さらば毎月分配型投資信託・・・なのだろうか
(かつて栄えた毎月分配型投信はいま...)
いつのまにかそんな事態になっていたとは知りませんでした。日経新聞によると全株式投信の純資産残高に占める毎月分配型の割合が半分以下になってきたということです。
参照記事
日経新聞 毎月分配型5割割れ 7月末残高 投信、長期志向が強まる(会員登録が必要です。)
記事によると株式投信の7月末純資産は84.3兆円。うち毎月分配型が約42兆円で49%のこと。野村アセットマネジメントによれば50%割れは2007年11月以来。アベノミクスをうけて日本株投信に資金が多く向かった。NISAの普及に伴い、毎月の分配金の再投資で非課税枠を使い切るより、分配金を抑えた投信が選ばれた模様です。
そこで投資信託の分配金の支払間隔別に投信の本数を調べてみました。
Notes)
*出所:モーニングスター
*DCおよびSMA専用ファンドを除く
投資信託について分配金の支払間隔別の商品数でみると、毎月分配型、2/3/6か月毎分配型、1年以上でそれぞれおよそ1/3ずつの割合になっています。
毎月分配型は32%ですが、上述の記事によれば32%の商品数で純資産の49%を占めているため、分配金支払間隔の3つのケースの中ではいちおう依然として最大派閥ということになります。
しかしながら記事によると、毎月分配型は一時、7割の純資産残高を占めていたとあります。そのころに比べれば、現在そのシェアは明らかに減少しました。かつて5兆円の純資産を誇っていたグローバル・ソブリン・オープンがいまや1兆円を切る水準まで落ち込んでいることが象徴的でしょう。
これは果たして投信を購入する顧客の金融リテラシーが向上して、非効率な毎月分配型を避けるようになったことを意味しているでしょうか。
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投資信託協会が毎年実施している「投資信託に関するアンケート調査報告書」にある投信購入の際のポイントについて、(両年度で質問が微妙に異なりますが)2007年度と2014年を比較すると以下のとおりです。(アンケートは複数回答)
出所:
「投資信託に関するアンケート調査報告書-2007年」
「投資信託に関するアンケート調査報告書-2014年」
◆2007年調査「投資信託購入の決め手」
「安全性の高さ」(37.4%)
「分配の頻度・実績」(36.5%)
「過去の運用実績」(35.7%)
「値上がり期待」(31.3%)
「換金のしやすさ」(12.6%)
◆2014年調査「投資信託購入の際の重視点と今後重視したい点」
「安全性の高さ」(順に51.9%、55.7%)
「値上がり期待」(36.3%、38.4%)
「過去の運用実績」(29.5%、24.9%)
「過去の分配金額」(23.6%、15.6%)
「分配頻度の多さ」(20.3%、13.9%)
「値上がり期待」や「過去に運用実績」が2007年も2014年も変わらず30%前後を得ているのに対して、「分配頻度の多さ」や「過去の分配実績」は36.5%⇒23.6%/20.3%⇒15.6%/13.9%と事由としては明らかに減少しています。
ちなみに「安全性の高さ」が2007年に対して2014年は大きくのびています。リーマンショックで損失を被ったり、長い間評価損を抱えた苦い経験を反映した結果かもしれません。
「日本の投資信託は毎月分配型が多くを占めている」というフレーズは、日本の投信の現状を語る際の常套文句として、長い事用いられてきました。そしてそれは投資信託を用いた資産運用における個人の金融リテラシーのレベルを表現するフレーズとしても用いられてきました。
しかしながら段々とその景色は変わってきたのでしょうか。それとも...。
(つづく)
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コメント
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私もこの記事には違和感を覚えました。
最近は株式のパフォーマンスが高いので、投資信託も株式タイプに資金流入しており、結果として毎月配当型が選ばれていないだけなんじゃないかと。。。(毎月配当型は基本、債券投信)
一方の債券も今は高くて、つまり金利が低いので、配当利回り狙いの投資が好まれにくいのでしょう(株に比べて魅力薄に映る)。
投稿: CHIBI | 2015年8月15日 (土) 15時42分
CHIBIさん
コメントありがとうございます。
続き記事をUPしました。私も同意であります。
投稿: WATANKO | 2015年8月15日 (土) 16時22分