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2015年8月15日 (土)

(続)さらば毎月分配型投資信託、・・・なのだろうか

【7月24日終値ベース運用状況速報】

■投資元本(待機資金含む)

66,000千円

■評価損益(分配金・確定損益・税還付込み)

38,188千円

■損益率

57.9%

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

(前回からのつづきです。)

株式投信の7月末純資産のうち、毎月分配型が占める割合は49%と5割を割ったことが報じられました。

経済評論家や我々個人投資家は時折、毎月分配型投信を買うことを個人の金融リテラシーの(あまり高くはない)レベルを表現するフレーズとしても用いることがしばしばでした。

では逆に言えば毎月分配型投信が売れなくなった=個人の金融リテラシーのレベルが向上したのでしょうか。

▼単なるアセットクラスの流行り廃りにすぎない

前出のモーニングスターのデータによると、毎月分配型投信において選ばれるアセットクラスは以下のとおり海外債券が多くを占めています。

Notes)
*出所:モーニングスター
*DCおよびSMA専用ファンドを除く

201508151


201508152

海外債券については、ここ数年における先進国の利回り低下の影響をうけてリターンが芳しくありません。なお最近はそれを補おうといろいろな仕組みをトッピングして分配金利回りをあげようと画策してきています。

一方でアベノミクスによってここ2年半の日本株式のリターンはそれ以前と比べて好調です。つまりは日経の記事でも触れているとおり、資金が集まるアセットクラスが海外債券から国内株式にシフトしており、それによって海外債券を投資対象としている商品が多い毎月分配型投信のシェアが低下したというわけです。

例えば現在ちょっと下落気味な新興国アセットですが、今後これが上昇してくれば今度はそこに個人投資家の資金が流れるという構図が見え隠れやしませんでしょうか。


あるいはもしも流行の日本株式を対象として毎月分配型投信がバンバン新規発売され、それが販売を伸ばしたとあれば、多くの個人投資家が毎月分配型投信の非合理性について無理解または軽視しているという相変わらずの金融リテラシーのレベルが露見することでしょう。

▼次なる虫取り網のひとつ、ラップ口座

参照記事
日経新聞 ラップ口座、4兆円超え 残高1年で3倍弱に

毎月分配型が廃り始めてきた一方で、金融機関は今度はラップ口座に力を入れています。
個人が投資先選びなど資産運用を金融機関に一任するラップ口座の残高が急拡大しており、3月末までの1年間で3倍弱に膨らみ、4月末には4兆円を超えたとのことです。

それまで数千万~億円単位であった取り扱い金額を3,000~5,000千円まで引き下げて、市井の人間の預金を狙っております。皆さんのご両親のところにはラップ口座の勧誘は来ておりませんでしょうか。

ここには介護問題を背景とした老親の資産管理、法改正に伴う相続税の負担増、さらには株式相場の好調持続に対する注目、または将来のインフレ等への警戒とその対策として、投資の必要性を感じはじめた(しかし投資に詳しくなく、勉強する時間もとれないという)個人に対する金融機関のマーケティングが見えます。

これに個人がホイホイとのってしまうようであれば、毎月分配型投信の廃り=金融リテラシーの向上とは到底言えないでしょう。

★目先の流れに惑わされない

こうして儲かりそうな商品、アセット、銘柄、投資手法に都度ホッピングする。

そこに見えるのは個人投資家が自ら策定した固有のポートフォリオを基盤として、リスクに気を配り、目の前の短期的な相場の変動に流されず、コツコツ長期投資をする姿勢とはだいぶ違う姿であります。

投資における成功の秘訣の一つは、いうまでもありませんが色々な投資対象に手金を張るという分散投資で大損を避ける、無リスク資産も含めてリバランスを行いリスク管理で大損を避ける、目標を達成したらスッパリ手仕舞いすることで大損を避けることであります。

どのアセットが儲かっているかと流行り廃りを探索してみたり、上昇しているからといて特定の投資対象に手金の大半を突っ込む愚を避けるべきことは、この駄ブログに来訪される聡明なる皆さんであれば説明不要でありましょう。

ひょっとして来年の今頃はいまと全く異なるアセットクラスが注目を浴びているかもしれません。

でもそうして常に移ろいゆく目先の流れには惑わされないようにしましょう。


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投資信託」カテゴリの記事

コメント

いつもお世話になっております。

金融庁のお達し後、毎月分配の代わりにラップ口座が流行っていますね。

頭ごなしには否定しませんが、それに年間数%以上のコストを支払う価値があるかを判断できたうえで投資をできる必要はありますね。
できないからこそこういったファンドに流れてしまうのでしょうけど。

今噂の4階建て毎月分配には3000億近く資金が流れていますので、一概に毎月分配への資金流入が止まったとも思えません。

今後はやりそうなのはスマートベータへ投資するファンドオブファンズとかですかね(笑)信託報酬は2%くらいとるんでしょうけど。

ニシさん

コメントありがとうございます。

マーケティング次第では毎月分配型がまたぞろ息を吹き返すことは十分考えられます。

また単発アセットのファンドはアセットの種類で制限されますが、バランスファンドは組み合わせ次第でいくらでも組成できますから、これから乱発されるかもしれませんね。

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