<購入・換金手数料なし>ニッセイ新興国株式インデックスファンドが登場するも戦いは厳しい
(新興国株式インデックス投信、ようやく登場)
インデックス投信のローコスト競争における新商品がまたひとつ登場します。相互リンクいただいているアウターガイさんのブログ情報によると、ニッセイアセットマネジメント(以下ニッセイAM)が、<購入・換金手数料なし>シリーズに新たに新興国株式を加えることになるとのことです。
参照記事
バリュートラスト|価値を生む・未来を託す・投資を歩く
ニッセイAMが<購入・換金手数料なし>シリーズに新興国株式と6資産均等型の2本を追加
<購入・換金手数料なし>ニッセイ新興国株式インデックスファンド(以下、ニッセイ新興国株式)は信託報酬が0.339%(税抜、以降同じ)です。
これは現存する競合商品であるeMAXIS Slim 新興国株式インデックス(以降、eMAXIS Slim)やたわらノーロード新興国株式(以降、たわら)の0.34%を意識して、これらを0.001ポイントだけながら下回る低水準です。
eMAXIS Slimが既発表どおりの方針ならば、早晩、信託報酬を同率に揃えてくるでしょうが、それでもニッセイ新興国株式は同率1位の低コストとなります。
また、たわらも先日、eMAXIS Slimにあわせて信託報酬を引き下げましたが、こちらは新興国株式インデックス投信におけるローコスト先行者であり、一定の人気を得ていたため、純資産が30億にとどきそうな水準です。その点では固定客もそこそこ築いており、勢いがあります。
これからは先行してきたたわらに、eMAXIS Slim、さらにはニッセイ新興国株式が追撃を開始して新興国株式アセットクラスのインデックス投信の頂上決戦がこの3社で展開されそうな様相であります。
■ニッセイ新興国株式を待つ平場の戦い
これまでニッセイAMは新興国株式アセットクラスにおいてはローコスト競争にはのってこず、それどころか商品ラインナップに同種商品を揃えてすらもいませんでした。
したがってニッセイAMは「基本4資産だけの商品展開」と思い込んでいたところに、新興国株式アセットクラスの商品投入でしたので、ちょっとした驚きでありました。
しかしながらWATANKOから見た観測は「ニッセイAMよ、新興国株式インデックスを出すのが遅い。先進国株式のように大きな勝ちを得ることは今からではまず無理だろう。」であります。
せめて2年前にニッセイ新興国株式をこの信託報酬で設定していたのならばどんな展開であったでしょうか。WATANKOが想像するに当時の既存の新興国株式インデックス投信を全て駆逐して、先進国株式と同様に大きな純資産と顧客数を築いたことでしょう。一度ついたニッセイ新興国株式の勢いを止めるためには、他社はニッセイ新興国株式をかなり下回る信託報酬の同種商品をくり出すほかありません。
このようにニッセイAMがもっと早くに新興国株式アセットクラスに商品展開をしていたならば、かなりのアドバンテージを築けたのですが、実際にはその機会を失いました。今からではニッセイ新興国株式はeMAXIS Slimやたわらと平場の戦いをするほかありません。
■遅れてきたニッセイ
なぜ新興国株式の商品展開がここまで遅れたのでしょうか。2年前にはできなかったことがなぜ今になってできたのでしょうか。低廉な信託報酬でも利益が出やすいようにニッセイAMは従業員の給与をカットする等固定費の削減でも行ったのかというと、そのようなことは考えにくいです。
つまりは今回のニッセイ新興国株式の設定は、やろうと思えば2年前でも現在であってもできたのではないか。それをしてこなかったのは最近の他社の動きと、その実績が揃うまで様子見であったのではないかと推察します。
金融機関の行動原理は、前例がなく自社が一番先に乗り出すことについては慎重なるも、ひとたび他社が事例を作り繁盛してくれば、早速これに追髄するというものであります。新商品の稟議書においては他社にはない斬新なアイデアよりも、他社における実績を添える方が決済をもらう近道であります。
■まとめ
さてニッセイ新興国株式は、インデックス投資を実践する個人投資家からどれだけの支持を集めることができるでしょうか。
eMAXIS Slimの信託報酬追随の方針やたわらの勢いがある中で、ニッセイ新興国株式はかなりの苦戦を強いられるかもしれません。
また新興国アセットクラスは信託報酬以外の諸費用が高くつくケースが多いので、実質コストの結果待ちとみる個人投資家が多い場合、それも苦戦を強いられる理由のひとつになるでしょう。
これまで多くの個人投資家の支持を集めてきたニッセイAMが、この商品でどこまで新興国株式インデックス投信のシェアを伸ばせるか、要注目であります。
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