F30にみるエイドリアン・ファン・ホーイドンクの仕事
BMWの屋台骨を支える3シリーズの次期モデル(型式F30)が発表されました。
予定では2012年の年明けくらいかなと予想していたのですが、少し早かったです。
そういえば現行E90は正式発表前に東欧かどこかの国で印刷されていた公表前のメーカーカタログ資料がリークされ、メーカーがあわてて正式発表を数か月前倒しで行ったエピソードがあったかと記憶しています。
90年代にデザインがマンネリ化してきたBMWはクリス・バングルという先進的デザイナーをチーフデザイナーに起用して、デザインのアーキテクチャーを一新する試みを行いました。
ところが彼のデザインはあまりにも斬新すぎて顧客層からも賛否両論。それでも一定の支持を得つつ定着しかけたところで、チーフデザイナーを自分の右腕のエイドリアン・ファン・ホーイドンクに譲りました。
ホーイドンクは斬新すぎたバングル流のデザインの各モデルを従来からのBMWファンにも受け入れられるようにうまく咀嚼、洗練していきました。その嚆矢ともいえるモデルが2005年初頭に発表された現行3シリーズ(型式E90)です。
このE90については、発表当時、私もバングルのデザインをうまく取り入れて、それでいて保守的なデザインを好むファンにも受け入れられるような本当にグッドバランスのデザインだなあととても感心しました。
それから7年近くが経ち、この度発表されたF30はE90の面影を残しつつ、より先鋭的なフロントエンドを採用し、アグレッシブさとシャープさを増してきました。ホーイドンクは今回も良い仕事をしたと思います。BMWにとって絶対失敗に許されないモデルのデザインチェンジですから、さぞやプレッシャーは重大であったでしょう。
もっともF10(現行5シリーズ)のモデルチェンジを無事にこなしたホーイドンクでしたから、私的にはF30もきっとうまくまとめてくるだろうなあと予感はしていました。
でも惜しむらくは全長がついに4.6m台になってしまったことです。ほかのセグメント同様、Dセグメントもまた大型化の傾向にある中、3シリーズは全長4.5m台をキープしてきました。そのコンパクトさが売りの一つであったのですが、後席の居住性とのトレードオフにいつも悩まされていたようです。
本国ドイツで今やメルセデスとならぶライバルとなったアウディのA4が現行モデルで4.6m台にサイズアップしたので、3シリーズの大型化も仕方がないことかもしれません。
その他のデザインについて、フロントとリア以外のエクステリアはE90とあまり変わっていません。それもそうです。シャシーはキャリーオーバーでしょう。(現代の量販車モデルは同じシャシーを2世代にわたって使用することが一般的です。エンジンも同様の傾向が強かったですが、最近はマーケッティングの影響からかMCで一新してくるケースもでてきました。←この辺のことは車選びにおける重要なファクターです。)
それと全長サイズ以外でもうひとつ残念なことが。F30ではとうとう直列6気筒NAエンジンがラインナップから消えました。BMWといえばシルキーに回る直6が長年の代名詞でしたが、これがなくなりました。
直6NAエンジンにこだわる方、日本のディーラーにはE90の新車の在庫車がまだあると思います。また良質な認定中古車もタマ数は豊富でしょう。
どうかお早目に。
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