不動産賃料未払い問題-③不動産業者へのコンタクト
(前回からの続きです)
さて、話は自分のケースに戻ります。ここでJ社からの賃料大幅減額要求を受け入れるか、契約を解除して退店してもらうか、後者の場合、J社には次の賃貸先が決まるまで賃料を支払う旨が契約条項にありますが、相手も無い袖はふれません。万歳してしまうでしょう。こちらが弁護士を起用して係争しても、結果にかかわらず、結局は相手が金をもっていなければこちらの訴訟費用倒れです。したがいJ社を撤退させるまでがせいぜいです。
そしてJ社が撤退した後、次の賃貸先は自分で探さねばなりません。
とはいっても、次の賃貸先を探すとなると素人個人ではどうにもツテがなく、それはすなわち不動産業者の紹介・斡旋に頼ることになります。つまり以降は不動産業者を通した賃貸契約となるわけですし、これは一度そうなったら、以前のような相対契約に戻すことは現実的には難しいでしょう。
つまり今回の賃料未納店舗について条件変更で賃貸継続か、撤退かの選択は、すなわち今後の賃貸については不動産業者を間に入れるか入れないかという選択にも該当することになります。
そこまでの覚悟を考えつつ、J社社長との面談の翌日、これまで取引のあった不動産業者数社のうち、わりと親しげな2社に、先ずは現在の賃料相場を聞いてみました。
以前取引のあったS社と現在も取引があるK社の2社に現状の市内の賃料相場を聞いてみたところ、それぞれ相場を聞くだけでなく電話相談にまで話がすすんでしまいました。
2社の意見は見事に分かれました。
S社いわく、いまは震災の影響もあり先行き不透明。半分強でも賃料収入が得られるなら継続すべきであるという意見でした。まあ電話口での唐突な相談ですから、むやみやたらなこともいえず、現状維持、無難な意見に終始したのでしょう。
つづいて現在も別の賃貸物件で仲介の取引があるK社に相談しました。すると以下のとおりです。
■一方的な通知文書でもって賃料は未払い、敷金から差し引けとは全く持って論外な話であり、不動産取引の常識を大きく外れている。
■震災があろうがなかろうが当事者間にあるのは取り交わした契約を履行すること。それ以上もそれ以下もない。
■賃料の未収入リスクについての貸主の心配をタテに、借り手に好き放題やられかねない。
■正攻法で訴訟沙汰にもっていっても、債権回収は不透明であり、弁護士にたんまりと訴訟費用を請求されて御終いになりかねない。(こういう場合、先ずイソ弁がでてきて、話しを聞き、金儲けできそうになると親方弁護士がでてくるというケースが多い。)
■相対に限らずだが、賃貸契約内容は年月とともに見直し、改定することも必要。ひどい場合だと契約当事者双方が代替わりをした結果、契約内容を把握していないという事態もみられる。
ついでですがK社自身の苦労話もたくさん聞きました。与信が低い借り主からは、それこそ月額家賃の1/30を毎日支払ってもらうケースもあったり、借り主が家賃のがれのため意図的に自己破産してしまい、回収が法的に不能になったりしたケース、地元の市議会議員(しかもあっち系←ご想像にお任せします)まで介入してきたケースなど、不動産手数料ビジネスの悲哀を聞きました。
そしてK社からは、管理委託契約を結んで以降の交渉と、場合によってはテナント入れ替えふくめた仲介業務まで請け負いますと提案されました。
・・・100%予想していた展開であり、返事は後日する旨を伝えて帰りました。
(つづく)
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