店子の退去 最終章②
(前回からの続きです)
Sさんの退去にあたっては、そもそも契約満了の2011年6月末の1年3ヶ月前の昨年3月に文書及び口頭で、建物老朽化を主因にSさんに次回の契約更新をしない旨を伝えてあります。
その時Sさんは私からの説明に納得をして、「大家さんに迷惑をかける訳にはいきません、引っ越し先をみつけて期限までに必ず退去します。」と約束してくれました。
お互いの父親の代からの長いつきあいもあるし、私からは少しでも支援をと思い、退去月が6月を待たずに引っ越し先が前広に決まって退去してくれるなら、条件として、いろいろと物要りでしょうし、2~3ヶ月分の家賃は免除するし、引っ越し代も負担しますよと金銭的なサポートを伝えました。
(早期に確実に引っ越してもらうためのインセンティブとして提示)
それから数ヶ月おきに、このSさんを訪ねては「引っ越し先は探していますか?見つかりそうですか?探すのに困っているなら物件情報を集めてきましょうか?」と何度も進捗確認をしてきました。
その度ごとにSさんの反応は、「探していますが、体調の優れない日もあるし、なかなか...この辺なら知っている土地なので、近所で物件があればよいのですが...なかなか引っ越し先を探すのも大変ですね...」とのらりくらりな回答。
(怠慢や悪意があるというより、のんびりと構えている印象です)
その他には亡くなった父の知り合いや、嫁いだ娘が隣市にいるとか、毎月遠くの病院まで通っているとか、引っ越しとは無関係な話の繰り返しばかりです。
生活保護を受けているとのことなので、市役所の担当課のところに行き、物件紹介なども含めて相談に行ってくださいと促しても、市役所は何もやってくれないとの回答(ほんとに切実に相談、お願いに行ったのかなあと疑念ありあり)
どうやらこのSさん、今の居住からの引っ越しの段取りと実行を自分一人で進めることは至難ではなかろうかと思い、WATANKOがまるで息子がごとくサポートしないと全然物事が進まないなあと思うようになりました。
やがて同じ敷地内で、以前ブログ記事で取りあげた40歳代の二ート息子を抱えるおばあさんの退去問題が2010年末に片づくと、ようやく2011年年明けから、この最後の店子、Sさんの退去支援に本腰を入れはじめました。
知り合いのアパート業者に物件情報の収集をお願いするとともに、Sさんを訪問する頻度を増やし、転居先物件の条件などを具体的に聞き出しはじめました。
そんな中、3月11日、大震災が発生したわけです。
(つづく)
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