店子の退去 第2章 母親編②
(前回からのつづきです)
AMさんとの賃貸契約は現行の期限である2011年2月末をもって終了とさせてもらうことにしましたが、このような重大な話を契約終了間際になってから唐突に切り出すわけにはいきません。
そこで当時隣に住むAさんが退去することが決まった2010年5月、つまり契約終了9か月前から、建物の老朽化を理由として現在の契約はこれ以上更新はしない(2011年2月末にて退去いただきたい)という趣旨は口頭で伝えていました。
その後、夏にAさんの退去が無事完了すると、今度はAMさんの退去について、当人と具体的な話し合いをすすめることにしたのです。
話し合いといっても、AMさんにやみくもに退去してくれといったところで物事は進まないので、具体的な引っ越し先を探して紹介したり、引っ越しにあたってかかる費用を負担する等当方からのサポートについて話し合い、退去にかかわる内容を詰めていくということです。
退去にかかわる費用負担をインセンティブとして、退去に関する双方間の覚書を作成することをひとまずのゴールとしています。
【余談2】いくら条項を詳細・精緻に詰めて二者間契約を作成したところで所詮は民・民の私的契約にすぎません。公正証書でも組めば別ですが、この紙切れがどこまで法的拘束力を発揮できるのか、ドロドロ裁判沙汰で実証したことはありませんので心もとないです。しかしながら大げさな書類にすると様々な負担がこちらだけでなく、相手にもかかってしまい、嫌気がさして物事がすすまなくなるという事例をこれまで見てきたので、あえて簡便な形態をとっています。この方が相手も変に警戒しませんし。
AMさんとの話し合いが始まりました。
AMさんとしては転居先は市内を希望。賃料は現在水準の同等以下。あとは物件次第とのこと。こちらとしても不動産物件は同じモノはないし、ちょうど良い物件が見つかれば2011年2月を待たずに引っ越すなど柔軟な形でいきましょうということで、AMさんと私が双方でそれぞれ物件探しにとりかかることにしました。
私の側ではインターネットで物件探しをしたもの、賃料で折り合うものがほとんどなく、次に県営住宅・市営住宅の入居募集情報を求めて市役所を訪ねました。しかしながら以下の市役所側見解がネックとなり不調に終わりました。
「家賃水準が低い物件は築年数がたちすぎており耐震性など問題があるため、退去者がでてきても代わりの募集は行わない。物件の新規建て替えは若干発生するだろうが、賃料が跳ね上がることになる。県営住宅も同様の条件でありもっと競争は激しいだろう。」
「そもそもこれらの公営住宅に入居するにあっては保証人が必要だが立てられるのか?また物件の中には保証人がいなくても借りられるところもないではないが、賃料12か月分前納という厳しいハードルがある。(保証人不要のため、致し方ないか)」
こうして市役所陳情?も行き詰まってしまったので、次には現在、WATANKOが市内で運営しているアパートの建築および管理業者に相談して、物件を斡旋してもらうことにしました。
10月に入り、幸いにしてちょうど良さそうな空き物件が見つかったので、資料をAMさんに提示して検討をしてもらうことにしました。
1週間後、返事を聞きにいくと、なんとAMさんの方でも物件を探してきたとのこと。(知り合いから紹介してもらったらしい)ここに住みたいとの意向ありでした。
なんだよ、自分でできるじゃん。でもまあいいや~、助かったと一瞬ほっとしてAMさんとの打ち合わせに臨みました。AMさんの話は以下のとおりです。
1)12月半ばには入居可能であること
2)敷金3か月と引っ越し費用を負担いただけないか?
1)は勿論OKです。2)についても、こちらとしても当初からの姿勢どおりなのでOKです。費用負担はもう少しかかることを想定していたくらいです。
早速、退去日や物件引き渡しの細かい付帯条件、退去に伴う当方の費用負担などを記した覚書を取り交わし、正式にAMさんの退去が決まりました。
とはいえ、退去日までにコツコツ片付け準備を進めているか不安になったので1~2週間毎の週末にAMさんを訪ねて様子をうかがっていました。
そうやって12月中旬の退去日を迎えました。
(つづく)
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