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2018年3月 9日 (金)

(続)赤字の不動産物件で節税とはこれいかに

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(前回からの続きです。)

赤字物件を保有することで、他の所得と合算して課税所得と減らすことにより節税する。
この話はトータルでおいしい話なのか、試算してみました。

するとキャッシュフローの合計は赤字となり、結局は手元の現金を減らしただけに終わりました。

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■なぜこうなってしまうのか

試算内容を見てみますと、赤字となっている構造は賃料収入(キャシュイン)よりも減価償却費の方が大きいところにあります。

つまりこれは毎年の賃料収入を上回るスピードで物件の価値が落ちていることを現しています。

物件の売却の際には購入時と比べて通常、建物の価値が減じた分だけ価格が減額されます。

5年間の賃料収入よりも、5年間で価値が減った分の方が大きければ、結局は手元の現金が流出した結果に終わります。


■どうしたらこれを回避できるのか

赤字、つまりは毎年の賃料収入<減価償却費となるにもかかわらず、保有期間のキャッシュフローの合計を黒字にもっていくためにはどうすればよいか。

それは売却時に、簿価価額<(購入価格)-(保有期間中の減価償却費の合計)>よりも高い金額で取引することです。

試算結果でいえば、37,500千円+4,000千円=41,500千円以上の金額で売却できればキャッシュフローの合計は黒字になります。

しかしことはそう簡単に成就するでしょうか。

当該物件は「賃料収入<減価償却費」となることからわかるとおり毎年の利回りがよい物件とは決して言えません。そのような物件が売却時に簿価を一定額上回る金額で売れるでしょうか。

また保有中に空室率が想定以上に上がってしまい、賃料収入が落ち込むことになれば、それはキャッシュフロー合計にマイナスの影響となります。その場合、キュッシュフロー合計を黒字とするために、売却価格のハードルがさらに高まることになります。

空室率があがっている場合、不動産市場もまた冷え込んでいるか、市場自体はよくても当該物件の魅力が相対的に落ちている状況であると考えらますので、希望する価格での売却には相当に困難が伴うやもしれません。

■それでもあえてやる意義はあるのはどんな場合なのか

考えてみましたが、WATANKOが思い浮かべたのは次の2点でした。

1.他の所得がとても高いことによって高い累進課税率を負っている場合

この場合、不動産収入の赤字をぶつけることによって合計の課税所得が減り、累進課税率を低くできることで節税効果が大きくなることです。

この場合、大きくなった節税効果を取り込んでキャッシュフロー合計がより改善しますが、高い累進課税率を引き下げるためには、それなりの大きな不動産収入の赤字が必要となり、それは一方でキャッシュフロー合計を大きく悪化させる可能性もはらんでいます。

2.土地の値上がりが期待できる場合

建物の価値は減価償却によって減っていくことは明らかですが、土地は減価償却しません。将来、売却時には土地分の価値が上がってその分高く取引できる場合には、キャシュフロー合計は改善します。

しかし土地の値上がりが見込める物件をどれだけ見つけることができるでしょうか。値上がりが見込めたとしても、それはあらかじめ購入時点で織り込まれており、購入価格が割高になっているやもしれません。

■まとめ

不動産取引を斡旋する業者は、物件購入のメリットをいろいろと唱ってきます。しかし冷静になって、保守的な条件、ワーストケースでもって十分な試算をしてみることが大事です。そうしないと利益どころか赤字を押しつけられかねません。業者からババをひかされることがないようにしたいものです。

なお試算では管理費、保険料、修繕維持費等を差し引いた賃料収入が黒字という前提条件でしたが、もしもこの賃料収入の段階で赤字であるような物件の場合は、もう全く検討には値しないことは言うまでもありません。

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