BNDを3年間バイ&ホールドしてみた結果を公開
2013年にて証券優遇税制が終了する際、WATANKOは膨れ上がった28ものインデックスファンドの整理と統合をするために、同年末にいくつかの保有商品を売却しました。その際に売却した商品の中には海外ETFのTOKとEEMがありました。
さて2つのETFの収益分配金と売却で得た外貨を円転してしまう前に、当時、別の海外ETFをトライアルで買ってみようかと模索しました。
そこで選んだのが債券ETFで低い経費率に着目して、バンガード・米国トータル債券市場ETF(BND)でした。
当時、すでにインデックス投資を実践する個人投資家の間では外国債券不要論が広がっておりましたが、何事も自分で確かめてみたくなったWATANKOは、手元にある外貨をつかってひとつの実験ともいうべきBNDのバイ&ホールドをやってみたわけです。
そうやって早3年が経過しました。BNDの3年間のバイ&ホールドの結果やいかに。
■3年間のBND運用結果
まず2013年12月の購入時と2016年12月の評価額の比較です。
ちょうどといいますか、たまたまといいますか3年前と現在では外貨(ドル)建ての評価額はほとんど変動がありません。
それでは次に3年間の間で(外貨建て)基準価額はどのように推移したのかチャートを見てみます。
3年間では2015年1月と2016年7月に84ドルを超える高値をつけています。さりとてBNDの3年間の基準価額の変動は3~4%のレベルであり、債券ファンドだけあって株式ファンドに比べれば穏やかな値動きでありました。
ところがこの3年間ではドル/円の為替は円安傾向が続いたため、円換算では16,645千円から18,860千円と2,215千円も増えました。
さらにこれに対して3年間の収益分配金が円換算で1,107千円あります。(WATANKOは分配金が払い出されるたびに、都度円転してきました。)
よってキャピタルゲイン+インカムゲインのトータルリターンの円換算額は2,215千円+1,107千円=3,322千円、元本の購入時円価額16,645千円に対してちょうど20%となりました。
以上をひとつの表にまとめてみました。
合計3,322千円、20%のトータル・リターンの内訳をみると収益分配金は6.7%、1年あたり2.2%と債券のクーポンらしい水準です。一方で為替変動分は13.3%と、トータル・リターンの3分の2を占めます。
巷の外国債券不要論で言われているとおり、外国債券は外貨建てのリターンよりも為替の影響が大きいということが、上記の実績からもみてとれます。
この3年間では、それ以前の時期に比べて円安傾向が続いたため、それがBNDの円換算のトータル・リターンを押し上げてくれました。しかし、もしも逆に円高とあったならば、外貨建てのリターンは吹き飛ばされ、円換算では評価損を抱えてかもしれません。
■先進国株式と比べてみる
ついでに先進国株式の同期間のトータル・リターンと比べてみるとどうでしょうか。BNDは米国一国の債券ファンドであり、厳密にいえばこの比較はふさわしくないかもしれませんが、大まかな傾向を見る趣旨で比較してみましょう。
ちょうど比較対象となる先進国株式インデックス投信として、WATANKOは外国株式インデックスeを保有していましたので、この商品のトータル・リターンを見てみますと、以下のとおりです。
外国株式インデックスe
●2013年12月評価額 14,348千円
●2016年12月評価額 19,563千円
3年間のトータル・リターンは19,563千円-14,348千円=5,215千円、36.3%となり、BNDは20.0%に対しておよそ1.5倍強の成果を出しています。
どちらもドル/円の為替変動の影響は同様にありますので、差分はもっぱらアセットクラスのリターンの差ということになります。
ここまでだと、「やはり海外アセットクラスは株式だけでOK。債券はパフォーマンス悪し」という結論でおしまいなのですが、「リスク」を正しく捉えるうえでは相場の下落がおこった時についての想像力も働かせる必要があるでしょう。
もしも相場の下落があった場合、株式よりもリスクが低い債券であれば、下落幅は株式よりは幾分かは少なくなります。つまりは相場上昇時にはリターンの面から足枷となっていた債券が、相場下落時には奈落の底に落ちる前のちょっとした緩衝役になっているといったら言い過ぎでしょうか。
投資とはすなわちリターンは希求するものと考える貴方。貴方は正しい。しかしながらそのためには投資をやめずに継続し続けることが大事な条件です。
投資の継続のためにはリスクを抑えること。そのためには、株式だけでなく債券やその他のアセットクラスの商品も保有し続けることが肝要であります。(この駄ブログにおこしになる聡明なる皆さんには不要な説法かもしれませんね。)
■さて今後の保有はどうするか
WATANKOがBNDを3年間保有してみた結果、得られた事実はアセットクラスそのもののリターンよりも為替の影響が大きいということでした。
この3年間はたまたま円安傾向が続く時期であったため、円換算でのトータル・リターンを押し上げる結果となり、結果オーライであります。
しかし逆に一定期間の円高(とおそらくは相場の下落)が続いた場合、WATANKOはどのようなうけとめ方をするか。低めのリターンを吹き飛ばす為替の影響を恨むのか、それとも外国株式よりは少ない下落幅をありがたがるのか。
それを確かめるべく、まだしばらくBNDの保有を続けてみます。
« SBI証券の投信マイレージが低コストなインデックス投信にも適用-競合は商品・サービスの向上につながる | トップページ | というわけでBNDからの2017年1月分分配金 »
「ETF」カテゴリの記事
- BNDからの2019年9月分分配金(2019.09.12)
- 1306&1308からの収益分配金が入金 2019(2019.08.18)
- BNDからの2019年8月分分配金 (2019.08.12)
- BNDからの2019年7月分分配金(2019.07.14)
- VTIからの2019年2Q分配金(2019.07.06)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
« SBI証券の投信マイレージが低コストなインデックス投信にも適用-競合は商品・サービスの向上につながる | トップページ | というわけでBNDからの2017年1月分分配金 »
「円転せず、$で再投資して、$資産を拡大させる。」
2009年12月から開始した、BND投資から得られた配当金を元手に2016年2月に、米国エネルギーセクター株式ETFのVDEを買い付けました。
@$73.50 x 150株=$11,025 でした。購入した理由は、長期的に下がり続けた原油価格と米国株式の調整的な下落をチャンスと見たからです。それから1年が経過して、一株103.40迄上昇してきました。(@$103.40x150株=$15,510)この後の様子を見て利益確定売りして、BNDが下がった所で買い戻そうと準備しています。
円転しない理由は、余生を30年とみて円資産の確保が出来たので、日本の将来の保険です。
投稿: オークX32 | 2017年1月23日 (月) 12時00分
オークX32さん
コメントありがとうございます。
ドル建ての資産運用をイキイキとやっている様子が伝わります。
VDEはそろそろ売ってもよいのでは。
投稿: WATANKO | 2017年1月24日 (火) 01時15分