東芝のおかげで多くの企業がまたぞろ迷惑を被るか
(業績を上げたいばかりに...。)
東芝が インフラ関連案件で生じた損失の計上を意図的に先送りするために不適切な会計処理を行っていたことが問題となっています。またインフラだけでなく半導体、パソコン、テレビの各分野にも同様の疑惑がもたれたり、上司(マネジメント)から部下(部門責任者や担当等)に対する圧力もあったとのこと。金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の処分対象にあたるか、経営陣の責任がどこまで及ぶかが今後注目されることでしょう。
この疑惑についてはまだ全容はわかっていませんが、これまでの一連の報道を聞いてWATANKOは昔話をひとつ思い出しました。
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もう10年以上も経ちますが、2004年に西武鉄道にて証券取引法違法事件がありました。この事件はひとことでいえば同社の有価証券報告書がデタラメであり、かつ会社法務も個人商店のようなアバウトさであったということです。
米国ではこの数年前にエンロンやワールドコムの不正会計事件も明るみになりましたが、日本でも西武鉄道のこの事件が随分と話題になりました。ちょうど経営トップの堤義明氏の強烈なワンマン経営も揶揄されて話題に拍車をかけました。
この事件などきっかけとしてJ-SOX法(内部統制報告制度)が制定され、企業は内部統制報告書の提出が義務づけられ、それに伴い役員は報告書の誓約書をかかされるわ、企業の業務監査体制はにわかに強化整備を求められるわで2000年代中盤は企業の管理部門はちょっと大変でありました。
企業の管理部門に在勤するWATANKOの知人はこうしたムーブメントを強いられることに対して西武鉄道に恨み節を抱いていました。
彼いわく、西武鉄道のような一部の甚だしくデタラメをやっている企業のおかげで、ほかのちゃんと運営している多くの企業までが疑われる。そのために規制法が強まり、ちゃんとやっていることを証明させられるはめになり、そのために仕事が増える始末だとのこと。(←ここが一番いいたかったらしい。)
WATANKOからみれば、それまでの法制度がザルすぎたゆえに、当時の西武鉄道のようなトンデモ企業が出てくる始末になったのでしょうといいたいですが。
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東芝の不適切な会計処理は長期プロジェクトの採算を管理する工事進行基準の会計処理が該当したと報じられています。この事件のおかげで同様な会計処理を行う他社がむやみやたらと疑われたりすることがないとよいのですが。
そして疑われずとも、これがきっかけとなり工事進行基準をはじめとする会計処理基準の厳格な適用とそれを担保するために監査法人による企業の締め付けが厳しくなったりはしませんでしょうか。
東芝の不適切な会計処理がトリガーとなって、会計監査や内部統制が強化されるような法整備が進むでしょうか。そして東芝とは何の取引関係もない多くの企業が、東芝のおかげでまたぞろ迷惑を被るのでしょうか。
かつて西武鉄道が引き起こした事件に憤慨していた知人が、これを聞いたらどう思うか。この騒動について、久しぶりに彼の感想を聞いてみたくなってきました。
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