「子どもが遅くできたから、夫婦の老後が大変」には100%同情できず
就業者の平均所得の低下、将来の雇用・年金などに対する不安、個人の結婚観や人生観の多様化など様々な要因から近年、初婚年齢が上昇(晩婚化)しています。
参照記事
内閣府 平成27年版 少子化社会対策白書
晩婚化と同時に、上記グラフのとおり出産年齢の上昇、すなわち晩産化も徐々に進んでいます。
さて晩産化、つまり高齢になってから子どもをもつ夫婦において、老後の家計を心配するケースがあります。
参照記事
YOMIURI ONLINE
「40代で子宝」夫婦の誤算…「老後破産」の現実(5)
簡単に言えば、40歳を過ぎて子どもをもった場合、60歳定年間近あるいはそれ以降になってまで教育費の負担が続くため、夫婦にとっては老後資産を別途形成するのが大変ということです。
しかしWATANKOはこの意見には100%同情はできません。
■教育費が発生するタイミングが違うだけ
結論から言います。夫婦合計の世帯所得が一定であり、子どもをいつ産んで育てたとしても、かかる教育費が同じと想定します。そうなると子どもの育てる時期の違いは、教育費が実際に発生するタイミングの違いにすぎません。
子どもが遅くに生まれたからといって教育費がことさら余計に嵩むということはありません。
子どもを産んで育てる時期の違いは、夫婦男女の独身時代も含めた数十年間の家計の総和に大きな影響を与えません。子どもが早い・遅いという時期の違いは、キャッシュフローを年次別に見比べた際のバランスの違いでしかありません。
勿論ながら数十年間という長期間においてはマクロ経済動向に始まり、法制・税制の改正、インフレ率の推移、その他教育費にかかわる様々な変動要因が関わります。ただしこれらの変動とて、子どもを遅く生み育てた場合に一概にして不利に働くというわけではありません。
まわりくどい言い方をしました。もっと露骨に言えばこうです。
遅くに子どもを授かった夫婦においては、それまでの短くない期間においては教育費の負担が生じていませんでした。よって若い時から子どもを産み育てた世帯に比べればその分貯蓄ができているのではないですか。
しかしそれが若い独身または結婚子無し時代であったときに、若い子持ちの夫婦世帯よりもゆとりがあった可処分所得を、つい当人達の趣味やライフスタイルのために費消してしまっていたとしたら、後になって「子どもの教育費の負担のために老後資産が足りない、どうしよう。」となってもそれは自業自得な一面がありはしませんでしょうか。
■教育費を後払いするだけ実は堅持ではないか
教育費の確保という面からみれば、晩産化はむしろ望ましい選択肢といえます。
例えばビジネスの世界で収支を考えるときには、「収入はなるべく早く、一方で支出はできるだけ遅く」が基本であります。収入と支出のタイムラグは信用取引となり事業の運転資金となるばかりか、早く入金した分を支払に充てるまでの間、運用が可能となり営業外の収入を得ることもできます。
この手法を夫婦の家計に適用するとどうなるでしょう。
若いうちは独身時代または夫婦は結婚しても当面は子どもをつくらずにキャリア形成に全力投球して収入をあげていきます。(キャッシュインを早く、より大きく増やす。)
一方で子育て支出(キャッシュアウト)はなるべく後回しにして、支出が必要な時期が来るまでの間は、余裕資金分を運用に回して更に増やしておく。
こうして40歳をすぎてから積上がった資産を取り崩して教育費に充てていくというわけです。
若くて収入が少なく、またキュリアをどんどん積んでいく途上で子育てに時間をとられる場合と比べて堅実にみえます。
ただしこの場合、子どもを産み育て始める前に、夫婦そろって将来の教育費のための貯蓄をしっかりと済ませておく必要があります。首尾良くキャリア形成ができて高い年収を実現できる。節約生活を続けてしっかりと貯蓄する。この辺りが不十分であると子育てを後ろ倒しにした意義が薄れてしまいます。
(つづく)
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