減りゆくドライバーズカー@日本
次男の幼稚園友達繋がりで知り合った中古車屋Nさんとの先日の会話。
Nさん「いやー、先日馴染み客が点検修理にだしてきた車がMX-6なんですが、さすがに古いので買い替えを進めてみたら、今市場に出回っているタマの中には他に乗りたい車が無いというんですね。」
WATANKO「R32はじめ日産のRB6気筒セダンあたりならわからないでもないですが、ウナギ犬、いや失礼、MX-6とはこれまた新車発売当時でもレアでアレなタマで、それを十数年もの間乗り続けているわけですか...(半ば絶句)」
MX-6についてお知りになりたい方はこちらをどうぞ。
1990年代からSUVやワゴン、ミニバンが流行り始めました。その後、SUVやワゴンはやや廃れましたが、ミニバンは相変わらず新車発売の主流を占めています。(さすがに最近はコンパクトカーや軽自動車に押され気味ですが。)
一方、ミニバンにシェアを奪われたセダンは縮小の一途です。また平成12年の排ガス規制の強化の影響で、販売台数の少ないスポーツカーの類は規制対応コストが折り合わず、軒並み生産終了してしまいました。これらを括って表現するとなれば、ドライバーズガー(オーナー自らがハンドルを握って運転することが楽しくなるような車のこと。)というカテゴリーでしょうか。通常、ドライバーズカーというと中上級サルーンを指しますが、ここではもっと広範にクーペやオープンも対象としてみます。
さてそうした中、冒頭のNさんのお客さんもまたドライバーズカーを求めていると思われますが、最近はミニバンばかり出回っており、買い換える候補車が見つからず、昔ながらのモデルを乗り続けています。
では今現在、ドライバーズカーを手に入れようとした場合、マーケットはどうなっているのでしょうか。ここは新車モデルの一覧比較よりも、もっと過去から現在にいたる実態を表した中古車市場で見てみます。
中古車サイト大手のGoo-netにて現在、掲載されている中古車(除く商用車)、およそ290千台のボディ別シェアをみてみます。
さてここではセダン、クーペ、オープンをドライバーズカーとして括ってみますと全体の22%、つまり1/4にも届かないというシェアです。これは自動車好きからみれば低い水準と言わざるを得ません。ドライバーズカーを探して街の中古車屋さんを訪ねても10台のうち、ほぼ8台は最初から対象外なのですから。
さて次に上記の中古車データより、ボディ別にみた新車登録から10年未満の個体と10年を超過した個体の割合をみてみます。
これでみると中古車市場に流通する個体について全体平均では75%程度が10年未満であることがわかります。さらにボディ別にみるとセダン、クーペ、オープン、ワゴンあたりは平均を下回っています。とくにクーペやオープンは中古車市場に出回っている個体の半分近くは10年以上の中古車ならぬ大古車ということです。
これはクーペやオープンが趣味性の強いボディ形態であり、かなりの高年式であっても指名買い需要があること、またそもそも最近(21世紀以降)のモデル数が少ないため高年式でも需要があるということでしょう。
しかしクーペやオープンの中古車を手に入れようとしたら、市場に出回っている個体のうち、およそ1/2はかなりくたびれた個体というわけです。セダンにしたところで市場全体の中でのシェアは16%と決して高くはない中で、さらにその3割は購入を比較的避けるべき10年超の個体というわけです。
最後に足元の新車販売状況もみておきます。
2012年度販売台数上位30車中、ドライバーズカーと呼べるのはクラウン、86。あとは強いていえばカローラ、インプレッサをいれた4車種です。
ミニバンやコンパクトカー・HBが今後も売れ続け、一方でクーペ、オープンさらにはセダンについては今後も縮小が続くとなれば、Nさんのお客さんはMX-6をあと何年乗り続けることになるのでしょうか。
最近のコメント