(続)現在のインデックス投信の信託報酬は高いのか、安いのか
(前回からの続きです。)
一般公募型のインデックス投信の信託報酬は2010年5月にCMAMインデックスeシリーズが発売されて以降、最安値記録が更新されていません。
インデックス投信の信託報酬はもう信託報酬はこれ以下に下がらないのでしょうか。その見極めとして、そもそも現在の最安値水準は妥当なのか。それを考えるにあたり、市井の人間の皮膚感覚にフィットする何かモノサシは無いのでしょうか?
上記の疑問について、日経マネー2012年1月号に掲載されたチャールズ・エリス氏へのインタビュー記事にて、非常に示唆に富むエリス氏のコメントがありました。
主旨を簡単に述べますと、エリス氏いわく「投信の期待リターンが10%、信託報酬が1%であれば、その投信の保有によって支払うコストの比率は10%であるとみなすべきではないか」とのことです。
記事内にも注記がありましたが、つまりは信託報酬1%の投信を1,000千円購入した時、期待リターンが10%ならば100千円①であり、コストは10千円②である。得た利益①に対して支払ったコスト②は10%という解釈になるということです。
信託報酬は資産額(ストック)に対する比率で設定されていますが、一方でこれはリターン(フロー)を得るために支払ったコストですから、このコストの軽重を測るためには、正しくはリターンに対するウェイトをみるべきということです。
そこで仮に期待リターンについて、株式6%、債券3.5%とみた場合、現在の最安値の信託報酬が占めるウェイトを以下に表してみました。
アセット 最安値信託報酬 期待リターンに対する比率
*日本株式 0.2625% 4.4%
(日経225)
*日本株式 0.3885% 6.5%
(TOPIX)
*日本債券 0.3885% 11.1%
*先進国株式 0.525% 8.8%
*先進国債券 0.525% 15.0%
*新興国株式 0.63% 10.5%
期待リターンは日本、先進国、新興国で異なるのではないか。債券は今や3.5%も期待できるのかとなどと前提条件となる期待リターンについては異論もあるでしょう。株式については7~8%と想定されている記事も見かけますが、ここでは保守的に6%としてみました。逆に債券は今時はせいぜい1%?というご意見もあろうかと思いますが、それでは信託報酬の比率がバカバカしいほどに高くなってしまいお話になりませんので、Webから情報拾って3.5%と設定してみました。
世の中には色々な手数料(フィー)ビジネスがあり、その料率は提供するサービスやリスクによって様々ですので、一概には言えません。
したがいあくまでWATANKOの市井の人間目線で言わせてもらうとすれば、金融機関系販売先から金融商品を購入して、保有する間にかかる手数料という類のシロモノは一桁前半、つまり5%を超えると高いなあという印象を持ちます。(ご参考:現物不動産の管理委託手数料の最低水準は概ね5%)
その目線でもって上記の各アセットの期待リターンに対する(信託報酬=コスト)比率をみてみると、以下の印象です。
*日本株式>日経225はOK、TOPIXはもう一声(下げて)欲しい。
*先進国株式>もうふた声(下げてほしい)
*新興国株式>1割以上とられる=(妥当な?)割高感。勿論下がってほしい。
*日本債券>期待リターン3.5%でも二桁%にもなるフィーがかかる。(どおりで個人投資家の皆さんの中に生債券に走る人が少なくないわけです。)
*先進国債券>高すぎて、もう論外。
(つづく、次回で完結です。)
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