(続)テスラ・モデルX試乗-古来のスーパーカー好きがEVを買う日がやってくるか
(これに乗ってきました。前回からの続きです。)
■ハンドリングは期待できず
さてこれまでは動力性能と制動について語りましたが、それでは操縦安定性、ハンドリングについてはどうでしょうか。
試乗時間は短く、もっぱら動力性能に注意が集中したので、あまり印象がありませんが、それでも述べるとすれば、ボディの剛性感は十分にあるもキビキビ走る、胸のすくようなコーナリングとは縁が遠かったです。
そもそもモデルXの全長5m、全幅2mといった大柄なボディサイズと前述の2,5tの車両重量からして大したハンドリングは期待できません。強いて言えば重いバッテリーをボディ下部に積んでいることからSUVの割には低重心となり、コーナリングでの安定性はあるといったところでしょうか。
普段、1tのライトウエイトスポーツカーを好んで運転している身とすれば、車両重量のハンデを感じさせない水準はせいぜい1.5tくらいまでです。それ以上だとトルクとのバランスもありますが、車両重量の重さを意識せざるを得ません。2.5tもあってはハッキリいうと鈍重であるということです。
■ボディサイズはもてあますし、充電スタントは十分だろうか
多くの車は制約のない大自然の中よりも街中、様々な寸法に支配されるインフラの中で走っている時間の方が圧倒的に長いのです。
モデルXのボディサイズでは日本で駐停車する場合、大変気を使います。立体駐車場には入りませんし、商業施設の駐車場も場所によっては乗降が相当キツイです。苦痛にすら感じることでしょう。
また充電スタンドの数にも不安があります。充電スタンドの設置場所の数、1箇所あたりのスタンド数は徐々に増えてきている傾向にはありますが、EVの数の伸びに対して十分でしょうか。
充電したくも街中の昼間の充電スタンドはいつも埋まっている。バッテリーの残電にいつも気を使いながら走る。そんなドライブにならなければよいのですが。
■まとめ-EVとはどんな車なのか
内燃機関車と比べてEVで一番特徴的なのは突き詰めると2点です。それはパワーの特性と容量の大きなバッテリーの存在です。パワー特性はモデルXの記事で色々述べましたが、一方バッテリーをどうみるか。
EVが内燃機関車と同じようにワン&オンリーのマイカーとして使う場合、一番のネックは航続距離の制限です。ちょっと走っただけですぐ充電が必要となれば様々な頻度、距離でもって走るマイカーとして失格です。
すると航続距離を伸ばそうとすれば搭載バッテリーの容量を大きくする必要があり、自然とボディサイズも大きくなります。またコストもかかるので車両価格にも撥ね返るでしょう。
つまり満足のいく航続距離を実現するためにはボディが大きく、バッテリーのコストを吸収できるくらいの高額車でないと採算がとれません。
一方でEVのパワーの特性(即座に立ち上がり、すぐに減速する)はストップ&ゴーが多い市街地にとても向いています。逆に高速道路を長距離走行する場合、内燃機関もかなり効率がよいので、EVは市街地よりも優位性がありません。
しかしモデルXのインプレで書いたように、街中では大きなボディの車は取り回しが悪いです。さらにはEVならではの加速力を存分に活かす場面も限られます。
どうも航続距離が長いEVとは、痒いところに手が“届かない”車のイメージです。
以上がEVの基本的な理解ですが、テスラは勿論、自動車メーカーはどこもこれくらいのことはわかっているはずなので、そのうえで日産のリーフがどんな出来なのか気になりますし、将来発売予定されているテスラの中型車のモデル3や新型ロードスターがどんなモデルになるのかも注目です。
古来のスーパーカー好きのWATANKOを唸らせるようなEVの到来を待っていますよ。イーロン・マスク!
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