終わりで大きく儲かる「つみたて投資」-長期投資に資する一冊
(ひたすらつみたて)
ひたすらつみたて投資の効能を唱える星野泰平氏の新著が発売されました。本著は前著 半値になっても儲かる「つみたて投資」を補強する内容であり、つみたて投資の最重要な点と心配事について、丁寧に解説されています。
終わりで大きく儲かる「つみたて投資」
目次ならびに概要は以下のとおりです。
●プロローグ
●第1章 つみたて投資は「最後」が重要
●第2章 つみたて投資の序盤は重要ではない
●第3章 つみたて投資の疑似体験
●第4章 どっちが増える?つみたてクイズ
●第5章 つみたて投資の鉄則
●第6章 日本人は税金への意識が低すぎる
●第7章 つみたて投資の終盤の考え方
●おわりに つみたて投資は老後の資産を増やす武器になる
●プロローグ、第1章
「商品の価格と投資の成績は異なる。両者の差は購入口数(量)を考慮する/しないの差」
「たくさんの口数(量)を買い込んだ結果、終盤に価格が上がればしっかりとリターンが出る。(=「価格×量」という掛け算の力で増やす方法)」
商品の価格が下落しても、その価格でたくさんの口数を買い込み、平均購入単価がそこそこ引き下がったところで、価格の上昇が発生するば購入者が想像するよりも早く、そして大きく利益があがってくることを紹介しています。
●第2章
「序盤は購入口数の累計が少ないのでそれほど差が出ない。投資のスタート時期にナーバスになる必要はない。むしろ早く始めて投資の成績を大きく伸ばすべき。つみたて投資は「時間」に投資する。」
投資の期間を長くとればとるほど、まさに序盤における価格の影響は軽微になっていく。むしろ重要なのは長期に渡り投資をすること。
●第3章、第4章
バブル崩壊後の日本株式の値動きを題材として、つみたて投資の効果を表したり、理解を深めるためにクイズ形式をそろえたりしています。
●第5章、第6章
つみたて投資が利益がでる大前提としての世界経済の成長についてその蓋然性があることを唱えています。また税金負担は手取りリターンを押し下げるため、もっと日本人は確定拠出年金の活用など節税に関心をもつべきとも説いています。
●第7章
第1章へのアンチテーゼ(終盤に価格が下がった場合、どうする?)についての対処(=積み立て投資をためらう原因の排除)について触れています。
本著はいわゆるインデックス投資の実践手法のひとつとしてのドルコスト平均法について、その効果をわかりやすく解説した書籍ともいえます。しかし本書では「インデックス投資」「ドルコスト平均法」といったキーワードは一切出てきません。これらのキーワードに触れることで話を逸らせる、拡散させることは微塵もさせず雑味を混ぜることなく、ひたすら価格×数量の組み合わせでもって投資を長期間継続することの効果について説いています。
たったひとつの大前提である世界経済の拡大と価値の増大、それが証券の価格に反映されることさえ信じることができるのならば、そして個人が予定している投資の終盤において価格下落に見舞われた際に冷静な対処さえすれば、大抵の場合は報われることを訴えています。
そのようなこと唱えられても、これからの世界経済は混迷と低迷の中にあり、価格の右肩あがりは期待できない、下落ひとすじを信じてやまないという方がいるならばひたすら信用売りの「つみたて」を絶えず続けてそこからリターンを得てみてください。
インデックス投資にまつわる個々の具体的な手法や商品選択に関しては、個人投資家の間ではいろいろな賛否が飛び交うことがあります。
そのような時に個人投資家としてのWATANKOが個々の手法や選択に対する判断の軸としてもっていることは、それが長期投資に資することであるかどうかであります。
それから言えば星野秦平氏がひたすら訴えるつみたて投資もまた長期投資を続けることについて有益な考え方であり、これを支持します。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
思えば人生もいろいろな「つみたて」の集合かもしれません。知識・経験、友人・知人等交流関係、物欲の充足、10年間より現在、現在よりも10年後の方がよりたくさんの「つみたて」の成果を享受できると良いものですね。
(あとがきにかえて)
WATANKO妻「あなたの書斎に書類と本が、週末には雑用が山のようにつみたてされているわよ。」
WATANKO「なにお~、妻のタンスにも同じような衣類がたくさんつみたてされているじゃあないか!」
WATANKO妻「ぐぬぬ」
攻守逆転(たまには)
最近のコメント