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2011年7月15日 (金)

不動産賃料未払い問題-②相対契約のリスク

(前回からのつづきです)

素人が締結した相対契約に潜んでいたリスク(賃料トラブルとそれに対する十分な対処ができないこと)が顕在化したわけですが、ここで基本的な話に少し触れます。

個人が所有する土地や建物を他者(社)に賃貸する時には、賃貸契約を取り交わすのが通常ですが、相手が誰であれ、不動産賃貸について素人である個人が相対で契約を締結することがどれほどのリスクを含んでいるものかよくよく認知する必要があります。

昔から土地持ち・店舗持ちの個人が飲食・小売業経営会社と相対で契約を取り交わし、賃料収入を得ているケースはよくみられました。(とくにバブル時期に、田畑土地を対象に造成工事と区画整理事業を行い、更地用地を手にいれた地権者は、その頃から土地・店舗賃借業を始めています)

店舗の運営が順調なうちは双方幸せな状態が続きますが、いろいろな環境変化により売上が悪化してくると経営会社は賃料の支払い遅延や減額を陳情してきます。

個人家主も、突っ張って契約解除にするよりは、(減額の程度にもよりますが)経営会社の要求に応じて引き続き貸し続けた方が、実入りは確実です。このように賃料収入は遅延、減額要求のリスクに常にさらされています。

またそもそもバブル時代に契約締結した物件は賃料自体も高い水準でしたから、90年代に入り徐々に小売業・飲食業の売上が低迷していく中で、とても耐えられる賃料水準ではありませんでした。

ちなみに事業運営する会社からみれば、売上に占める不動産賃借料について適正水準は7~8%、どうがんばっても10%が限界です。ですから売上水準の検討がつけば、おのずと支払える賃料相場もでてきます。

また借り入れ無しで賃貸している個人家主ならまだよいのですが、賃貸店舗を自己で資金借り入れして建築したケースはもっと深刻です。賃料の低下という目算狂いにより、ローン返済だけでなく固定資産税や火災保険料の負担もあるわけですから、手取りキャッシュが激減するやもしれません。

つまりは相対契約による賃料収入を当初のもくろみ通り獲得できるかどうかは、賃貸相手会社の経営手腕にかかっているわけです。投資信託ならファンドマネージャー次第というところでしょうか。

とはいっても保有する土地・建物の貸し出し先が優良先かどうかの見極めは難しいです。今はよくても将来はわかりませんし、貸し出し先の財務状況をすべて把握することは金融機関でもない限り困難です。

実際のところ、今回の店舗についてはこれまで20年間(後半10年はT社に賃貸)賃料については引き下げはあったものの、延滞・未納がなくしっかりと収入があったことは、むしろ幸運だったのかもしれません。

しかしこうして、いざ賃料トラブルが発生すると、個人家主は素人であり、副業で賃借業をしている場合だと、交渉テクニックや情報ツール面、十分な時間を割くといった面で大変不利になります。

(つづく)

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