(続)グロソブN、どこがNISA向けなのか
(前回からの続きです。)
NISA向け投信「グロソブN」。その特色は非分配指向ただ1点。これをもって「15年培った経験」と宣伝している国際投信にちょっとがっかりしました。
それじゃあとグロソブN以外のNISA向け投資信託と銘打って売られている商品の特色についてさらに知りたくなってきました。
とはいっても自動車関連以外のことについては横着なWATANKOは、どこかまとめて解説してくれるサイトはないものか、と探してモーニングスターにたどり着きました。
モーニングスター NISA情報
NISAに適した金融商品は? ~投資信託編 NISA向け新ファンド続々登場!
上記サイトによると、すでに設定されたまたは今後設定予定の主要なNISA向けファンドの特徴は大きく分けて3つあるとのこと。
1)損益通算できないNISA向け、低リスク型・リスク管理型ファンド
2)既存ファンドの「NISAバージョン」、非分配志向で複利効果生かす
3)長期投資が前提のNISA向け、低コストのインデックスファンドやETF
1)損益通算できないNISA向け、低リスク型・リスク管理型ファンド
為替ヘッジを取り入れたり、値動きの異なる複数のアセットに分散投資することでリスクを抑制するファンドです。アクティブファンドというと、これから儲かるアセットクラスに投資して高リターンを狙います!という商品が目立ちますが、このファンドは損益通算ができないNISAのデメリットへの対応を主眼とした商品です。
リスクコントロールに気を配った商品は、元本割れを嫌気する一般の個人投資家にとって投資信託のあるべき姿のひとつでしょう。
2)既存ファンドの「NISAバージョン」、非分配志向で複利効果生かす
すでに多額の資金を集めている既存の大型ファンドの「NISA向けバージョン」を設定した商品です。非分配や分配回数を少なくすることでNISAの非課税枠を減らさずに複利効果を生かせる仕組みになっている点です。
分配金回数の多寡は毎月分配型投信についての是非論の際によくとりあげられるネタですが、投資効率を上げる(=なるべく高いリターンをあげる。加えてNISAの場合は非課税枠をしっかり活用する。)ために分配金のはき出しはなるべく少ない方が良いですね。
前回取り上げたグロソブNもまた非分配志向の商品のひとつです。しかしなにも国際投信が15年培った経験を持ちだすまでもなく、大抵の運用会社の商品企画担当者であれば、運用方針の決めひとつで採用できるアイデアではないでしょうか。
なおグロソブにはお馴染みの毎月決算型だけでなく、従来から3か月決算型、1年決算型もラインアンップされています。これら姉妹商品とグロソブNとは結果としてどのようなすみ分けを築いていくのでしょうか?
3)長期投資が前提のNISA向け、低コストのインデックスファンドやETF
NISAでは長期投資が前提となるため、ファンドを保有する限り負担する必要がある信託報酬を低く抑えた商品もまたNISA向きと捉えています。
5年間が果たして長期といえるかどうか人によってはまちまちですが、2)と同様になるべく高いリターンをあげる、非課税メリットを享受するためにはコストがなるべく低い方が良いこともまた運用会社に今年就職した1年目の社員でもわかるでしょう。
さて上記3つの特色についてもう少しみてみます。
3)のローコスト志向についてはリスクコントロールや非分配志向よりも運用リターンに直接、露骨に効いてくるでしょう。しかし悩ましいことには1)のリスクコントロール型のように投資資金に対してあれこれ手間暇かけてくれるファンドの場合、一方でコストダウンを図るのは難しいと予想され、その場合 、3)の方針を並立させるのは難しいです。リスクコントロールの結果、元々のリターンがやや低めになってしまうことがあり、それに加えてコストも低くはないとなれば1)のファンドの妙味はどこまで保てるでしょうか。
そして三度グロソブです。非分配志向とするのであれば、毎月決算型よりも事務コストをセーブできると考えるのはWATANKOだけではないでしょう。にも拘わらず、グロソブNは販売手数料1.575%、信託報酬1.3125%です。毎月決算型とビタ一文変わりません。分配金を出さないのであればその分手間がかからないのだから信託報酬を引き下げてもよさそうなものですが。こんなところからもグロソブNについてまたもがっかりするのでした。
まとめますとNISA向けの特色としては非分配志向とローコストは並立が可能そうです。しかしなおかつリスクコントロールまで運用会社にアゴアシでお願いするのは難しそうです。したがい非分配志向+ローコストで単一アセットに投資する商品を複数組み合わせ、自分のリスク許容量にあわあせたポートフォリオを組むのが適当でしょう。
つまりはインデックス投資を行う個人投資家であれば、NISAを活用した投資であっても従来と変わらないというわけです。
NISAとは、従前の投資税制よりも手元に残る投資収益のボラティリティがより大きな制度と捉えています。(リターンは非課税。しかし損益通算ができない。制度終了時に時価=取得価額になる。)したがいNISA向けに投資信託を売り込みたいのであれば、従来商品以上にリスクをコントロールする、リターンUPに確実に繋がる特徴をもった商品をうちだす必要があります。そして、そのような商品が世にたくさん世に出てくれば個人投資家にとってはそれをNISA用に購入しようが、従来の税制下で購入しようがいずれにしても喜ぶべきことです。
NISAはそうして日本の投資信託の商品レベルアップを促す制度でもあってほしいです。
« グロソブN、どこがNISA向けなのか | トップページ | ねんきん定期便が今年もやってきた »
「投資信託」カテゴリの記事
- 古いインデックス投信の目立たない儲かり(2019.09.21)
- まだVT、そして楽天VTを買うのか(2019.09.19)
- ニッセイ、信託報酬最安値の座 2019 しかし(2019.05.23)
- 楽天・全世界債券インデックス(為替ヘッジ)ファンドは債券クラスの人気薄を覆せるか(2019.02.05)
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)-これから買う人、手を上げてください(2018.10.29)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント