(続)NAからNDへ、ふたたびロードスターと過ごす日々の始まり
ついに、そしてふたたび所有することになったマツダ・ロードスター。その新型NDのインプレションの続きであります。
■操安性
ここが本インプレッションで最も語るべきところです。
ロードスターはその歴代モデルのどれもが開発目標の一つに「ヨー慣性モーメントの低減」を掲げていました。重量物はなるべく車体の中央に寄せる。とくにオーバーハングに重いものを配置しないことが重要です。
NDの開発話や宣伝文句を読むと、またぞろ新味なく「ヨー慣性モーメントの低減」が唱われています。はいはい、それロードスターの基本でしょ。わかってますよとやや知ったかぶり調な気持ちのままNDをドライブして、わずか数分で自動車の神様を信じたくなりました。
「なんじゃこのNDは!本当にフロントにエンジンを積んでいるのか?フロントに重量物を積んでいる印象がほとんどないじゃないか!!」と驚嘆です。
このND、とにかく鼻先が軽いです。ひょっとしてミッドシップレイアウトを採用するスポーツカーに互しているかもしれません。軽すぎてフロントタイヤの接地感すらも薄らぐくらいです。
これはNDから採用された電動パワステの至って軽い味付けもまた拍車をかけていることでしょう。このNDに一体アンダーステアは発生するのでしょうかと疑ってしまうほどです。
かといってリアが不安定ですぐ腰が振れる=ゆえにオーバーステアになるといった単純な話ではありません。日常領域ではリアの安定性も十分です。(これがスタビライザー無しのSグレードだともっとリアが振れて、それはそれで楽しいのかもしれません。)
神格化された初代NAモデルとの比較をおそれずに言わせてもらえれば、もはやこの鼻先の軽さはNA以上です。(こう書くと熱心なNAファンから反論がでるかもしれませんが、NAモデルを最近までも含めて何度か乗っているWATANKOからみても偽ざるを得ない感想です。)
しかもコーナーではハンドルをきると一瞬のタメのあと、軽やかな羽のようにフワリと曲がります。以前のモデルではヒラリヒラリといった身のこなしが、NDではそこに圧倒的な軽量感が備わってフワリフワリです。そこにボディ剛性の高まりと相まった結果、洗練不足で荒っぽいという印象は皆無です。
また締め上げたサスペンションとタイヤのグリップだのみでミズスマシのように姿勢を一定に無理矢理保っているコーナリングでもありません。
NDは歴代モデルがそうであったようにカーブを走ることがとても楽しいですが、そこには軽量感が想像以上に増しており、スポーツドライビングを期待するドライバーにとっては思わず笑みがこぼれてきます。
「これこれ、このコーナリングは素晴らしい。あっはっはっは。。。あ、もう手放したくはない。いつまでも運転していたい。」
■オープンドライビング
オープンドライブの爽快感にも振れておかねばなりません。
歴代ロードスターと同様、NDもまたフロントウインドのサイズは適度に小さく、ウィンドの周囲を流れる風を感じることができ、オープンカーの走らせている感覚がたっぷりします。
これがクーペの屋根切り落としやメタルトップモデルだとウインドのサイズが結構大きくて、オープンカーというより、極大なサンルーフがついた印象にもなりかねません。
サイドウィンドをあげて走れば風の流入量も調節できます。シート後方にあるウィンドディフレクター(小さなついたて)も風の流入を抑えており、車内は快適です。
そして友人に運転をかわってもらい、助手席でオープンドライブを楽しむのもまた格別なのです。
助手席から後ろを振り返れば、横から斜め後方、そして後ろにわたって風が流れ、音が流れ、景色がながれ、自然が流れていきます。
上を見上げれば木々のアーチの下を走り、木漏れ日を浴びつつ、鳥の鳴き声を聞きながら自然を強く感じることができます。さらに夜になれば頭上の星々がゆっくりとした流れ星のように流れていき、神秘的な清々しさすら感じます。
ああ、自然のもとでオープンカーをドライブするとはなんと極上なカーライフなことか。
■装備そのほか
車線逸脱警報システム(スポーツドライビングの時には自動的に無作動となる優れモノ)、斜め後方の接近車を知らせるアラーム、ハイ・ローを自動切り替えするオートライト、燃費運転の度合いや運転のスムーズさを表示するインテリジェントナビ、MTには燃費運転推奨ギア表示まであります。いまどきの車は安全装備・環境装備が満艦飾ですね。
幌の開け閉めは運転席から至って簡単です。その手間をわかりやすく表現するとすれば、自転車のスタンドをガッチャンと立てる程度の手間しかからないといったところです。世界最速で幌の開け閉めができるオープンカーではないでしょうか。
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何人かの車好きの知り合いにE90(BMW)からロードスターに乗り換えることを話すと、中には「ええっ!せっかくBMWの、しかももう手に入らない直列6気筒NAを積んだ3シリを手放すなんてもったいない。BMWを売ってマツダ買うなんてアンビリーバボーだ。」という反応をする人もいます。
しかしこれもまた自分が本当に乗りたい、所有したいと判断した結果なのです。そこにヒエラルキーだの、車格だの、ブランドなどは一切関係ねえ。理想を求めつつ、そこにとてつもない技術と見識と熱意がつまって至高にいたり開発された量販自動車について、その価値を認めつつカーライフのパートナーとして見初めたわけであります。エンスージアストのひとりとして全力で選んだ今、最高の1台がこのNDロードスターです。
ロードスターはスポーツドライビングとオープンドライビングを味わえる。維持費もやすい。だれもが幸せになれる車です。
この車を車両本体価格250万円から買える日本人とはなんと幸せであることか。それがわかっている人の数だけNDロードスターは確実に売れることでしょう。
かつてNAに乗っていたときも、そしてこのNDに乗っているときも信号待ちで隣のミニバンの中から小さい子供が手を振ってくれることがあります。もしWATANKOがベンツのようないかついオープンモデルにのっていたのなら、彼らは果たして手を振ってくれたでしょうか。
高級オープンモデルとは異なり、ロードスターは周囲に威圧的な印象を周囲に与えることはなく、この面でも社会にとけ込むよき1台の車かもしれません。
このロードスターでまた運転の技能も少しは高めたいです。運転の楽しさでもって笑顔が増えれば、最近目立ちはじめたほうれい線も消えるかもしれません。休日早朝のドライブのために平日の酒量も減ることで健康増進です。もうちょっとファッションにも気をつかいましょう。そうして自分は少し若返りをはかりつつ、人生の後半戦に臨むことにします。Be a driver
(あとがきにかえて)
納車の翌日、小学生の次男を乗せてドライブしました。次男はオープンドライブにやや照れくさそうにしながらも、それまで体験したことのないモータリゼーションに直面して、だんだんとその楽しみがわかってきたようです。その夜ベッドにいく前に「お父さん、またロードスターに乗せてね」とひとことあり。
「もちろんさ。もし君が運転免許をとってこのオープンカーを運転したくなったらお父さんとシェアしてもいいし、やがては君がオーナーになってもいい。自動車は運転して楽しく、そしてどこへでもいける自由な翼なんだ。」
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納車おめでとうございます。
嬉しさがいっぱい伝わってくる文章で、読んでるこちらも笑顔になります。
わたくしも、もう一度SW20を購入したくなっちゃいました。
投稿: 工員 | 2015年7月20日 (月) 19時44分
工員さん
コメントありがとうございます。
昔みたいにちょくちょく乗る時間がとれないのが目下の悩みです。
>わたくしも、もう一度SW20を購入したくなっちゃいました。
マジレスしますとミッドシップ狙いなら、S660のアッパーモデル発売の噂あり、これを狙っては如何でしょう。
投稿: WATANKO | 2015年7月20日 (月) 23時04分
かっこいいお父さんですね^^
私も年末に購入を検討している31歳♂なのですが
久しぶりに、坂道渋滞にはまってしまい
いまMTかATかで悩んでいます。
信号減らないかなぁ(笑
投稿: SHIN | 2015年9月 5日 (土) 19時02分
SHINさん
コメントありがとうございます。
見た目は普通の中年なので、せめてボキャブラりーだけでもカッコよく行きたいものです。
>MTかATかで悩んでいます。
昔ならMT一択ですが、最近はATも出来が良いので、是非しっかりじっくり両方を試乗されることをお勧めします。
またNDの購入で相談あれば今後もどうぞ。ただし投資同様、最後は自己責任ですが(笑)
今日は久しぶりに天気がよく、かつ時間がとれた週末でしたのでNDを存分に堪能しまいた。1.5Lでも4,000回転もまわせば十分速いですよ。また水洗い後のソウルレッドプレミアムのツヤッツヤなこと!
と書いていたら、また乗りたくなりました。夜ドライブに行ってまいります。
投稿: WATANKO | 2015年9月 5日 (土) 20時07分
本をよく読みますか?
表現力と読みやすさが良いです^^
まだATには試乗していないんですよね。
なかなか持ってきてくれない。
色はなんと青です。
キャリパーを黄色に、ローターを交換すればいける気がしていますw
やっぱり地デジやBOSEなどのオプションをつけないと
在庫からの出荷になっちゃいますかね?
投稿: SHIN | 2015年9月 6日 (日) 22時49分
SHINさん
>本をよく読みますか?
表現力と読みやすさが良いです^^
ありがとうございます。
読書量は人並であります。
>まだATには試乗していないんですよね。
なかなか持ってきてくれない。
Webでみかける個人の試乗記にはATモデルに乗ったものも散見されます。越県まで含めて他のディーラーもあたってみてはいかがでしょうか。
> 色はなんと青です。
キャリパーを黄色に、ローターを交換すればいける気がしていますw
ブルーリフレックスマイカですか。いやー渋いな~。長く飽きがこない色ですね。
>やっぱり地デジやBOSEなどのオプションをつけないと
在庫からの出荷になっちゃいますかね?
基本的には展示車、試乗車の販売ならともかく、現時点では受注に生産が追い付かないので在庫はほとんどないと聞きます。
ただしグレード、仕様によっては話が別で、自車の納車時点(7月)で、買ったディーラーから聞いたところでは、そこではATの受注が思ったより伸びず、在庫があり即納とも聞きました。
また在庫車といっても何カ月も野晒しにした個体でもないでしょうし、値引きも少しは期待できるのではないでしょうか。
投稿: WATANKO | 2015年9月 8日 (火) 00時18分
なるほど! ありがとうございます^^
年末商戦を狙うべきか
2月末を狙うか迷いますなぁ
値引きは期待できませんが
3月末の車検にさえ間に合ってくれたら良いのですが(笑
そんな状況です
投稿: SHIN | 2015年9月 8日 (火) 23時52分
SHINさん
駐車スペースと資金があれば、買うのは「今でしょ」(笑)
吉報をお待ち申しあげます。
投稿: WATANKO | 2015年9月12日 (土) 09時03分