MF GHOST-日の当たる場所に出てきた公道レース
(作品のタイトルが意味するものは何でしょう。)
まず最初に、皆さんは峠の走り屋達の熱いバトルを描いた作品、頭文字D(しげの秀一作)をご存知でしょうか。
■頭文字D
高校3年生の主人公が非力なマイカーを駆って峠の下りコースでRX-7 、GT-R、ランエボ等なみいる国産ハイパワースポーティカーとバトルを繰り広げ、毎回鮮やかなテクニックで抜き去っていくというお話です。
物語の中盤以降からは走り屋のスペシャルチームに入り、エースとして関東地方の各地に遠征して周り、各地の走り屋とバトルを経て、ついに関東最速の名を得るに至ります。
主人公が駆っているトヨタ・スプリンタートレノ(1980年代前半のモデル)、車の型式番号からつけられた通称ハチロクは、もともとマニアの間で人気がありましたが、本作によって更に人気が高まりました。おかげでトヨタが2012年に発売した新型スポーツカーの名前に86(ハチロク)がつけられるほどでした。
また本作に登場する車は、それぞれのキャラクターに合わせたドライバーや活躍を伴って描写されており、車好きからみれば「よくわかっているじゃん」と思わず膝をうつ内容が満載です。
一方で話の展開は遅くなる傾向が続き、ダルさを感じた一面もありました。本作は連載開始当時と同じく年代後半の設定でしたが、そこから1年ちょっとの話を17年間かけて連載したわけです。ストーリーにおける描写の多くが、1回数十分程度の車同士のバトルシーンなので仕方ありませんが・・・。
ストーリーは主人公が登場するライバル達に対して、最後まで勝ち抜くところで終わります。正直言って大団円を迎えたような終わり方とは言い難く、「えっ、ここで終わり?」と物足りなさを当時感じたものでした。
■MF GHOST
さてそれから5年が経って頭文字Dの続編とも言うべき作品がリリースされました。
頭文字Dで主人公が所属した、走り屋のスペシャルチームを率いるリーダーが思い描いた公道レースが実現する近未来のストーリーです。
時代は202X年、車の自動運転が普及した世界にあって、世界中の車好きな人間達のために日本で公道を使ったモータースポーツが開催されています。
本作の主人公は19歳の日英ハーフ。彼は父親を探して来日し、自分の名を広めて父親に気づいてもらうために公道レースに出走します。
主人公が駆る車は、上記にあげた2012年発売のトヨタ86。エンジンパワーは普通よりちょっとあるくらい。本作の時代ではすでにかなり古いモデルになっており、車の立ち位置としては頭文字Dにおけるハチロクと同じです。
主人公は、頭文字Dと同様にそんな古くて非力な車を駆って公道レースに出走します。
相手はポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニといったハイパワーを誇る輸入スポーツカー達です。各車ともオートマばかりであり、かつドライブトレーンやシャシーに高度な電子制御をまとっており、操るというよりもいわば「乗らされる」高級スポーツカーばかりです。
イギリスのレーシングスクール出身の主人公が、これらハイパワーの高級輸入スポーツカーを相手にどのようなバトルを繰り広げるのか。発売されている第1巻の時点ではまだ予選段階ですが、ドンドン順位をあげて上位陣にせまる勢いです。
まだ頭文字Dのハチロクのような超絶テクニックが炸裂するシーンは見られませんが、これからが楽しみです。
なお本作で登場する車の描写については頭文字Dと同様に、車好きに「よくわかっているじゃん」と思わせるところが溢れています。
例えば同じハイパワースポーツカー達の中で、安定して速い走りをみせるポルシェに対して、走りが不安定で思うような結果をだせないイタリア勢。主人公の真のライバルとおぼしきキャラが駆るのは、ハイパワーではないが素性がよいケイマン。などなど車とドライバー、その活躍シーンに関して、車好きの納得感は大いに高いでしょう、
また本作のモチーフについては、頭文字Dと大きく異なるところがあります。
頭文字Dは、客観的にみれば週末の夜に若者たちが集まって人里離れた峠で公道レースをするという、限られた仲間内でのプライドを賭けたバトルに終始していました。
それに対して本作では、車の自動運転が普及した世界において、それであってもなおモータースポーツに関心を寄せる世界中の人々に対して、公道レースの中継というコンテンツが1種のショービジネスとして成り立っています。
夜中にグルグル走りまわっているのではなく、昼間に公道で堂々とドライビングの技量を競い合い、それが世界中に配信されるというメジャーイベントとなっているわけです。
これこそ漫画の中でしか実現できない設定であり、車好きにとってリアリティを伴いつつもとても夢のあるストーリーとして仕立てられています。
車好きのWATANKOからみると今後のレース展開がうっすらと見えてくる気もしますが、その通りになった時のカタルシスを期待しつつ、次巻を待つこととしましょう。
(あとがきにかえて)
妻ミサト「そういえば、貴方が持っている頭文字Dは、途中までしか読んでいないわ。ちょうど主人公がなつきちゃんと別れたところあたりまで。」
WATANKO「おお、それはイカン。はいこれがその続きです。」
妻ミサト「・・もういいわ、だって見開きページでいつも車が『ギュギュワーン』って走っているところばかりなんだもの。主人公に恋バナが出てくるところだけ読ませてちょうだい。」
WATANKO「そりゃあ、あなた、お刺身でいったらツマしか食べないようなもんですよ。」
妻ミサト「私にとっては『ギュギュワーン』の方がツマね。それも大量の。」
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