(続)あなたはジャガーF-TYPEに10,000千円支払えるか
さて前回、商品としてのジャガーF-TYPEについて取り上げ、マーケットで成功するのは容易ではならざることを指摘しましたが、これは商品単品の話だけでなく、ジャガーひいては英国車に対する過去の紆余曲折が潜在顧客に対してマイナスイメージになっているのではないかという懸念からもきています。
WATANKOは1950年代のE-TYPEやマークⅡが人気であった頃のジャガーについて実体験がありません。そういえばジャガー以外にも小さな高級車の代名詞といわれたバンデン・プラ・プリンセスなんかも人気があったと聞きます。
WATANKOの記憶にあるのは80年代以降のいまひとつパッとしない英国車ひいてはジャガーの姿です。英国車の中で一定の人気があるのは古めかしくそのパッケージとスタイルだけで命脈を保っていたミニと、職人手作りの貴族向け高級車ロールスロイス、それとSUVの王様レンジローバーくらいでした。
我々のような中産階級向けとしては、唯一の英国民族系メーカーのローバーがホンダからノックダウンしたかのようなセダンを製造販売しており、そこにある英国らしさと言えば本皮のシートくらいです。またジャガーといえばやはり骨董品のようなモデルばかり。丸目4灯のXJシリーズがその佇まいだけでなんとか魅力をキープするくらいでした。
ローバーはその後BMWに拾われて、そして捨てられ無くなり、今はランドローバーのブランドのみインド・タタが所有する有様。一方のジャガーはというと、ボルボやアストンマーティンと同じく一時期フォードというパトロンがついて同社のプラットフォーム、エンジンなど様々なエンジニアリング・アーキテクチャーを与えられて、どうにかこうにかまともに近い車を作るところまで復活。
しかし経営難に陥ったフォードは、金ばかりかかるこの放蕩英国貴族風ブランドをやはりインド・タタに売却してしまいました。それでもフォードから現在もエンジニアリングやコンポーネンツの供与は受け続けているようです。
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さて大金を用意して高級車を買おうかと意気揚々の紳士。車に詳しくなければ一般的に認知されているブランドイメージからメルセデス・ベンツやBMW、スポーツカーならポルシェに目が行くのは当然でしょう。
では車好きでかつ詳しい紳士の場合ならツウの選択としてジャガーを選ぶ目はあるでしょうか。特に今度はE-TYPE以来、久々に発売された本格スポーツカーのF-TYPEに目が行くのは当然のこと....となりそうですが、紳士が車に詳しければ詳しいほどジャガーに対して懐疑の目を向けざるを得なくなりそうです。
「紆余曲折の歴史の中で、まともな技術の研鑽も蓄積も無く工業製品としては所詮ずっと二流であったのではないか。」
「車としての良さが、期待感が買う前から伝わってこない。ポンコツに大金を投じてしまうかもしれない。」
「中味がブレッド&バターなフォード(ノン・プレミアムメーカーの代名詞)の車がなぜこんなに高いのか。」
ジャガーひいては英国車について知見があれば、このように考えてしまうことは当然かもしれません。もともと英国車には、ドイツ車のような無骨なまでの機械的性能、イタリア車のようなひたすらデザインコンシャス、フランス車のような合理主義とエスプリといった特徴的なカラーは乏しく、乗り手を派手にみせないアンダーステートメントカー、口悪くいえばパッとしない、さえない一面があります。(うわー、なんだか書いていて恥ずかしくなるような紋切り型のキーワード羅列ですいません。)
そのような英国車について大枚を払う気がどこまで湧いてくるかというところは懐疑的になります。
ジャガーF-TYPE。道行く人が車に詳しくなければ、バッジを見ないかぎりどこのメーカーかわかりません。
「なんかアメ車っぽいね。ああ、そうそうシボレー・コルベットってやつだっけ?」
・・・以上、酷評してしまったジャガーですが、それでも近年はXF(インパネ斬新)やXJ(新時代のエクステリア)など古い時代から脱却した車作りを見せ始めています。しかし今から追い上げをするにはライバルは相当先を走っています。彼らに追いつくためには、まだまだ魅力的なモデルをあと最低でも10年以上出し続けなければならないでしょう。
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