店子の退去 第2章 母親編①
WATANKOは父の死後、譲り受けた不動産資産として戸建ての賃貸物件5軒があります。約40年前に父が自宅近隣の所有土地に当時新築したものです。農業を営む我が家にとっては重要な副収入であり、まあ言ってみれば我が家のポートフォリオの一部を構成していたわけです。
その戸建て賃貸物件5軒ですが、築年数が40年となり大変古く、設備仕様や安全性が現在の賃貸物件として不適格となったこと並びに個別の賃貸管理が面倒であったり、家賃の支払いに問題あるケース(数ヶ月分まとめて後払いが常態化する店子、家賃支払いが遅れがちになったり不透明になったりする店子など)が散見することなどを理由にこの戸建て5軒による賃貸業は近い将来やめることにしています。
具体的には5軒の店子が引っ越した後は、新規募集をせずに徐々に空き家にしていく方針です。父からの相続後、4年の間に2軒が引っ越しました。そして今年の夏に、家賃滞納10ヶ月となった店子にも退去してもらいました。
関連投稿です。
そして残る2軒のうち、また1軒の退去について、今般取りあげていきたいと思います。
今回とりあげる店子は前回紹介した家賃滞納10か月のうえに退去したAさんの、なんと母親です。
AさんMotherだから仮にAMさんとしておきましょう。AMさんはAさんの住んでいた賃借屋のとなりの賃借屋に住んでいます。住まいから5キロくらい離れた勤務先のコンビニまで、毎日徒歩+バスで通う元気な方です。賃貸契約時に保証人を立てられないことや、たまに家賃振り込みが遅れることがある以外は普通の店子です。
【余談1】
保証人もたてずに個人と賃貸契約しているくらいですから、WATANKO のこの賃貸業のリスクが推察いただけると思います。本人に無いものねだりをしても仕方がないのですが、そもそもそのような人を最初から店子にしてしまった父の気楽さ(=迂闊さ)を少し恨めしく思うこともありました。
しかしAMさんがこのまま入居を続けることについては、こちらにとって次のリスクがありました。
①このAMさん、高齢なため万が一の時の対応が大変面倒になるおそれがあるためです。(賃貸契約に連名する保証人がいない=頼れる身寄りがいない)
ある日突然倒れて亡くなった時の事後の処置は?病気、怪我で寝込んで働けなくなったときの先行きのケアは?などなど想像すると、もらっている家賃では到底カバーしきれない肉体的・精神的負担が容易に想像できます。
②AMさんは高齢なため、いつまで仕事を続けられるかわかりません。
仮に本人の意図とは別に失職し、次の働き口が見つからず家賃滞納が発生、退去しようにも無職では転居先が確保できず、出るに出れない状態となった場合でうでしょう。やがてかつてのAさんのように当事者能力を失い、ズルズルと住み付きかねないやもしれません。
そして次は、一番恐れるリスクです。
③AMさんには実はAさんとは別に、もう一人息子(Another Son=ASさんとしておきます。)がいて、現在同居しています。どうやらひきこもりプータローで、夜になると外出し、昼間はジッと家の中にいて気配を消しているようです。私は今まで一度も本人を見たことがありません。刺青があるとかないとかいう噂も...
AMさんは自分だけでなく、ASさんを扶養するためにも毎日早朝からコンビニで働いているわけです。
もしAMさんが不意に亡くなった時に、経済的に自立できないと思われるASさんが黙って賃貸屋を退去するのか?現実の状況変化に対応することができず、ただゴネて家賃も払わずに居座りつづけるなどといった最悪の展開もないではありません。ASさんを退去させる手間暇苦労を考えると、それはAさんの比ではないかもしれません。
上記を勘案した結果、AMさんとは現在の賃貸契約が終了する2011年2月末をもって、以降の更新を行わず、契約終了とさせてもらうことにしました。
(つづく)
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