(続)サラリーマンの世界で自動車を作る三菱自動車はもう忘れていい
(最後に、三菱自動車の中でWATANKOが一番好きだったE30ギャランの雄姿を貼っておきます。引用元GooNET)
(前回からの続きです。)
燃費に関する不正問題が明るみになった三菱自動車。そのきっかけは提携により軽自動車を供給している日産からの問い合わせによるものでした。となれば今後の三菱自動車と日産との間にある軽自動車の開発・生産に関する提携はどうなるのでしょうか。
素人目に見ても日産としては本件にかかわる三菱自動車への損害賠償は当然として、さらに水面下では提携解消の方向で検討中と推測します。
しかし日産にとって、エントリーモデルともなる安価な軽自動車は、自社による顧客の将来の囲い込みのために今や欠かせないモデルです。よって日産は三菱自動車に代わる他の軽メーカーとの提携を当然模索するでしょう。
相手としては乗用車の大手ライバルであるホンダやダイハツ(トヨタの子会社)は考えにくく、したがいスズキあたりが妥当な線でしょうか。
さて一方の三菱自動車の方はというと、まず国内の2015年の自動車販売台数は以下のとおりです。
登録車(軽自動車以外) 40,546台
ekワゴン(軽自動車) 46,142台
デイズ(ekワゴンの日産版) 150,696台
三菱自動車は自社の登録車の4倍弱、ekワゴンの3倍強の台数を日産に卸しているわけです。
この日産への軽自動車の供給が絶たれることになると、三菱自動車にとっては相当痛いです。
参照記事
MARKLINES 自動車産業ポータル 自動車販売台数速報 日本 2015年
軽自動車 販売台数
2015年 年間 軽自動車 販売台数ランキング トップ15
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さらに三菱自動車では、特別調査委員会による調査結果を待つ一方で、内部では業績の悪化予想とそこからはじき出される金融支援策、さらには経営責任をとるかたちでの人事が検討されているでしょう。
しかしそうやっていつもの通り三菱村からカネとヒトを出してもらったところで、これだけブランドが棄損して、お客の信頼を裏切った三菱自動車は企業として存続できるでしょうか。
三菱自動車の今年の国内新車販売台数に要注目です。
それでも三菱村の各社からみれば、国内外合計で年間120万台もの自動車を製造・販売するビジネスをそう簡単に潰すわけにはいかないでしょう。
となればもしも三菱自動車の自主再建が困難な場合、最悪でも他メーカーとの資本参加や業務提携を図るほかありません。
しかし2000年、2004年のリコール隠しとヤミ改修の発覚騒動があった時点で、他社との提携(と救済)が成立しなかった三菱自動車について、今更一体どこのメーカーが食指をのばすのでしょうか。
なかなか見当たりませんが、ちょっと無理やり勝手に想像してみました。
1.ホンダ
メインバンクが同じBTMUが仲人役をかってでるというものです。ちなみにホンダと三菱自動車の合併は20年くらい前も週刊誌の記事でみかけたことがあります。その時はミニバンのヒットモデルがでる前の苦境にあえぐホンダを、RV系が好調で飛ぶ鳥を落とす勢いの三菱自動車が救済するトーンで記事は書かれていました。ところが2社の立場は今や全く逆になっています。
ただしこの場合、ホンダからみれば、三菱自動車と組んだとしてもほとんど何も補完するに値するものは見あたりません。ホンダには燃料電池車に加えてPHEVも揃える気があるのでしょうか。
一方の三菱側からみればホンダのアコードやレジェンドのOEM供給をうければラインナップも補完できます。次期デリカD5もステップワゴンのバッジエンジで決まりです。
2.フィアット
ドイツやアメリカのメーカーが三菱自動車に食指を動かすとは考えにくいです。強いてあげるとすればフィアットのマルキオンネCEOが三菱自動車を買い叩きにくるかもしれません。しかし三菱自動車を手に入れたところで、WATANKOには小型車の共同開発ぐらいしか活用方法が浮かんできません。
3.ヒュンダイ
すでに提携関係にあるヒュンダイもまた選択肢にはいるかもしれません。しかしこれはかなり異例となりそうです。「日本が韓国に下った」と騒ぎ、嘆く人が出てくるかもしれません。三菱村の中からも外からも。
■まとめ
顧客への価値の提供よりも、社内に目を向けたサラリーマンがつくる自動車。
それが行き過ぎて上司の命令に背けず、時にはコンプライアンスをないがしろにしてしまう社員がつくる自動車。
三菱自動車の店頭に並んでいる自動車がそのようなものだとしたら、そんな顧客を軽視した、サラリーマンの世界で作られた商品のことはもう忘れてかまわないと考えるのはWATANKOだけでしょうか。
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