店子の退去 第2章 母親編③
(前回からのつづきです。今回で完結です。)
AMさんの退去日の朝を迎えました。早朝に様子見にいくと片付けはほぼ終わっており、問題なさそうです。
しばらくのち、AMさんと家屋内外の撤去物の確認と鍵の行い引き渡し、連絡先情報の受領(新居連絡先を記したネームカードを用意していた!)を完了しました。またこのときASさんとも初めて会いました。ごくふつうの35~40歳くらいの男性で正直ちょっと拍子抜けした感も否めませんでした。
それからAMさんは引っ越し先へ出発していきました。一方ASさんはAMさんの新居には一緒に住まずにどこか別のところで暮らすそうです。わずかな手荷物をもって静かに出ていきました。
すんでいた賃借屋には廃棄物が10袋分くらい残っていますがAMさんいわく、あとで知り合いが撤去しますとのこと。まあもし残したままなら最悪こちらで市営の清掃工場へ持っていくしかなさそうかなと思います...。
AMさんの退去はこうして完了しました。息子のAさんの時と比べて、あっさりとすみました。引っ越し先がなかなか決まらずもっと長引いたり、条件をつり上げてきたり、退去時の片付けが不十分だったりなどのプロセスを予想していたのですが助かりました。
それにしても今回の退去一連を振り返ってみると、AMさんを背後でサポートする存在があったことが透けて見えました。
1.AMさんに安価な引っ越し先を紹介してきた知り合い
2.引っ越し作業を手伝ってくれた知り合い
3.あとで廃棄物を取りに来て処分してくれる知り合い
4.引っ越し先を記したネームカードを作成してくれた知り合い
5.おそらく転居先の賃貸契約において保証人になってくれる知り合い
【余談3】
URなど半ば公的な貸主では保証人なしでも入居できるところもありますが、代替え条件として家賃の保証金12ヶ月分程度をとっています。判例で退去理由として成立する滞納期間6ヶ月+実際に強制退去にかかる期間6ヶ月の合計12ヶ月分の賃料を取りはぐれないようにするための設定かもしれません。
AMさんの場合、12ヶ月分の保証金を出す余裕はおそらくないでしょう。(勿論こちらに退去の条件として拠出を求めてられてきても困りますが。)したがい入居できたということは誰か保証人を立てることができた模様です。
上記1~5の知り合いが全て同一人物か、複数かはわかりませんが親類縁者がほぼいないと思われていたAMさんをここまでサポートする存在がいたことは全くの想定外でした。
翌日隣家からの情報でわかったことですが、どうやらAMさんが所属する宗教団体の知り合いであったようです。といっても社会的に問題を起こしているような団体ではなく、超メジャーで社会の中に一定のコミュニティを形成しているところです。なんであれAMさんが困ったときに支援をうけることができてよかったということで、今回はそれ以上詮索する気は起きませんでした。
こうしてまたひとり店子が去っていきました。
退去日の夜、点検に立ち寄ると白くて毛並みのよい野良猫が家屋の周囲をうろついていました。どうやら以前からAMさんに餌をもらっていた猫のようです。もう餌をくれるAMさんはいないのですが、それでも猫はAMさんに呼びかけるように、ただしばらくは鳴き続けているだけでした...。
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これで、のこる店子はあと一人となりました。
生活保護をうけて一人暮らしをするおばあさんです。
(来夏、投稿予定!)
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コメント
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無事退去にこぎつけられて、
おめでとうございます。
と言うべきところなんでしょうけど、
大変ですねえ・・・
信じられない手間とコストです。
とてもではないですが、
不動産賃貸業なんかやりたくないなあ・・・
投稿: mushoku2006 | 2010年12月16日 (木) 20時42分
mushoku2006さん
レスありがとうございます。
私のケースは、数十年前に流行った?個人による直接的な賃借屋経営の名残ですから、今時の不動産賃貸業(募集と管理は業者任せ)にはこんな苦労はないと思います。
それにしてもAMさんは退去しても、息子のASさんが一人ゴネて居座り続けられるという最悪の展開にはならずよかったです。
ASさんが大人しかったことと、AMさんをサポートする人達の存在がうれしい誤算でありました。
投稿: WATANKO | 2010年12月16日 (木) 22時28分