赤字の不動産物件で節税とはこれいかに
(赤字で節税、すなわち儲けるとはこれいかに)
相互リンクいただいているフクリさんのブログから興味深い記事を拝読しました。
参照記事
フクリさんの資産家になろう!
赤字目的の都内マンション投資はおすすめできない。
記事ではフクリさんが読者からの質問に答えているのですが、その読者の説明には、
先日、G◯technologiesという会社の面談を受けてきたのですが、空き室リスクはあるものの、赤字申告することで毎年100万円以上の節税が可能であるという話を聞いてきた
とあります。
この「赤字申告をすることによって節税になる」という宣伝文句は、時折不動産売買の斡旋で聞かれる言葉なのですが、どういう仕組みなのか推察してみました。
不動産物件を購入すると、その物件から得られる収入は赤字となる。不動産収入の赤字と、別の収入の黒字とを合算して総合課税として申告をするので、別の収入のみの場合と比べて、不動産収入の赤字の分だけ課税所得を減らすことができ、支払う所得税も減ることになる。
こんなところでしょうか。
本当にこれは節税となり、トータルでおいしい話なのか。ひとつ試算してみましょう。
■キャッシュフローの合計は赤字
(前提条件)
1.築2年経過後の木造物件を不動産物件を50,000千円(簿価相当)で購入する。
2.賃料からキャッシュアウトする諸経費(管理費、保険料、修繕維持費)を差し引いた残りの収入が1,500千円/年。利回りは3%。
3.物件の耐用年数期間は22年。築2年経過で簿価が50,000千円なので、残り20年で償却すると減価償却費は2,500千円/年。
4.5年経過時点で、同様にその時の簿価相当で売却する。
この前提条件で節税効果を試算してみます。
収入が1,500千円/年から減価償却費2,500千円/年を引くと、確定申告上の課税所得は▲1,000千円。
これを他の所得と合算すると、税率を20%とおいた場合、▲1,000千円×20%=▲200千円。
つまり年間200千円の節税効果を5年にわたって得る事ができ、その合計は200千円×5年=1,000千円となります。
それではキャッシュフローの合計はどうなるでしょうか。
売却価格37,500千円+5年の賃料収入合計7,500千円+5年の節税効果1,000千円の合計46,000千円から購入価格の50,000千円を差し引くと、
4,000千円の赤字です。5年経ってみて手元の現金はこれだけ減ったことになります。
以上をまとめると次のとおりです。
節税のために赤字物件を買って運用してみたところ、結局は手元の現金を減らしただけに終わりました。
▼なぜこうなってしまうのか。
▼どうしたらこれを回避できるのか。
▼それでもあえてやる意義はあるのはどんな場合なのか。
(つづく)
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