所有地、更地にしたあと→②住居用建物の続き
相続などで遊休土地を手に入れて、さてどうやってこの土地をどう活用したものかと考えている地方の中年男にむけて、同じような境遇でこれまで四苦八苦してきた、やはり地方の中年男がおくる地方における現実的な遊休土活用の事例です。
まず前回書き損ねましたが遊休土地の活用(規模としては500~1,000㎡)の選択肢は大別すると以下のとおりです。
1.住居用建物
(1)アパート
(2)戸建て住宅
2.店舗・施設
3.駐車場
4.売却
これらについてそれぞれ気が付いた点をあげてみます。
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それでは前回の続きです。
(2)戸建て住宅
住居用建物のバリエーションとして戸建て住宅もあります。戸建ての場合の特徴としては以下のとおりです。
1)物件の競合が少ない。
アパート物件にくらべて戸建て物件の件数は少なく、多くの物件との競合(家賃のたたき合い)にさらされるケースを回避できます。
ただ一方で賃料が比較的高めなので、戸建てを求める顧客が現れないと空室期間が長くなってしまうおそれもあります。
2)投資額を調整しやすい。
アパートの場合、リターンの絶対額を増やしたいがために敷地さえあれば、一定の部屋数を確保したいという発想になりがちです。結果、総投資額が膨らみ、そのために過度な借り入れを行うといったパターンに陥りがちです。また建築費用のスケールメリットを活かして坪当り建築費用を安くしたいという動機も働き、これまた総投資額の拡大に繋がります。
ところが戸建で住宅であれば1軒から建てられるので投資額を調整しやすいです。
たとえば4部屋から6部屋のアパートを建てるとなれば、各部屋の間取りにもよりますが建築費用は大体3,000~4,000万円の水準です。一方で戸建て住宅であれば60~70㎡なら1,200~1,300万円前後の水準です。2軒でも3軒でも総投資額に合わせて選ぶことが容易です。
ではリターンの水準はどうなのか?試算してみます。
投資額が1,250万円
賃料は11万円/月、年額144万円。
表面利回りは10.6%です。
ちなみにですが表面利回りから手取りまで以下試算してみました。
*管理手数料5%に固定資産税、損害保険、修繕積立金で▲40万円(多いかな?)
*空室率はやや高めにみて15%とすれば▲22万円
*税率20%として▲16万円
以上合算の結果、手取りは約66万円。利回りは5.2%です。
まあだいたいアパートと同じ水準ですね。
<余談:新築マイホーム取得を要望している方へ>
新築マイホームが欲しいが、予算が限られているのでなるべくローコストで手に入れたいという方におかれましてはこの賃貸物件仕様(規格商品)をねらうのはどうでしょうか。
賃貸物件仕様ですから、通常のマイホームの仕様レベルにくらべて見劣りはしますし、間取りにも余裕はありませんが、マイホームにこだわりが薄い人にとっては必要十分でしょう。家族構成からみれば夫婦二人暮らしあるいは子供一人という家庭なら70~80㎡もあれば必要十分でしょう。
それともマイホームが欲しい人はこだわりもそれなりに有りそうなので無理でしょうか。
(つづく)
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コメント
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この類のエントリーは同じ生業を持つ者として参考にさせて頂いています。
定期借地権での土地の運用はどうでしょうか?あくまで事業主体として、リスク・リターンの
全てを受け止める、というお考えなのでしょうか?
投稿: 高原の農夫 | 2013年9月26日 (木) 17時36分
高原の農夫さん
コメントありがとうございます。
素人個人が気がついたことぐらいしか記事にできませんが、本やWebでの商業ベースの記事では載っていこないリアルな内容を少しでも紹介しようと赤裸々に書いています。
今後もご高覧いただければありがたく。
それで質問の件ですが、この後の記事でお答えしたいと思います。
投稿: WATANKO | 2013年9月26日 (木) 22時33分
高原の農夫さん
別記事にも書いたとおりですが、事業用の賃貸であればなるべく土地のみの賃貸を念頭におき定期借地契約を結ぶことを推奨しますが、住居用建物の賃貸の場合は定期借地契約を適用する事例に出くわしたことがなかなかありません。現実的には二-ズはかなりかぎられるのでないでしょうか。であるならば住居用建物と立てて活用となれば土地所有者が見自ら建物を建てて貸すのが通常かと考えています。
高原の農夫さんもまた所有する土地の活用についてあれこれ思案し、実践されているのであれば、是非お話をお聞きしたいものです。
投稿: WATANKO | 2013年9月29日 (日) 13時36分