「お金は寝かせてふやしなさい」は市井の個人投資家におくるナイスリーな投資本
(あのブログでは猫なので、ここでは犬をのせてみました。)
著名なインデックス投資ブロガーであり、この駄ブログにもブログを相互リンクいただいている水瀬ケンイチさんの単著「お金は寝かせて増やしなさい」が先日発刊されました。
Amazon.comで購入して送られてきたこの2冊、WATANKOはどちらから読もうか小1時間迷ったあとに、おもむろに本書を読み始めました。
ゾンアマで注文した2冊が届いた。さてどちらから読むべきか悩む。#お金は寝かせて増やしなさい pic.twitter.com/boWqsXPXwB
— WATANKO (@WATANKO1) 2017年12月8日
■漫画とプロローグでツカミはOK
冒頭、漫画で始まり、その後にインデックス投資を勧める理由を簡単にまとめています。本書のさわりということで内容は深入りせず、わかりやすい内容です。書店で立ち読みして興味を持った人は、ここで本書を買うべくレジに向かうことでしょう。
ただ、ひとつだけ違和感があるのは「インデックス投資の長期実践者が少ないのはなぜ?」という問いかけを、プロローグの、しかも冒頭に持ってきた狙いはなんだったのか。
述べられていたことについては全くの賛成ですが、ここは第4章のひとつの項でもよかったのではないかと思いました。
■本書は「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」の濃縮版
さて第1章から第3章、第6章にわたっては、インデックス投資のビークルとなる投資信託という金融商品の解説に始まり、インデックス投資の具体的な実践法(ノウハウ)、投資を後押しするNISAやiDeCoといった税制優遇制度の紹介、出口戦略(終わらせ方)と続きます。
いずれの内容も、公知公用の部分を除いてほとんどは著者のブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」にて綴られた記事の濃縮版です。4ケタにも及ぶ記事の全てを読み切るには時間がかかりますが、ブログに書かれたかなりのエッセンスについて本書で触れることができるでしょう。
一方でやはりブログには、その時々の時勢にあわせて色々な記事が展開されていますので、リアリティというか、インデックス投資の臨場感をもっと味わいたい方にはブログ記事を読まれることもお勧めします。
■第4章、第5章は他書にはない内容
第4章はタイトルにもある「寝かせる」ための秘訣についていろいろと記されています。そこには同じくインデックス投資を実践する者が直面する色々な悩みに対して、著者からのアドバイスがふんだんに紹介されています。
最も重要なポイントはただひとつ。如何に売らずにホールドし続けるか。
そして第5章は著者の15年にもおよぶインデックス投資歴の紹介です。ここでは当時の出来事を紹介しつつ、著者の投資金額とその成果についても紹介されています。
この投資金額とその成果ですが、やはり実額を載せると説得力が出てきます。とはいえ一般書籍の中で私有財産を公開するとは思い切りました。ここにも「インデックス投資の良さを多くの人に知ってもらいたい。」という著者の本書における意気込みを感じます。
一方で著者は今後もインデックス投資を10年単位で継続していくのでしょうから、本書で紹介された金額もやがては過去の数字、通過点に過ぎなくなるでしょう。
ちなみに公開された資産額以外にも別途、生活防衛資金をかなり(10百万円くらい?)積んでいるだろなあと想像します。
■まとめ
小難しい投資本が書店に平積みされる中、わかりやすく、実践しやすい投資本に巡り会う機会は案外とありません。そんな中にあって本書は市井の個人投資家におくるナイスリーな1冊であります。
もしも本書が10年前に発刊されていたら、今頃はどれだけの数のインデックス投資家が育っていたでしょうか。読後にそんな妄想をちょっとしてみたくなったWATANKOでありました。
最後にプロには到底及びませんが、鉛筆サラサラ書きした本田未来ちゃんにて〆たいと思います。
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