株主優待よりも配当を(Refrain 2011)
巷の本では株主優待をキーにして銘柄選定を推奨する記事が出回ることがあります。でもどうして株主優待好きなんでしょうか。お得感があるのでしょうか?
私なら株主優待という使途限定のベネフィットは不要です。株主優待に充てる経営リソースは通常の事業に投入して、収益を再生産するか、その分配当を増やしてほしいです。
たとえば吉野家の株主になったとして株主優待に牛丼チケットをもらうくらいなら、その分配当にまわしてくれといいたいです。牛丼代380円お得になるよりは、配当で現金380円もらったほうが使途が自由だからです。
もちろん実際には380円のチケットの代替えとして380円分も配当はもらえません。理由はたくさんありますが、簡単なものをひとつあげるとすれば提供する企業にとっては株主優待は原価ベースであるのに対して、株主からみた尺度は売価ベースだからです。
とはいえ株主優待を完全否定するわけではありません。もし優待出すとしたら、以下に3つの推奨パターンをあげてみます。
1.企業にとって追加コスト発生と販売機会の損失をミニマム化し、なおかつ株主にとってメリットある形態
たとえば散髪屋さんのカットサービス券のようなもの。ただし明らかに繁忙日時を避けて空きがある時にかぎる、です。人件費などの固定費は変わりませんし、従業員の稼働率が低いときをねらっていけば、販売の機会損失にはなりませんから。
2.個人ひとりひとりの購入では付帯コストがたくさんかかってしまうため、なかなか得難い便益
たとえば海産物大好きな首都圏の株主にとって、北海道でとれた新鮮海産物直送(デパ地下などで売っているものと比べて鮮度、品質が段違いに良いもの。)などです。企業が持つ流通ルートなど経営資源を個人が利用した形です。企業にとっての追加コスト発生と販売機会の喪失のミニマム化が必要ですが。
3.株主に対して企業が特別に用意する、他では得難い便益。
たとえばAVEXがやっている所属アーティストによる株主向けコンサートとかです。(最近はやっていない?)WATANKOは車好きなので、株主向けに自社製品一斉試乗会でも開催してくれる自動社会社なら優待目的に株買うかもしれません。普通のディーラーやレンタカー会社ではとてもそこまでできませんから他では得難い便益です。
でもこうしてみると1は実際には使い難い面もあるやもしれませんし(普通、一般顧客が利用しない日時は、株主だって利用しにくい)、2や3はオリジナティを練れば練るほど特異なものとなり、それを喜ぶ株主は限定されてしまうかもしれませんね。
やっぱり多くの株主に受け入れられやすい牛丼券のような便益が無難でありますが、冒頭述べたとおり、それだとあえて株主優待で受領しなくてもいいではないかと思います。
昔、安達祐実は言いました。「同情する(優待だす)なら金(配当)をくれ!」
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上記は2010年5月27日の投稿記事を、一部修正・再掲したものです。時節柄取り上げてみました。最近の記事でも紹介しましたがWATANKOの勤務先の現在の上司も株式大好き、優待大好き派です。
でもなぜそれほどに優待に魅かれるのか?私にはとても不思議に思えます。
ひとつの見方としては、日本企業がちょっと調子が悪くなるとすぐ減配するし、そうでなくも年々ガンガン増配する会社は少ない。キャピタルゲインだって不透明。だからここは優待でもなんでも投資先企業から貰えるものならば、何でも貰っておこう、というマインドなのでしょうかね。
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