積立NISA、10年どまりがちょっと残念
(はい、NISAによる税制優遇はここまでよ。ですか?)
日経新聞によると、財務省が創設する「積立NISA」の方針が固められた模様です。
参照記事
2016年12月2日付日本経済新聞
積み立て型は10年非課税 NISA、年60万円上限
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金融庁は創設されるNISAの新枠についての非課税期間について当初20年を求めていましたが、財務省は検討の結果、10年と設定するようです。その他のポイントは以下のとおりです。
●現行制度との併用は認めず利用者はどちらかを選ぶ。
●投資対象は長期の分散投資に適した一定の投資商品に限る。
●非課税期間中は売却益や配当に対する税金がかからない。(現行NISAと同じ)
●開始時期は2019年1月の案が有力
■10年どまりがちょっと残念
非課税期間が当初案どおり20年でしたら、これは相当に長期間と言え、恒久化にかなり近づいた制度とみなしてもよいでしょう。しかしそれが10年とは半減です。財務省は自民税調の主張とのバランスをとったを記事に書かれていますが、なんともシブチンです。
証券優遇税制(上場株式などの譲渡益および配当等に対する税率を本則の20%から10%に引き下げている特例措置)の時のように太っ腹をみせてほしいです。(当優遇税制には金額上限がなかった。)
そういえば証券優遇税制の適用期間もまた2003年~2013年と10年間でした。“10年ひとくぎり”がお役人の頭の中味なのかもしれません。
■NISAは恒久化か損益通算のどちらかは実現してほしい
WATANKOは昔から唱えていますが、現行NISAとは①期間が5年間と限定されていること、②他の所得と損益通算できないことの2つの特徴をあわせてもっていることが制度として致命的なデメリットになっています。
せめて期間が恒久化されれば損益通算できなくとも、損益プラスの時を狙って利確できます。また損益通算ができれば、期間が限定されても個人の他の所得と通算して税金負担を削減できる機会があります。
NISAはせめて恒久化か、あるいは損益通算が実現してほしいです。そうなれば現在よりも、明らかに活用メリットがでてくるでしょう。
今回の新設枠は、現行NISAよりもはるかに長期間にて設定されることにより、恒久化の実現に類似した改善が実現されると思っていましたが、それが10年とはなんとも惜しいです。しかし5年よりはマシであるのもまた事実。使わない手はありません。
・・・といいたいところですが、金額枠が半減した年間60万円とは、これまた残念です。もう一度言いましょう。財務省はなんともシブチンであります。
■なぜWATANKOはNISAを活用するのか
NISAに関しては120万円であろうが、60万円であろうが年間の非課税適用枠としては物足りなく、その観点から制度自体にネガティブな意見をお持ちの個人投資家の方もいらっしゃることでしょう。
WATANKOとて非課税枠の金額については物足りないと思っている一人ですが、だからといってNISAを全く活用したくないとまでは思いません。
個人の投資行動を推し進めるための優遇制度が、多くの個人に利用してもらって実績が上がる。そうなれば金融庁ひいては財務省も個人投資家向けの税制優遇制度の更なる拡充を検討・実施してもらえる環境が促進されると考えているからです。利用実績が芳しくない税制なぞ拡充に限界があり、なかなか進まないかもしれません。
多少不便で、改善点がある制度であっても許容できる範囲でこれを活用して、証券投資に関する税制優遇について、個人投資家の感度は決して低くないことをアピールしたいものです。
それにしても10年間、60万円ですか。三度言いたくなりました。言ってもいいですか。
シブチンだなあ。財務省。
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