ステート・ストリート、いまさら来てもはたしてパイは残っているか、奪うしかないゾ
(船出は厳しい!?)
ブラック・ロック、バンガードとならぶETFの大手運用会社ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ社(以下、ステート・ストリート)の米国上場の低コストなETF計18銘柄の国内取扱が始まりました。
今回取り扱いされる18銘柄の中には、皆さんお馴染みバンガードのETFを下回る経費率0.03%のSPTM、SPLGが含まれています。
18銘柄の詳しいラインナップは以下をご覧下さい。
参照記事
SBI証券
米国ETF 超低コスト海外ETF(株式型・債券型)を含む合計18銘柄の取扱開始!
18銘柄をざっと見渡すと、米国の株式はS&P500のバリエーションが大型、小型、バリュー、グロース、高配当等と揃っています。さらに米国の債券も短期、中期、長期、社債、国債とこれまた種類が豊富です。これらは経費率が0.03%~0.07%の水準であります。
最近ローコスト化がすすんできたインデックス投信に対しても、上記のETFはコスト面でまだ優位性を発揮できそうです。
上記以外にもユーロ指数ものなどありますが、経費率は相対的に0.29%~0.55%と高目なので、該当指数に興味があり、お好きな方はどうぞというところでしょうか。
■皆さん、ステート・ストリートのETFを新規購入しますか
18銘柄のうち、採用するインデックスは異なりますが競合すると思われますバンガードのVTIの経費率0.04%に対して、SPDRポートフォリオ米国トータル・ストック・マーケットETF(SPTM)は経費率0.03%と、VTIよりも低コストです。
しかし経費率が確かに0.01%低いからといって、今までETFを購入・保有してきた個人投資家が、みな雪崩をうってVTIを売却してSPTMに乗り換えますでしょうか。
「もうこれまでVTIをX,XXX千円も買っているし、いまからSPTMに乗り換えるにしても税金の前払いは避けたいし、何より面倒くさい。新規購入分からSPTMを選ぶ方法もあるが保有商品が増えて管理が繁雑になる。経費率0.01%カットほしさにわざわざそこまでする積極的な動機も湧いてこない。更にバンガードはいろいろなブロガーが紹介しており、買って安心な面もある。」
海外ETFを比較的選好する個人投資家のメンタリティとはこんな感じではないかと想像します。
機動的に銘柄を売買する個別株投資と異なり、長期保有、積み立て投資のスタイルをとる個人投資家は、投資する商品や手法をきめたらそれをキープするモメンタムがそれなりに働くものです。
ステート・ストリートがバンガードと同等か、一部下回る経費率の商品をいまさら多数そろえたところで、それですんなりと個人投資家たちがなびくでしょうか。
この駄ブログの右側にリンクを貼ってある著名な個人投資家の皆さんがこぞって「バンガードOUT、ステート・ストリートIN」を唱えれば、少しは変わるかもしれませんが、そのようなことが起きる根拠もあいにく整ってはいません。
■相当なプロモーションが必要
顧客がいることが証明された市場にあとからやって来て店を開き、「さあうちの商品だって値段も品質も同じだから買って下され」といっても商売はそう簡単にはいきません。
石橋をたたいてから渡ろうとするフォロワーが、リスクをとった先駆者が得られる利益と同等のものが得られるなんて虫の良い話はそうそうありません。
いまさら来たところで、はたしてパイは残っているのか。なければ奪うしかありません。
つまりはステート・ストリートが今から本気でバンガードを押しのけて、自社の商品を日本の個人投資家の投資ビークルに成らしめんとするならば、かなり力を入れたプロモーションが必要であります。
以前よりこの駄ブログでも何度か書いている教科書的な説法ですが、マーケティングの4Pに照らしてみればステート・ストリートの今回商品はProduct、Priceの面では合格点、Placeは楽天、SBIという2大ネット証券をおさえたことで先ずは及第点です。あとはPromotionをどれだけ力を入れるのか。
インデックス・ファンドとはどの商品を選んでも同質的であるという一面があり、商品の差別化が難しいです。だからこそProduct以外のPrice、Place、Promotionの各面にて打てる手を継続的に打っていく必要があります。
ステート・ストリートがインデックス・ファンドを選ぶ顧客群に対して、これからどのようなプロモーションを展開するのか注目したいと思います。
(あとがきにかえて)
妻ミサト「WATANKOは妻からの愛情を持続させるためにこれからどんなプロモーションを展開していくのかしら?」
WATANKO「!!!(もうとっくに限界なんですけど・・・ハア~)」
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コメント
この記事へのコメントは終了しました。
これはどちらが良いかということよりも、ほぼ同じ物に投資する商品がある複数になったと捉えるのが良いと思います。
二つあると損出し・益出しをする事で相殺して節税が可能になったりしますから、まあシェアを奪うことはできなかったとしても、役には立つのではないでしょうか。
投稿: binboinvest | 2018年7月19日 (木) 23時49分
binboinvestさん
コメントありがとうございます。
>二つあると損出し・益出しをする事で相殺して節税が可能になったりしますから、まあシェアを奪うことはできなかったとしても、役には立つのではないでしょうか。
ある商品を売却して、ただちに同種商品を買い戻すクロス取引の相手先として意義があるということでしょうか?
いずれにしても個人投資家には何がしかのメリットがあっても、ステート・ストリートにとってどれだけ妙味がでてくるか。日本での資金流入にこれから注目したいと思います。
投稿: WATANKO | 2018年7月21日 (土) 06時36分