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2013年10月28日 (月)

REITがあるのになぜ現物を買うのか

前回、所有する不動産物件にて雨漏りが発生した件を記事にしました。現物不動産の賃貸業は何もトラブルが無い時には金融証券商品のバイ&ホールド並みにラクチンな投資手法ですが、ひとたび何か起きればその対応に少なからず手間暇、追加コストが発生する事態を余儀なくされます。また建物や法規にもある程度の勉強・理解が必要ですし、建築業者、土地家屋調査士、司法書士、不動産賃貸業者といった相手との関係づくりや効果的な起用も大事です。

サラリーマンWATANKOはたまたま親から不動産賃貸業を継いだに過ぎません。称するならパッシブ不動産投資家とでもいいますでしょうか。また遊休土地の活用も考えていますが、これは土地を保有継続すれば固定資産税の負担が発生、さりとて売れば二束三文の買い手市場が見え見えという背景の中、なんとか賃貸用に供して年間1,000~3,000千円規模の収益に繋げられないかと模索する事情があるためです。

不動産投資に積極的な個人投資家のリスクテイクに心配

一方、一定の現預金資産をお持ちの個人投資家の方々の中で不動産投資に興味が持って積極的にこれを実行する人達がいますが、彼らに対しては随分とリスクをとるなあと心配してしまいます。

自己資金負担ないし借入金負担、空き室発生、災害による被害、売却価格の下振れ、分散投資どころではない集中投資の形態...これら事業リスクを乗り越えてまで得るリターンといえば、WATANKOが実際に伝聞する限りでは表面利回りでいいとこ10%前後、実質利回りは税引き前で5~6%です。これが実質利回りで10%半ばあたりまで獲得できるならば事業リスクを負ってまで行うメリットもあるかもしれませんが。

それとも不動産投資を積極的に手掛ける個人投資家が獲得する物件とは、立地がよくて築年数も程々な中古物件(=5~6%をかるく超えるリターンをたたき出す物件)ばかりなのでしょうか。でも、そのような誰もが欲しがる物件は通常考えれば購入費用は安くはないでしょう。(個別調査したわけではありません。あしからず。)

また不動産を投資対象として考えるならば、個人投資家自身がよほど物件の情報ネットワークを持ち、物件の目利きができるか、あるいは親族並みに信頼おける不動産業者を抱えていないかぎり現物不動産投資は難易度が高いです。

共同出資形態もまたリスクを抱える

いっとき話題になり、今も時折Webのバナー広告でみかける「みんなで大家さん」という匿名組合による共同出資形態の不動産事業があります。
その「みんなで大屋さん」が声高らかに謳う収益分配金は個人の不動産投資と同様5~6%の水準です。個人が現物不動産を単独保有する場合とあまり変わりません。

家主の投資金額は小口でもOKとなり、かつ投資の手間暇は減りますが、特定の不動産物件に集中投資するリスクは依然としてあります。

さらには匿名契約を結びこのシステムを運営している都市綜研インベストファンド株式会社についてはその経営を危ぶむ声があったり、実際に債務超過を指摘され行政処分をうけたりするなどなかなかに危険な香りが漂う会社です。これら運営会社の経営リスクもあることは忘れてはいけないでしょう。

海外不動産投資、本当にやるのですか

最近、ごく一部?でブーミングあるいは批判の的に晒されている海外不動産投資ですが、海外の物件に手を出すとなると遠距離ゆえの管理の不安、言語・法制・慣習の違いからトラブルを発生する恐れや収益リスクなどてんこ盛りです。これをヘッジしようとすれば手厚いケアをしてくれる仲介業者を起用するなどして手数料をしっかりとられてコストアップに繋がり、もともと狙っていた高いリターンを削ぐ結果に繋がります。

サラリーマンならわかりやすい例えで表現します。貴方が勤務先の新規事業で海外不動産投資をやれといわれたら、例えば最近変節したといわれる事業家さんが唱えるスキームを採用しますか?失敗すれば貴方の勤務先での評判は大幅に悪化あるいは左遷・更迭になりかねないという条件下でそのスキームを選ぶ勇気がありますか?軽率な選択で勤務先に損害を与えるわけにはいかないと判断するのならば、そのセンスは個人の手金を使った場合にも活かすべきでしょう。

まともに考えればREIT一択

現物不動産の直接保有、小口共同出資+運営委託形態、海外不動産などといろいろ上げましたが、世の中にはREITという金融商品があるのでこちらに投資する方がよっぽど楽です。手間暇は格段に少ない。流動性もある。多額の投資金額を必要としない。物件の分散投資も可能。それでいてREITの利回りは5~6%と現物不動産と比べて遜色ありません。

もし世の中にREITが無かりせば、現物不動産を選択肢も少しは意義があろうかと思いますが、REITがある以上、これに投資する方がどうみても費用対効果、リスク管理の面からみて優れています。分散投資についても日本だけでなく海外先進国の不動産にも分散投資が可能です。

なぜにREITではなく現物不動産投資という茨の道を選ぶのか。その動機づけが今ひとつWATANKOには掴めません。

さらに今回REITインデックス投信としてeMAXISシリーズに新興国リートインデックスが新たに発売されることにより新興国の不動産にも安価にて投資が可能です。(プレスリリースはこちら

余談ですがインデックス投信といえばSMTシリーズとならんでよく紹介される商品にeMAXISシリーズですが、バランスファンド(8資産均等型/波乗り型)を発売以降、とくに話題もなく、他のインデックスファンド新商品が発売される中、なんとなくおいてけぼり感も漂っていました。しかしながら今回の新興国リートインデックスの発売が新たな需要喚起につながるか注目されるところです。

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