クロス取引を、君に
【11月15日終値ベース運用状況速報】
■投資元本+待機資金総額
55,440千円
■評価損益
(分配金・確定損益・税還付込み)
20,956千円
■損益率
37.8%
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証券優遇税制の終焉に関連して、最近クロス取引の是非をとりあげたブログ記事を散見します。
代表的な記事を二つ紹介します。
梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)
証券優遇税制終了前のクロス取引は、将来資産が2.25倍以上にはならないと考える人だけがやるもの
The Goal
確定申告不要&源泉徴収なし口座の場合の節税クロス取引
クロス取引によって税額が半分で済んだメリットは、その後のリタ―ンが大きくなればなるほど薄れてくる。またクロス取引の時点で支払った税額分がその後のリターンの元本としては欠け目となるため、リターンが上昇していけば、クロス取引で浮いた税額よりも、税額分をそのまま投資して得られたリターンの方が上回るときがくるわけです。(ただし税額分をクロス取引の際に当時に補填すればその心配もなし。)
以上のことは直観的にわかりますが、上記の水瀬氏のブログ記事によるとその損益分岐点がリターン2.25倍時点というわけです。
クロス取引の是非についての基本原則の理解は以上でOKですが、各々の個人投資家がおかれた現況や将来の設定条件によっては、クロス取引の是非について判定が変わってきます。
具体的にいえば各人の現在の評価益の水準、今後資産運用を行う予定期間、想定している年間平均利回りから算定される将来のトータルリターンがどうなるのか。それは所詮仮定・想像の話に過ぎませんが、クロス取引の是非について個人投資家各人が自己のケースを腹におさめておくために検証しておいてもよいのではないでしょうか。
とここでケーススタディされている個人投資家の方のブログ記事を紹介したいと思います。
麻酔と世界分散投資?
クロス取引はやりません!(Nov.2013)
ここではブログ管理者のコツコツ麻酔科医さんがご自身の運用成績の一部をサンプルとして用いて自己ケースとして試算しています。
そこでコツコツ麻酔科医さんのように細かい試算ではなく、はなはだ簡易ではありますがWATANKOも自分なりの条件設定のもとに試算・検証してみます。
試算にあたってWATANKOの場合の条件設定は以下のとおりです。
1.10月末の資産運用実績をもとに元本は36,000千円、現在価格は53,000千円とします。
2.将来価格は現在価格からの倍数による算定ではなく、WATANKOの資産運用の目標設定にもとづき現在価格+元本36,000千円×平均利回り5%×今後運用年数24年とします。
現在46歳のWATANKOはリスク金融資産の運用期間満了を現時点では60歳としています。これを延長してもMAX70歳まででしょう。したがい現在の年齢から24年間を条件として用いています。
なおクロス取引の際に支払った税額分を補填するか否かについては、上記の条件設定では将来価格の算定に影響ないため、ここでは補填無しとしています。
さて上記の条件でWATANKOのケースを試算すると以下のとおりでした。
クロス取引の有無で1,700千円の差がつきました。クロス取引無しの場合でみれば将来価格÷現在価格=1.82倍という水準です。
うーん、でもこれでは条件設定の2に示したとおり、将来価格を現在価格の差異に拠らずに設定しているため、1,700千円とは単純にクロス取引時点で税率が20%になる前の10%を適用したことにより浮いた税額分にすぎないです。ああ、お間抜けな結果...。
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上記の試算では要は1,700千円惜しさにクロス取引しますかという自問自答になります。
さてそもそもクロス取引を行う際には売却と再購入の間のタイムラグが長いとそれがそのまま価格変動のリスク増大に繋がりますので、タイムラグは極力短くしたいものです。そのためには売却額と同額の待機資金を持ち、売却による入金額に拠らずに再購入できる体制を整える必要があります。
しかし残念ながらWATANKOの場合、53,000千円もの待機資金を別途準備することはできません。したがいどうしても売却後数日経って売却代金が入金してからの再購入となります。
その数日間に投信の再購入の代金総額が1,700千円以上も上昇してしまってはクロス取引を行った意味がなくなってしまいます。
1,700千円という金額はそれだけを見れば自動車だって買える大金です。しかしながら一方で現在価格53,000千円に対するインパクトは3.2%に過ぎません。
一方で日経225やTOPIXは1日あたり1~2%動いています。また海外株式のインデックスなら3%程度動くことはザラです。このような日別の変動がある中、売却と再購入のタイムラグが数日あるとなればその間の価格の変動は3.2%を上回ることは大いにあり得るでしょう。(勿論、その逆もありえますが。)
以上のとおりであればクロス取引を行うインセンティブはWATANKOの場合、ほとんどありません。
(あとがきにかえて)
クロス取引がまことに効くのは、資産運用期間が残り少ないシニアでかつ含み益がもうたっぷりとある金融商品を保有する場合でしょう。でもその場合はわざわざ再購入せずとも売却してそれで終いという発想の方が良いかもしれません。次の○○○○ショックの被害を被る前に。
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