フィアットよ、アバルト124スパイダーできたか
(フィアットWebSiteより)
WATANKOが住む地方都市にあるフィアットのディーラーが店舗を市内で移転しました。
そこで新しく建てられたビルの1階に構えられた新店舗を覗きに行ってきました。店内にはフィアット500系やクライスラーのレネゲードなどが展示されていましたが、WATANKOの一番の興味はアバルト124スパイダーです。
ロードスターに関心ある車好きであれば、マツダのこの軽量2シーターオープンカーのシャシーがイタリアのフィアットに供給され姉妹モデルが開発、発売されたことはご存じでしょう。
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■ロードスターとの競合を避けたマーティング
イタリア本国で発表されたのは、欧州ではとても知名度が高い往年モデルと同じフィアット124スパイダーの名前を冠したモデルでした。デザインは昔の124スパイダーのディテールがちりばめられています。
しかしこの124スパイダーをそのまま日本で販売しても本家のロードスター相手に真っ向から競合することになります。
そこでフィアットはロードスターとのバッティングを回避するために、エンジンパワーが明らかに上で、よりアグレッシブな仕立てとしたアバルトというペットネームのモデルを送り込んできました。価格と比べてみると次のとおりです。
ロードスター 2,495~3,197千円
アバルト124スパイダー 3,888~3,996千円
トップグレード同士で比べると124スパイダーの方が800千円、25%高。これは約40馬力、10kgのモアパワー&トルク、ちょっと豪華な内装の仕立て、そしてアバルトというブランドに見合うかどうかは微妙なところです。
ただし欧州での販売価格(例:29,565ポンド×134円=3,962千円)と比べて大きな差はなく、インフラコストが高い日本で上述の値付けとしたのは頑張っていると言えます。
参照記事
こだわり輸入車のコアカーズ
【並行輸入車】アバルト 124スパイダーを徹底解説。お好みの仕様で並行輸入します。
フィアットはこうしてロードスターとはキャラクターと仕様、価格帯が異なるマーケティングを展開してきました。
■実車はとてもアグレッシブなモデルに見える
冒頭で述べたとおり、WATANKOは地元ディーラーで124スパイダーを拝見しました。
NDロードスターに比べて、124スパイダーはサイズも大きく、特にヘリテージルックと呼ばれるボンネットをブラックに装飾された仕様は想像以上にアグレッシブな印象でした。ヘッドライトのデザインはクラシカルですがわかりやすく、万人受けしやすいカッコ良さをもっています。
NDロードスターにモアパワーを求める潜在購入層に対して、124スパイダーはそれなりの訴求力があるでしょう。
一方でロードスターよりも車両重量は1割増え、リアのオーバーハングも伸びている124スパイダーはライトウェイトスポーツの精神においてはロードスターよりも後退しているのも事実です。
オープンスポーツドライビングに関して、ライトウェイトのキビキビとした走りとパワフルなツーリング、どちらの+αを求めるかによってこの2モデルの間での選択はおのずと答えがでてくることでしょう。
■“洋魂和才”なモデルがもっと増えてほしい
イタリアの自動車メーカーはこれまで色々な合併統合を繰り返して現在フィアット1社が残っています。そのような経緯があってフィアットには色々なブランドや馴染みのあるモデル名があります。フィアット以外にもアルファロメオ、ランチア、マセラティ、クライスラー、フェラーリなど等。そしてアバルト124スパイダーというブランド&モデルもそれらの一部です。
フィアットはこういったブランドの扱いが実にうまいです。例えばアルファロメオにおいてジュリエッタ、ジュリアという往年の魅力的なモデル名をうまく使ってニューモデルを発売しています。
昨今はロードスターが、NDを発売してオープンカーの魅力を再び訴求し始めています。そこに乗じてフィアットはマツダの優れたシャシーをつかって自社のスポーツドライビングを提案してきました。
日本の自動車エンジニアリングを活用して、自社のブランドを上手に展開する。フィアットだけでなく、こうした和魂洋才ならぬ“洋魂和才”なモデルがもっと増えると自動車の世界は広がりをみせていきます。
これからも日本のメーカーの優れた製品開発技術、高品質を活かした海外メーカーのモデル展開を期待したいものです。
【2016/11/4追記】
ロードスター(ただし2.0Lモデル)とアバルト124スパイダーの海外比較試乗記事を紹介しておきます。
参考になると思います。
海外自動車試乗レポート
アバルト 124スパイダー vs マツダ MX-5 2.0: 比較試乗
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