60歳を過ぎてデビューすべきは投資家でなくて節約家
(このお金、あと10年でどこまでふやせますか?)
長年の勤務を全うし、無事定年を迎えたシニアの心配事の一つは老後の家計です。そこでまとまった退職金を手にしたシニアが金融機関に相談して、金融商品に対する理解が不十分なままにリスク商品を買わされ、相場下落や円高をくらって保有資産が結構な目減りに合う...。
こんな典型的なストーリー、個人投資家であれば誰しもが一度や二度、聞いたことがあるでしょう。
日経電子版
定年楽園の扉
老後は「お金を働かせよう」というけれど
先日のインデックス投資ナイト2016でも座談会に登壇されていた大江英樹氏のコラムです。
コラムでは退職金という一時所得についての正しい理解と、その運用方法について取り上げされています。具体的な運用方法については、手堅いところでは国債、ある程度リスクがとれる人であれば株式による国際分散投資があげられています。
確かにここで取り上げられた運用方法は、「資産運用をそれなりの期間経験してきた」個人投資家ならば納得のいく内容であります。
しかしもしもシニアが退職金を用いてリスク金融商品による資産運用にデビューしようと考えている場合なら、WATANKOであれば上記のコラムで書かれた内容よりももっと保守的になってしまいます。
それは「60歳定年を迎えた時に、それまでリスク金融商品を用いた資産運用の経験がなければ、以降は投資家デビューはやめておくべき」であります。
なぜなら運用期間が短くて、大した運用成果は期待できないからです。
一方で投資の手間暇と心理的な不安を抱えて過ごすよりも、限られた余生をもっと余暇や楽しみに充てた方がよいからです。
日本人の健康寿命(健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間)は、厚労省によると、ちょっとデータが古いですが、男性で70.42歳、女性で73.63歳となっています。
個人差があるとはいえ慢性疾患や認知症等を健康上の問題を抱えていては、資産運用について十分な時間と気力を掛けることが難しいと考えておくべきでしょう。(これは当人だけでなく家族にシニアを抱えていても同様です。)
そこで60歳定年から健康寿命までの期間がシニアにとって不安なくしっかりと資産運用を行う期間を仮定すれば、男性では10年あまり、女性でも13年半ばとなります。
これはシニアが資産をある程度増やす、それも慎重に増やすために必要な期間としては短すぎやしませんでしょうか。
インデックス投資を採用しても運用期間の後半から終盤期にかけて大きな下落をくらうと資産は大きく目減ります。しからばそうならないようにしようとすれば、シニアがとれるリスク許容量は相当小さくならざるを得ません。
それで絞り込んだ投資元本でもって10年ほどで獲得できるリターンは一体どれほどのものでしょうか。
上記を鑑みればこの場合、資産運用は国債で十分、というか国債くらいしかないのではと思えます。
中には勇猛果敢なシニアが「いやいや2~3年で退職金を2倍くらいに増やしてみせる」と安易に考えて、特定銘柄の株式やREITへの集中投資、詐欺まがいもふくめた様々な現物投資、素人日本人では手に負えない海外投資などに手を出すことがあるかもしれません。しかしこれらは一歩間違えば破滅への序曲であることはいうまでもありません。
「これまでリスク金融商品による資産運用を経験してこなかったことは、個人の資産形成の面からみるとちょっと残念だけれども、それはそれでリスクをとらずに堅実な貯蓄を行ってきた証。定年になって退職金を手にしたからといって、それまでの資産形成のスタンスを無理に変える必要が本当にあるのだろうか。」
定年を迎えて資産運用について考えあぐねている親しい親族、友人に対して、WATANKOならばこのような趣旨のメッセージを送ります。
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(つづく)
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