損益通算で繰越欠損を控除できるといっても所詮、限られた慰めでしかない
(さあ投資でもって税金を納めましょう、お金を使いましょう。)
確定申告のシーズンです。しかしながらWATANKOは勤務先で昨年から担当し始めた翌年度の予算づくりの仕事に追われており、自身の確定申告の準備はほとんど手つかずで焦っています。来週末には毎年申告業務を代行してもらっている税理士と打ち合わせしなければならなのに...。
・・・というわけで、今回の記事は確定申告で思い出しましたネタ(ただし素人風)あります。(ブログ記事を書いている暇があったら確定申告の準備をしたらどうか、というツッコミはどうかご容赦ください。)
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いまから7年前、2009年の税制改正により「上場株式等の譲渡損失」と「上場株式等の配当等(公募株式投資信託の収益分配金を含みます)」を通算できるようになりました。損益通算するためには、申告分離課税を選択して確定申告する必要があります。さらに上場株式等を譲渡して生じた損失のうち、その年に控除しきれない金額は、翌年以降3年間にわたり株式等の譲渡益、および上場株式等の配当等から控除することができます。(通算損失の繰越控除)
一見、これはリスクをとって投資をした者に対して大いなる福音のように思えますが、あまり過度な期待はできません。
1.先ず損失ありき
いくら損益通算といっても、とある年に損失がでたからといって遡って前年、前々年の利益と通算して、過去に支払った税金を還付してもらおうというわけにはいきません。必ず先に損失が発生することが大前提です。
例えば証券投資を3年間行った以下の2ケースを比べてみます。
A:1年目 損失30万円、2年目 利益10万円、3年目 利益20万円
B:1年目 利益10万円、2年目 利益20万円、3年目 損失30万円
AとBでは損益の累計は同額の0です。しかしAでは1年目の損失を2、3年目の利益と通算することによって2・3年目の利益を申告で0にできますが、Bでは3年目の損失に対して過去の利益には遡及して通算できないので、1・2年目の利益に課せられ、支払った税額は払いっぱなしです。
もしBのケースの時に3年目に発生した損失に嫌気がさして、投資から撤退してしまったらどうでしょう。貴方は1・2年目の利益に関する忠実なる納税者であり、3年目の損失を全て個人で丸抱えした素晴らしいリスクテイカーです。ただし称賛されるかどうかはわかりませんが。
Bのケースでは1・2年目に支払った税金は永遠に戻ってはきません。この個人がこのままでは税金の単なる払いっぱなしでは終わらせたくないと考えたなら、証券投資を4年目、5年目と続けることで利益を創出し、3年目の損失と通算させることが1、2年目に税金を支払ったことに対するせめてもの鎮魂歌でしょう。
こうやって国は投資の損失を被った個人に対して、耳元で「さあ、巻き返しのためにも更に投資を続けましょう。」と囁いているのでしょうか。
2.次に売却を促す
損失を発生させて確定申告をした個人、さあ今度は相場の回復基調に乗って〇〇〇で利益を稼いで、以前の損失と通算するぞと頑張ります。(〇〇〇にはご贔屓の金融商品をいれましょう。)
安倍でもレーガンでもいいですが、目論見があたって△△△ミクスによって保有商品に評価益が発生しました。あきらめずに投資を続けた成果が出てきたわけです。
さてここで過去の損益と通算させるためには、保有商品を売却させて利益確定させねばなりません。しかし特段、資金が必要でもなく、しかも長期投資のために金融商品を購入したのに損益通算をやりたいがためにわざわざ売却するのは本末転倒ではないでしょうか。
ここでまた国は含み益をもった個人に対して、耳元で「さあ、今度は税金もかからないことだし、売却後の利益で人生をエンジョイしましょう」と囁いて、投資の成果を消費(税の増大)へと結びつけようとしているのでしょうか。
(つづく)
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