(続)8万時間働いたら早期リタイアしてもいいですか
(あなたの今の時給、いくらですか?)
(前回からの続きです。)
並みのサラリーマンなら定年まで働いて8万時間。ならばもっと忙しく働いて定年前に8万時間労働を達成させればもう早期リタイアしてもいい頃?激務が続くサラリーマンなら時にはこう考えてもおかしくはないかもしれません。
ちょっと趣は異なりますが、アメリカでは若いときにガンガン働いて一気に稼ぎ、さっさとリタイアしてあとは悠々自適に暮らすというライフスタイルがもてはやされていると以前聞いた覚えがあります。(典型例としてはベンチャービジネスなどで猛烈に働き、保有株を上場と同時に売却して何億、いやそれ以上の金融資産を獲得するとかでしょうか。)ことの真偽、実態はわかりませんが太く短く稼ぐスタイルはひとつの目標にしてもよいかもしれません。
しかしたとえ8万時間働いたとしても、それ以降働かなくて済むほどの資産を形成しないことにはまったく絵空事であります。
そこでまずは8万時間における稼ぎを試算してみます。
1)大卒・正規雇用者の平均給与は5,266千円(*1)。38年間で200,108千円。
2)これを81,472時間で得るとなれば時給は2,456円/h。
3)税金および各種社会保険料でザックリ17~18%程度控除されると手取りの時給はおよそ2,000円/hとなる。
統計上からみると8万時間の労働でリタイアするためには2億円は稼ぐ必要があります。この場合、毎日の残業を沢山してその分、残業代をしっかりともらう(割増賃金となる分、時給はあがるので効率良し。)さらにはその頑張りの結果、当人の評価があがり昇進・昇格がすすんで基準内賃金が高くなることにより時給がアップするという好循環も期待できるでしょうか。
しかし一方で、残業代がもらえる残業時間数は限られており超過分はサービス残業となることが常態化したりするとかえって時給は下がるわ、心身にはよくないわ、ライフワークバランスは悪化するわと良いことはありません。また昇進・昇格したとしても残業代がつかない幹部職になってからも残業を長時間こなさなければならない場合には、残業代がつく非幹部職よりもかえって時給は安くなるという笑えない話もあります。
健全な心身を保てる適度な範囲でもって労働時間の増加や時給のUPを実現させることで8万時間と2億円の早期達成を目指すことができればよいでしょう。
しかしサラリーマンにとっての労働時間の管理や時給のUPは、勤務する会社でのワークスタイルや人事制度の影響から逃れられないでしょう。ここが自営業と違ってサラリーマンのつらいところかもしれません。
むずかしいです。サラリーマンは労働時間を多く費しても報われないかもしません。
さて一応この駄ブログも資産運用ブログの端くれなので、「労働時間の増加や時給のUPだけでなく、やはりサラリーマンは収入の安定性を活かした貯蓄とそれをもとにした資産運用も重要です。ついては長時間労働にもへっちゃらな“ほったらかし投資”であるインデックス投資にチャレンジしてはどうでしょうか。」と繋げたいところです。
今回の試算事例では手取りの時給2,000円/hのうち2割の400円を貯蓄にまわして81,472時間を乗じると32,588千円となります。毎年均等にインデックス投信を積み立て購入し、20年間継続するとなれば平均残高16,000千円×税引き後リターン3%×20年間≒10,000千円程度の上乗せを期待できるかもしれません。
さらにここに退職金が10,000千円程度加わるとすれば、貯蓄+運用とあわせて50,000千円超の資産を形成できます。
労働時間の管理や時給のUPがままならないかもしれないサラリーマンの仕事に比べて、投資行動は当人の裁量の余地が大きいです。自営業と同じように自分がとった行動の結果は全て自分にかえってきます。それだけにやはり投資は自営業と同様、やりがいがある経済行動ではないでしょうか。
« 8万時間働いたら早期リタイアしてもいいですか | トップページ | 節約をしたかったらホームセンターにいってはいけない »
「ライフスタイル」カテゴリの記事
- 景気によってふれてくる大学選び(2019.08.10)
- 最後のキャリアをはじめて1年が経ちましたー好きにやらせてもらいます(2019.07.01)
- 親の看取り 第3章(2019.06.15)
- クレジットカード解約の面倒臭さで気がついたこと(2019.06.06)
- 今年のGWはリタイア生活に向けて必要なことを確認した10日間(2019.05.08)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
« 8万時間働いたら早期リタイアしてもいいですか | トップページ | 節約をしたかったらホームセンターにいってはいけない »
サラリーマンは私の場合、ヘッジ債券です(笑)。
まあ、潰れることもないだろうし(多分・・)、リストラはあってもまあ何とか(専門職なので・・)。
他方、同族会社は浮き沈みがあります。
毎月ウン十万入ることもあれば、空室が出た瞬間、維持コストで赤に・・。
会社経費が使えるといっても決定権はないので、只秘密口座に眠っているだけ(苦笑)。
それよりも、最近は金の遣い方を考え直しています。
ケチケチレギュラーを入れるよりも、ハイオクで気持ちよく奔る!
レストランでワンランク高いものを食べる・・等々。
妻も主婦がいいなあ~(爆)
投稿: 預金王 | 2015年5月 6日 (水) 13時14分
預金王さん
コメントありがとうございます。
前々から気になっていたのですが、預金王さんはサラリーマンの他に副業をなさっているでしょうか?(上記コメントからは法人形態で不動産賃貸業と推測?)
だとしたら預金王さんの低リスクで運用するという投資スタンスは、一方で副業で十分なリスクをとっているため、これとのバランスを考えてのことかと推察しました。
投稿: WATANKO | 2015年5月 6日 (水) 17時38分
実は実家が商売しています(自営でもきちんと社保・株式形態です)。
詳しくは言えませんが、土地の超高騰で日本人にありがちな不動産王(?)というのは大げさですが、まあ・・ほぼリスクなしですね(元々戦後の土地は一からの筈ですから)。
だからこそ、その後の不動産や株式に投資した人の悲惨さをよく知っています(自殺に追い込まれたのかわかりませんが、首を括った人たちが大勢いたようです・・)。
唯一、(戦後)何の損害も受けていないのが日本国債。
仕事も公務員はリスクがありません(首にできません)。
私自身は高給取りではとてもないですが、周りの富豪(?)を見ていると、得の裏に損があるがそれをきちんとヘッジできている。
逆を言えば、庶民は勝ちの裏に多くの負けがある(これは投資の意味です)。
インデックス投資家も負けて撤退した人が結構いましたし、今儲けている人たちは勝ち組といっていいでしょう・・。
長くなりましたが・・世の中は不平等にできていますが、勝つために努力している人たちが残っています。成功にあぐらをかかず、常に研究が欠かせません(苦笑)
投稿: 預金王 | 2015年5月 6日 (水) 20時34分
預金王さん
ご返事ありがとうございます。
なるほどよくわかりました。ご両親がリタイアされたあとの事業継承が悩ましいかもしれませんね。
>世の中は不平等にできていますが、勝つために努力している人たちが残っています。成功にあぐらをかかず、常に研究が欠かせません
勝って兜の緒を締めよ、ですね。それと努力を欠かさないだけでなく、欲の皮をつっぱららせ過ぎないことも大事だとWATANKOは考えます。
投稿: WATANKO | 2015年5月 6日 (水) 21時55分