(続)日本株式アセットクラスはインデックス投資では儲からないのか
(前回からの続きです。)
前回、「長期・積立・分散」という資産運用の王道が日本で普及しない現状に対して、過去のレコードではなく、日本株式市場の現在と今後の動向こそが大事であり、そこに目を向けましょうと述べるとともにWATANKOのこれまでの投資成績を紹介しました。
■リターンの高いアセットクラスが事前にわかるのか
個人投資家の方々の中には、当初は教科書通りに多数のアセットクラスに分散投資したポートフォリを組成したものの、パフォーマンスの悪いアセットクラスを嫌気し、これを引き揚げて、パフォーマンスのよいアセットクラスに絞り込んでいく人もいるかもしれません。
例えば具体的には過去のリターンを比較して、日本株式よりも先進国株式の方が優れている(※)ことを根拠に、先進国株式(やがては米国株)だけに投資先を絞ろうとする行動です。
(※)30年間のリターンを比較するとTOPIX(配当込み)が+0.7%に対して、MSCI-KOKUSAIが+7.7%
(わたしのインデックスmy INDEX 2017年4月10日現在)
投資でも仕事でも、はたまた家の掃除でも段々と馴れていくと効率を高めようと考えるのは自然な成り行きであり、その意からすればリターンの高いクラスに投資先を絞りこみたくなるのもわかります。
しかし忘れてはならないのは、それでは今後、高いリターンをたたき出すクラスは一体どこなのかということを事前に判断できるかということです。
とあるアセットクラスが過去にたまたま好成績であったからといって、今後もそうだとは限りません。例えば新興国株式はかつてリーマンショックから他のアセットクラスよりも比較的早く回復しました。しかしだからといって新興国株式だけのポートフォリオを組んでしまうと現在はかなり運用成果が悪化していることになるでしょう。(ただし今後また運用成果が向上してくる可能性もあります。)
現在、好成績であるアセットクラスに投資を集中してしまう。分散投資を心がけて来たのに、気が付くと分散の度合いを狭めてしまって特定のアセットクラスに資金を偏在させてしまうリスクを高めてしまう状況に陥っていませんでしょうか。
また資金を複数のアセットクラスを分散させて投資する効能は、リスクの抑制にあるだけでなく、同時に毎年変わる高リターンをたたき出すアセットクラスを外すことなく、そこに漏れなくベットする意があることも忘れてはならないでしょう。
ですから色々なアセットクラスに分散投資することが必要であり、日本株式アセットクラスも、将来が完璧な右肩下がりではない以上、投資対象に含む価値があります。
■自国内の投資対象である点も活かそう
あと日本株式は自国内のアセットクラスであるがゆえに、その動向は海外資産に比べて把握しやすいことも、投資対象として適正であるといえます。
日本の株価の動きは新聞やTVで頻繁に報じられており、日本に住む者としては海外資産の値動きよりも、はるかに記憶に残りやすいです。WATANKOもまたここ半年間の先進国REITの動きはさっぱり記憶していませんが、日経平均株価であれば、大まかに直近の動向を覚えています。
また自国内のアセットクラスであるため、海外アセットクラスよりもローコストでかつ商品の種類が多い点も魅力的です。自分のポートフォリオにしっかりと組み込んで、そのメリットを十分享受したいものです。
(あとがきにかえて)
最後にひとつだけ付け加えるとすれば、WATANKOが働く企業の株式もまた日本株式市場の一部を構成しており、WATANKOは(正直ちょっと遠大な言い方になりますが)勤務先の企業価値の向上ひいてはそれが正当に評価されることによる株価の上昇を目指して働いています。企業を応援するために、そこの株式を購入するのではなく、まさに自分自身が当事者の一人、1プレイヤーであります。
ですからWATANKOはそんな自分自身と同じ目的で働いている多くの人達が帰属する企業の総和に対してベットすることに納得をしています。
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