不動産賃貸における消費税
前回、家計における消費税増税対応として、耐久消費財の前倒し購入や、日用品のまとめ買いについて述べました。一言でいえばあくせく買い込んでもコストメリット薄いよという話でしたが、そもそもWATANKOにおいてこの話の発端となったアパート建築、ひいては不動産賃貸における消費税を少し取り上げます。
土地は「消費しない」性格を鑑みて消費税創設時より非課税、住居用不動産は平成3年の改正で政策上非課税とそれぞれ扱われています。ただし住居に付帯する駐車場や事業用の物件は課税対象となります。
個人・法人が消費税の課税対象者か否かについては課税取引額が年間10百万円を超えるとなれば課税対象者となり、付加価値分の消費税を納めねばなりません。しかし個人の小規模な大家さんなどのケースで課税取引額が10百万円未満なら免税者となります。
WATANKOの場合は所有する不動産賃貸物件のうち、課税取引額が10百万円にわずかに届きません。したがい免税者となり消費税は納めていません。しかしながら免税者であっても駐車場や事業用建物を貸し付ける際には消費税を借主に対して請求できます。WATANKOもこれら課税取引の物件については借主から本体賃料とは別に消費税分をしっかり頂戴しております。
ただしこれには事情があります。ご存じかとは思いますが賃貸物件オーナーからみれば、たとえ免税業者であっても不動産仲介料、修繕維持費その他各種経費など事業のために支払うコストについては付随して消費税を支払っています。
課税対象者であれば経費にかかる消費税を仮払い消費税、課税取引から得る消費税を仮受消費税として2つを相殺し、消費税は自身の付加価値分のみ納税すれば良いです。しかし免税業者はそれができず、仮払い消費税は仮払いとはならずに免税者が全額最終支払い者となります。
これを一部緩和する意味において免税業者であっても課税取引分はしっかり消費税を借主から頂戴し、自己が最終支払いする消費税の負担を軽減しています。
実際のところ、巷には非課税取引ばかりで借主に消費税を請求できない一方で、課税取引である各種経費に付随する消費税は負担する賃貸物件オーナーが少なくないかもしれません。
それでは免税をやめて、住居用不動産も課税取引扱いとしてオーナーは消費税を借主に請求するようになれば良いかというと、賃貸市場の現実ではそう簡単にはいきません。
なぜなら借主に対して5%、来年4月から8%余計に払ってくださいよというのは、借主からみれば税金の名目であろうが何だろうが、ただの値上げと変わりありません。突然70,000円の物件が数千円値上げとなれば価格競争力を損ない借り手がつかないおそれがあります。
その物件の市場での相場が70,000円であれば、消費税込で70,000円とするしかなく、消費税分数千円は実質値下げとなります。
かような現実をふまえると各種経費にかかる消費税を最終負担してでも、やはり免税者でいる方が良いのかもしれませんね。
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