【一部改題】集中投資の損失はすごろくで振り出しに戻る感が半端ない
(ああ、私は一体いつになったら儲けられるのだろうか。)
相互リンクいただいております著名なインデックス投資ブログにて興味深い記事を拝見しました。
参照記事
梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー
肉食系アクティブ投資女子がピンチ!
記事によると、ブログ管理人の水瀬ケンイチさんの勤務先の知人がレバレッジをかけて個別株を空売りしたものの、目論見が外れて大きな損失を被っている様子が紹介されています。
上記記事に出てくる個人にとって、このレバレッジをかけた個別株の空売り分が、当人の投資金額全体の中でどれくらいのウェイトを占めているのかわかりませんが、記事から伝わる様子では決して少なくないと推察されます。
WATANKOはこの手の話を聞くたびに、個別株に代表される集中投資で損失を発生させると、それはあたかもすごろくでいえばまた振り出しに戻ったかのようであり、そこには徒労感だけを感じます。
■中小の勝利の積み重ねが1つの大敗北ですべて帳消しになる投資
個別株でもFXでもよいのですが、それらのビークルを用いて投資を始めた場合の展開を想像してみましょう。
当初は慎重な行動をとり、中小規模の成功を収めながら経験値を積んでいく。やがて自分の中に成功の実績とともに少しずつ自信がついてくる。すると投資の成功をたくさん手に入れたくなる、早く手に入れたくなる。そこで大きな相場や為替の上下動の動きを予想して、大きくベットする。
しかしそこでしくじれば被る損失は大きく、それまでの中小規模の成功でおさめた資産を吹き飛ばしてしまう。いや吹き飛ばすだけならまだしも、さらなる損失を食らってしまう。
それはあたかもすごろくでコツコツと駒を進めていたところへ、大きなペナルティをくらい振り出しに戻ってしまったかのようです。これまでかけてきた時間と手間は無駄となり、資産形成ではX年前に戻ってハイ、やり直しというわけです。
中小の勝利の積み重ねが1つの大敗北ですべて帳消しになる投資。これを繰り返していてはいつまで経っても資産は増やせません。
「一体、私の資産運用はいつになったらゴールにたどり着けるのだろうか。いやそもそも現時点でどれくらいのところまで到達したのか、それすらもわからない。」
■長い時間と忍耐をかけて焦ることなく資産を増やす投資
WATANKOは投資のビークルとして個別株を完全否定しているわけではありません。ただ成功を収める難しさの前に、時間と労力をかける気がおきないだけであります。
WATANKOのような市井の個人投資家が取り組むことができるスタイルとしては、続けられる範囲内で節約を行い、蓄えた資金でもってリスク許容量の範囲内で投資を行う。長い時間と忍耐をかけて焦ることなく資産を徐々に、着実に増やす。マラソンのようなスタイルです。
そこには鮮やかなる逆転劇や、胸のすくようなカタルシスなんかありません。高額な宝くじにあたったような幸運も伴っていません。地道ながらも止まることなく走り続けるだけです。
WATATNKOはインデックス投資を約9年続けています。9年の間、余裕資金でインデックスファンドをバイ&ホールドして資産を積み上げてきました。そこには自分の資産が9年前から着実に増えている様子がわかります。そこに逆戻りはありません。
もうひとつ、おまけに確定拠出年金の分も貼っておきましょう。
■もしも相談をうけたならば
集中投資でいっとき儲けたと思えば、次には損をする。それを繰り返している結果、資産形成においては、いつも同じステージをぐるぐる回っているだけで時間と労力の消耗戦をしている。
自分の周囲にそんな友人がいて、彼からアドバイスを求められたら、上記の図表をみせてコツコツと投資をするスタイルの意義を伝えたいと思います。
勿論、当人にインデックス投資を強制するつもりはありません。WATANKOは彼の投資の結果に対して責任を負えませんから、当人が最終的な判断を下すことになります。
(あとがきにかえて)
そういえば今月発売された日経マネーには、株式投資でン億円も儲けた個人投資家がたんまりと紹介されています。個別株で投資を続ける個人は彼らに憧れ、彼らを目指しつづけるのか。それが果たして見果てぬ夢とならなければよいのですが。
« 2017年1月の積み立て購入商品 | トップページ | 免許取り立ての我が子のはじめての車にはハッチバック »
「資産運用」カテゴリの記事
- お金の運用は目的別だけでなく時間軸を加えて考えよう(2019.07.30)
- 上場している優良企業にもれなく投資できるインデックス投資(2019.06.20)
- 長期投資家にとってGW10連休はスルーでいこう(2019.04.24)
- 退職金でリスク商品を買うことはお勧めしません(2019.04.15)
- 定期預金と長期投資(2019.03.26)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
気持ちがわかります、すごろくの振り出しどころか番外ですから。今は振り出しに戻ろうと頑張ってます(10年後)、人生ゲームみたいなもんです。
投稿: たんちん | 2017年1月29日 (日) 09時58分
投資で振り出しに戻ってしまうのは、もったいない時間の使い方になってしまうので、避けなければなりませんね。
コツコツ儲けてドカンと損することも、それまでの苦労を台無しにしてしまうので、調子の良い時こそリスク管理を徹底せねばなりません。
紹介の彼女の場合、損をしているとはいえ、損切りラインには達していないところをみると、致命的なことにはなっていないんじゃないかと想像します。
投稿: AKI | 2017年1月29日 (日) 22時39分
たんちんさん
コメントありがとうございます。
名実ともにまさに人生ゲームです。
投稿: WATANKO | 2017年1月29日 (日) 22時52分
AKIさん
コメントありがとうございます。
>コツコツ儲けてドカンと損することも、それまでの苦労を台無しにしてしまうので、調子の良い時こそリスク管理を徹底せねばなりません。
個別株のリスクコントロールとは難しそうですね。臆病になるあまりエクスポージャーを減らしすぎて、トータルリターンがなかなか上がらなくなっても悲しいですし。
投稿: WATANKO | 2017年1月29日 (日) 22時55分
エクスポージャーは難しい話ですが、個人的な考えを書くと
今はガツガツ投資をしなくてもいいんじゃないか、と考えています。
通常、上げ相場ではインデックス投資より個別株投資の方が儲けが大きくなります。
※上げ相場でもインデックスに負けるのであれば、個別株投資は諦めてインデックス投資に切り替えた方がよい。
ウサギとカメの話ではないですが、個別株投資はインデックス投資に対してアドバンテージを貰っている状況なので、そのアドバンテージを活かしてエクスポージャーは控えめにしておく、というのがいいんじゃないかと考えています。
実際、私の周りのバリュー投資家は資金を引き揚げ始めています。
投稿: AKI | 2017年1月29日 (日) 23時16分
AKIさん
リスクの大きい個別株は控えめにしておくというご意見には同意します。
投稿: WATANKO | 2017年2月 1日 (水) 00時09分