もし自治体が一個人事業主による安価で保証もとらない賃借屋経営をセーフティネットとして利用するのであれば、その個人事業主には住民税とかを免除してほしいくらいです。いやホンネですよ。これは。
私とて、いまやこの古い賃借屋でこれからも幾ばくかのお金を稼ごうというつもりはありません。Aさんだって定職について経済的自立ができるようになるまでの間、家賃無しで住んでいてもかまわないくらいです。もし現在も奥さん、子供と一緒に住んでいたら今回のように冷徹になれなかったでしょう。
でも今のAさんが定職について経済的自立ができる見通しは私からみても相当難しいこと、建て替えなどあり出ていってもらおうとした時にAさんが無料で住んでいた事実をタテにとり居住権など主張して(恩を仇で返す)きてこじれていること等を想定すると、今回手切れができたことはWATANKO家としてはよかったかもしれません。
Aさんの退去後の賃借屋は、もう賃借はやめて閉鎖しようと思います。投下資本はとうの昔に十分に回収できています。リターンも十分かと思われます。
古い家屋による賃貸経営は、わずかばかりの家賃収入のために大変な手間と心身の疲労のリスクを負ってしまいますので、徐々にやめていきたいと考えています。
なによりAさんのケースのように、他人の人生、暮らしに大きく影響を与えてしまう事象に直接あたっていかなければならない事態にはもううんざりです。
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<エピローグにかえて>
じつは同じような古い賃借屋をあと2軒所有しているんです。Aさんに貸していた物件と同じ敷地内です。すぐ隣なんです。
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そして、どちらも店子は高齢のおばあさんなんです・・・。
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そして...そのうちの一人はなんとAさんの実の母親なんです!!
おわり
(いつか続編を書くときがあるかもしれませんが、読んでみたいでしょうか?今回記事を読んだ皆様のご意見ご感想をお聞かせくだされば幸甚です。)
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