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2011年5月14日 (土)

店子の退去 最終章①

WATANKOは父の死後、譲り受けた不動産資産として戸建ての賃貸物件5軒があります。その戸建て賃貸物件5軒ですが、築年数が40年となり大変古く、設備仕様や安全性が現在の賃貸物件として不適格となったこと並びに個別の賃貸管理が面倒であったりすることなどを理由に、この戸建て5軒の賃貸業はやめることにしています。

ブログを開始した時点で5軒のうち、既に2軒が退去し、残りは3軒。そのうち1軒目と2軒目は以前ブログ記事で取りあげたことがあります。

【関連記事】

<1軒目:30代フリーター、交通事故をきっかけに仕事を失い10か月滞納後、退去>

店子の退去-①家賃未払い発生

店子の退去-②退去日をむかえて

店子の退去-③店子を振り返って

店子の退去-④賃借者経営やめます


<2軒目:1件目の30代フリーターの母親。1件目フリーターの兄、ただしニートと二人暮らし>

店子の退去-第2章 母親編①

店子の退去 第2章 母親編②

店子の退去 第2章 母親編③

そして今回は、残る最後の3件目について取りあげます。

ちなみに、自分自身でも想定外の長文内容になりましたので、6~7回に分けて投稿します。この手のテーマにあまり興味の無い方はすみませんが、スキップください。

さて、その最後の店子、仮にSさんとしておきます。Sさんは生活保護を受けている60歳代前半の一人暮らしのおばあさんです。

実はSさんの両親も私の父が戸建て賃借を運営した頃、Sさんが現在住む戸建ての隣の戸建てに入居していました。私はよく子供のころ、道を歩いていていると仕事帰りのSさんのお父さんに声をかけられていた記憶があります。いつもニコニコしていたおじさんでした。

17年前に、そのお父さんが自分の老い先が短いことを悟ってか、自分が住む戸建ての隣が空くと、自分の娘であるSさんを隣に住むように呼び寄せました。そのあとほどなくしてSさんのお父さんは亡くなりました。

このようなエピソードをもつSさんであります。もらっている生活保護受給額の中からきちんと賃料は支払われています。過去1年間にて退去してもらったフリーターで失職したAさんや、ニート息子を抱えて将来の居座りリスクを抱えたAさんの母親のケースとは異なり、今現在問題なく住んでいる方です。

新規アパート計画を全く考えなければ、お父さんの代からの縁もありますし、しばらくはこのまま住み続けてもらってもいいかなあとほのぼのと考えていた時期もありました。

しかしAさんの母親の退去をいろいろと進めている中(昨年晩秋頃)新規のアパート計画を進めるという最大の動機以外にも以下の理由が浮かんできて、やはり総合的に考えるとSさんにも近々退去をしてもらうべきと考えました。

(1)築40年の安普請な戸建ては建物設備が相当老朽化しています。今60歳代前半のSさんが平均寿命である80歳代後半までのあと25年間前後、住み続けられる物件とは到底なりえません。Sさんにとって少なくともあと1度は住む場所を変えなければならない状況が見えています。

たとえばSさんが住む戸建てに、現在の価値に見合わない多額の費用をかけてリフォームしても、それは細く長く家賃に転嫁せざるをえず、Sさんの負担に跳ね返ることになります。またSさんが早くに亡くなることがあれば、こちらとしてもひょっとしたらリフォーム分の費用の未回収になるおそれもあります。

(2)居住先を変えるのであれば、できるだけ若いうち(といっても既に60歳をすぎていますが)で頭が冴えていて、体が動くうちに実行した方がSさんにとっても取り組みやすいでしょう。

仮に70歳をすぎて、さてよっこらしょと転居しようとおもっても、不動産業者をまわって物件探しをきちんとできるか?契約のやりとりに頭がついていけるか?(もし認知症の兆候があったら?)またそのくらい高齢になるとしっかりと働いている息子・娘以外には契約の連帯保証人になってくれそうな人を探すのは至難かもしれません。

ちなみに連帯保証人には一定以上の年収が求めらるケースが多い模様です。保証会社を使う手もありますが、Sさんの場合、生活保護を受けているので負担が厳しそうです。何せたまに話す機会があると「私、節約して1日500円で生活しているんです」といっているくらいですから。

(3)もしこのまま5年、10年とか住み続けて、ある時、孤独死を迎えた場合、その後処理を想像すると、いまから気が滅入ります。親戚などならともかく、ウジがわいているかもしれない赤の他人の死体を片づける心身の負担を想像してみてください。(この辺は冷徹に判断)

話が横道に逸れますが、終生賃貸住宅派という方々は自分が高齢化したときに、自分の希望通りの物件を借り続けられるかどうかというリスクについて、しっかりと事前対策をとられることをおすすめします。

ただ対策をとるといっても土地柄や契約条件、家主との関係などいろいろな要素が絡んでくるし、数十年後の住宅賃貸事情までは読み切れませんけれども。

でもおそらく人口が減り、空き家が多くなって、住む家探しには困らなくなるかもしれませんね。そうはいっても正直言って大家の一人としての意見を言わせてもらえれば、同じ条件ならば高齢者よりも、壮年以下の方に賃借したいというところです。

話をもとに戻しますが、Sさんに退去いただく理由としては、新規アパート計画が根底にありますが、上記を勘案すると、やはりSさんにはあと20年は住み続けられる別の物件に引っ越ししてもらった方が良いと判断し、今年の6月に契約が満了となるので、その時期をターゲットにして退去の交渉を前広に進めることにしました。

(つづく)

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コメント

面白そうなシリーズですね。
期待しています(^^)

mushoku2006さん

レスありがとうございます。

実はこのSさんのケース、過去2件と比べたら怒涛の如く一気に決着がつきました。

しばらくご参読いただければありがたく。

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