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2017年10月29日 (日)

サムライズジャパンプロジェクトで資産運用の出口戦略とFPについて話を聞いてきました

金融機関に属さない独立系ファイナンシャルプランナー(FP)の岩城みずほ氏が主催する勉強会、「サムライズジャパンプロジェクト」(以下、サムライズ)に先日参加してきました。WATANKOは相互リンクいただいている安房さんのブログ記事でこの勉強会を知り、今回初めて応募しました。

参照サイト
 
第30回サムライズ勉強会 サムライズ30回記念「人生100年時代の個人の資産形成と出口戦略」

この勉強会は30回記念ということで今回はレストランを会場にして、およそ60名の参加者が集まり、食事をとりながらの3時間のトークセッションが開催されました。

今回のテーマは次のふたつです。

1.人生100年時代を踏まえたお金の「出口戦略」について

2.ファイナンシャル・アドバイザーのフィデューシャリー・デューティー

特にWATANKOは上記の1.について興味があり今回応募しました。

当日は岩城みずほ氏の司会進行のもとに、3名の登壇者による話を聞くことができました。(以下、当日紹介順)

●I-O ウェルス・アドバイザーズ株式会社 代表取締役社長 岡本和久氏
●金融庁総務企画局政策課総合政策室金融税制調整官 今井利友氏
●経済評論家の山崎元氏

上記のうち、WATANKOにとって岡本和久氏は今回初めてお目にかかる方です。

■参加者の概要

今回は『人生100年時代を踏まえたお金の「出口戦略」について』というテーマゆえに、当日の参加者にはシニアが多いのかと想像していましたが、実際には幅広い年齢層の方が参加されていました。

また参加者の3分の1強が女性であり、女性の間でも年齢層は幅広かったです。サムライズの主催者の岩城みずほさんが女性ということで参加者にも女性が比較的多く含まれていたのかもしれません。

さらには60名の参加者の中にはFPが多く含まれていたのだろうと推察します。

おっと中には日本経済新聞社の田村正之氏の姿もお見かけしました。

■登壇者のお話

(1)岡本和久氏の「教育」

投資教育家とも称されている岡本氏からは、ステージごと人生観に投資を絡めた訓話的内容のお話をうかがいました。投資教育についてはアメリカの事例を紹介されていました。

配布された新聞記事には同氏のこれまで経歴が取り上げられており、投資教育のパイオニアとして活躍されてきたことがよくわかります。

(2)今井利友氏の「税制」

金融庁に所属される今井氏からは、DCの税制優遇について強調されたお話を聞けました。DCは課税繰延制度が適用され、拠出時は所得控除、運用時は特別法人税あるも現在凍結、払出時は退職控除と、各ステージにおいても実質的には非課税となっているという主旨です。

自分の老後資産は自分で作り上げてください、そのため税金面では最大限優遇していますというメッセージ。従来からある仕組みですが、改めて紹介されました。

(3)山崎元氏の「公式」

今回のテーマであった「出口戦略」について、リタイア時点での保有資産額をもとにして年間取崩可能額を試算する公式を披露されるほか、配布資料には国に対する提言など興味深い内容が書かれていました。

■独立系FPは食っていけるのか

それと今回のもうひとつのテーマである、「ファイナンシャル・アドバイザーのフィデューシャリー・デューティー」については、具体的な話題として「独立系のFPは食っていけるのか」が取り上げられました。

その背景として、世のFPの中には、相談者に対してFPがタイアップする保険等の金融商品を斡旋する人がいるそうです。相談者が商品購入を契約すれば、FPに手数料が入る仕組みです。

ここは山崎氏の名言を紹介しましょう。

「金融商品を売っている人からは、買ってはいけない。」

販売とコンサルティングの双方を提供する売り手の場合、利益相反が起きる。資産の増やし方についてコンサルティングを受けたいならば、それに対する正当な対価を相談者はFPに払うべきということです。

相談者にとって本当に必要な商品なのかどうかとは別に、商品を売りつけるといいう商法が横行する現状に異を唱える岩城氏ら独立系FPは、あくまで資産運用のやり方自体をコンサルティングすることで収益をあげていくこと是としています。

そのようなスタイルの独立系FPが果たして食っていけるのかが論点でありました。

なおFPのこの話題については、この駄ブログで後日また取り上げてみる予定です。


■感想

この他にQ&Aでは、「親が毎月分配型投信を買っているが、どうしたらやめさせられるか。」「ビットコインについてどう考えるか」など身近な話題、流行の話題が取り上げられましたが、最後にWATANKOの全般的な感想を述べておきます。

(1)資産運用の出口戦略というテーマについては、実際のところ各登壇者がもともと持っているトークネタから関連のありそうなものを披露したというくらいの趣きでした。

この集まりが有料講演会ではなく勉強会というスタイルをとっている以上、このあたりが限界であり、仕方がありませんでしたが、WATANKOとしては個人の資産形成に関するこのような集団の活動があることを知っただけでも十分な収穫でした。

(2)参加者同士の交流がもっとあるとよかったです。とくにこの勉強会にはFPの方が多く参加していると思われましたので、一人でも多くのFPと接して、皆さんのFPとしての見識や行動価値観をうかがってみたかったです。

(3)この手のイベントに参加して常々思うのですが、イベントで話された内容は実はイベント参加者以外の人達にこそ広く聴いてもらいたいというジレンマがあります。

参加者は健全な投資に関する意識・リテラシーを備えた方々あるいはそのポテンシャルを十分にお持ちの方々ばかりです。(だからイベントにやってきた。)よって参加者以外の市井のお金に真面目に悩む人達、さらにはお金を貯めて増やすことをおざなりにしている人達に今回イベントのような内容をいかに伝えていくか。

こうなるとマスメディアの役割がいかに重要であるかをひしひしと感じます。民間の媒体はどうしても営利が伴いますので、例えばNHK教育チャンネルで幼児教育だけでなく、資産形成の教育番組も企画・放送してもらうなどがあると良いです。

それと一方で、今回のイベントに参加して、岩城氏や登壇者の方々の考えに賛同されるFPの方々におかれましては、日々のコンサルティングを通して、市井の人々に対して啓蒙を続けるという現場の草の根運動も大事です。

投資をやったことが無い人が、第1歩を踏み出すことは難しい。そこでその第1歩を健全なかたちで踏み出せるようになるために、FP含め業界は何ができるのか。

彼らの見識と行動力について大いに期待しております。

(あとがきにかえて)

参加者向けに登壇者の著作が数種類、合計十数冊がプレゼントされました。ジャンケンの結果、WATANKOは山崎元氏と岩城みずほ氏の共著をゲットしました。

Img_1425

初心者向けのわかりやすい内容でしたので、妻へのお土産にしたことはいうまでありません。

WATANKO「『美ST』と『日経ヘルス』だけじゃなくて、これも読んでください。」

妻ミサト「その前に、貴方の本棚から借りて読み終わった本を返しておくわ。」

WATANKO「んんん、何でしょうか?」

妻ミサト「『ウォール街のランダム・ウォーカー』よ。」

WATANKO「!!!」

【追記】

冒頭紹介した安房さんのブログにて今回イベントの内容詳細が紹介されております。

参考記事

海舟の中で資産設計を ver2.0  サムライズ「人生100年時代の個人の資産形成と出口戦略」

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