
(インデックスファンド。今、何が売れているのか。)
自分が積み立て投資している投信がマーケットでどれくらい売れているのか。どれくらいシェアがあるのか。多少の興味があって調べてみることにしました。
アセットクラスは代表的かつ同等商品が多くて比較し甲斐がありそうな先進国株式とします。
実は先進国株式のインデックスファンドのシェアは4年前の2010年に一度調べています。当時は外国株式インデックスe(当時CMAM)が発売開始されて半年足らずの頃でした。
関連記事:先進国株式インデックスファンドのシェア
4年前と比較すると現在のシェアははたしてどうでしょうか。
<集計条件>
1)データソースは投信まとなび。
2)MSCI-KOKUSAIに連動するファンド(一部除く)を対象とする。
3)DC専用、ラップ口座用、為替ヘッジありは対象外とする。
上記の条件に適合するファンド21本を抽出して比較しました。(金額単位は億円。以降同じです。)
1.純資産

上位に顔を並べたのはSMT、eMAXIS、インデックスeとどれもインデックス投資家にとってはお馴染みの商品です。他には設定来の期間が長いステート・ストリート(1998年設定)やインデックスファンド海外株式(ヘッジなし)<旧年金積立>(2001年設定)も依然として上位にランクしています。
さらにシェアを円グラフで表してみました。SMT、eMAXIS、インデックスeで半分を占めています。(ETFは赤字です。以降同じ。)

2.資金流出入額
純資産では只今現在売れているファンドが分かりにくいので、直近6ヶ月の資金流出入額を比較しました。ここではSMT、eMAXISに続いて、<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド(以下、ニッセイ)が3位にランクインしています。

実は今回の4年ぶりに比較してみようとした動機は昨年12月に発売開始されたニッセイがどれだけSMTやeMAXISに食い込んでくるか見てみたかったからです。発売開始から半年間経過したところでニッセイの勢いを見てみました。
ニッセイが伸長したのならばどのシェアを喰ったのか、それとも純増なのか。そして今後どこまで伸びていくのか興味深いです。一方で純資産が大きかったステート・ストリートやインデックスファンド海外株式(ヘッジなし)<旧年金積立>の資金流出入額は6か月平均ではマイナスです。ローコストな競合商品がこれだけでひしめき合っているとこれら2商品はさっぱり売れず、このままでは(あるいは既に)じり貧の一途かもしれません。
なおここでもシェアを円グラフで表してみました。(ただし資金流出入額がマイナスのファンドは除く。)SMT、eMAXIS、ニッセイの3つで他を圧倒していますね。これが今のインデックスファンド・マーケットの全てでしょう。

3.信託報酬
今度は21本のインデックスファンドを信託報酬別に並べてみました。信託報酬が同水準の商品ごとにカラーリングしています。色がついていないのは2014年においてはもはやお話にならないレベルの信託報酬の高いインデックス・ファンドです。

それと資金流出入額と信託報酬の2軸の中にプロットした散布図も作成してみました。

「順調&期待大」>積み立て投資するなら、現在ここから選ぶべきというグループ
「安いんだけど...」>コスト競争力が大きく劣後しているわけではない、むしろ優勢なものもあるなかで、売上が伸びない問題はチャネル(販路)かプロモーションか...。
「高くで見向きもされない」>今時そのお値段はないでしょう。横並びが好きな金融機関殿におかれましてはどうせならSMTやニッセイとコスト面で横並びをひとつよろしくお願いします。
以上3つにグルーピングしてみましたが、インデックス投資を実践されている個人投資家の皮膚感覚に合うのではないかと勝手に想像しています。
4.その他
今回の先進国株式のインデックスファンドの比較結果について特に違和感はなかったのですが、その他の所感としては以下のとおりです。
(1)NISA効果を確認
21本のうち資金流出入額が上位ファンド、つまり現在、積極的に買われているファンドにおいてNISAスタート時の本年1月に流出入額が跳ね上がりました。株式の価値は長期的にみれば上昇する。ゆえに投資期間は長めにとるべき。NISA対象期間の開始ととともに一括投資だ。などとファンドの購入者達が考えたのかはわかりませんが、NISA効果をはっきりと確認できました。
(2)古くて販売が伸びないファンドも売り手にとっては美味しい
ファンドを売る側からみれば、販売が伸びないファンドであっても、保有顧客からその高い信託報酬がチャリン、チャリンと懐に入ってくるのですから、自社の既存ファンドを(今時の安い信託報酬のファンドに)統合するインセンティブなど働かないと思われます。三井住友系なんか一つにまとめてもよさげに思いますが、合併で一つになった寄り合い所帯ですと、たすき掛け人事のようにいつまでたってもそれぞれ旧会社の面影を大切にしているのかもしれません。
(3)混乱一歩手前のファンド名称
・インデックスファンド海外株式(ヘッジなし)
・外国株式インデックスファンド
・外国株式インデックス・オープン
・先進国株式インデックス・ファンド
あなたはこの4つのファンドのそれぞれの運用会社名を即座に答えることができるでしょうか。ファンド名に自社略称や特定キーワードを添えていればまだしも、上記の4ファンドのような無味乾燥な名称では見分けがつきにくく面倒です。
一定年数、インデックスファンドを購入したことがある個人投資家ならなんとなくこれは昔の中央三井のヤツね、こちらは年金積立だったかなと察しがつくことがあります。しかしインデックスファンドを買い始めて日が浅い個人投資家の場合、そのような嗅覚も不十分であったりすれば、購入しようとしたファンドを間違えてしまうことに繋がりませんでしょうか。
(4)SMT、eMAXIS、インデックスe、そしてニッセイの今後推移に注目
インデックスファンドの御三家?であったSMT、eMAXIS、インデックスe。そこへニッセイが投信における信託報酬最安値を引っさげて発売開始されました。さっそく資金流出入額ではすでにインデックスeを抜いてeMAXISに迫る勢いです。ニッセイはたしかにコスト面では最も優位ですが、他3商品の実績(純資産)はかなり先行しています。まだ8か月経過時点ですが、これから2年、3年と経ていくと4商品のシェアはどのように推移していくのか。また後年取り上げてみたいと思います。
(・・・・あ、文量が多いので二つに分けようと思いましたが、忘れてました。)
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