今更ですが、実質コストに注目してみる
(実質コストは一体いくらでしょうか。)
今日は涼しいですね。これで台風が来なければ言うことなしなのですが、皆さん、備えは十分でしょうか。
さて今日もまた万年素人個人投資家らしい駄ブログ記事を一発いってみます。
投信のコスト比較には2ステップがあります。
まず1stステップとして販売手数料の有無と金額、それから信託報酬の金額の比較です。(信託財産留保額は一概にコストとは言えず、ここでは除外します。)これらは投信の目論見書に明示されていますので、あらかじめわかります。
2ndステップとしては実質コストがあります。信託報酬に諸費用を加えた実績のコストです。
諸費用とは証券の売買手数料や保管コスト等を指しています。なおこれらは日本よりも海外の方が、先進国よりも金融システムが整備されていない新興国のアセットの方がよりかかることは容易に想像できるでしょう。ですから先進国や新興国のアセットの商品において特に注目すべきところです。
また当該の商品が投資対象としているマザーファンドが大きければ、単位あたりのコスト負担はスケールメリットにより軽減されます。
こういった諸費用は事前にはわからないこと、年度によって変動するとこから、投信選定におけるコスト比較においてちょっと面倒くさいです。
■実質コストをあまり重要視していなかったWATANKO
信託報酬+諸費用=実質コストなのですが、WATANKOはかつて以下の理由からほとんど無視していました。
1.実質コストは変動するのでいちいち追いかけてフォローするのが面倒さくい
実質コストは毎年変動するため、年ごとに最安値を確認するのが面倒くさいです。
それにもしも積立投資している投信が実質コストの最安値でなくなった場合には、最安値となった他商品に切り替えるのか。そんな風に積み立て商品を毎年、猫の目のように実質コスト最安値商品に切り替えるのか。
いやはや、何とも面倒くさいですね。
2.信託報酬に比べて諸費用は少ないので、その増減には目をつぶっていた
先進国株式ですと、以前は信託報酬が0.5〜0.8%の水準である一方で、諸費用は0.1〜0.2%くらいなので、相対的に信託報酬よりも軽微でした。
よって諸費用の変動までフォローするよりも、信託報酬の低減の動きをしっかりと追うことをWATANKOは重視していました。
なかには信託報酬が最安値であっても諸費用があまりに高いケースもあり、その時は実質コストを基準として低コストな商品選びをしてきましたが、通常は信託報酬を用いて商品選びをしてきました。信託報酬の最安値商品を追いかけるだけでも手間がかかります。
■信託報酬の低減で諸費用の負担も気になってくる
しかしながら、インデックス投信の低コスト競争の結果、近年は信託報酬の最安値ゾーンが0.1~0.2%の状況となって来たので、諸費用の存在も段々と無視できなくなってきています。
それを踏まえると、低コスト商品選びにおける実質コスト(信託報酬+諸費用)の重要性が以前よりも高まってきているのではないでしょうか。
WATANKOは変動があるとはいえ実質コストをもって商品選びをすべきではないかと考え始めています。
幸いにも最近は熱心かつ著名なインデックス投資ブロガーの方々が実質コストを算定した商品比較を記事としてあげていただいています。かの方々の記事はとても参考になります。そのうちひとつを追って紹介します。
ありがたや。ありかがたや。
■運用会社から見た場合、もっと実質コストをアピールしても良いのではないか
さて運用会社からみた場合はどうでしょうか。
インデックス投信の信託報酬の低減競争は、ニッセイの<購入・換金手数料なし>シリーズ(以下、ニッセイ)がリードをとり、eMAXIS Slimシリーズ(以下Slim)がこれに追随しています。なお、たわらノーロードシリーズ(以下、たわら)他はこれについていけず現在、白旗状態です。
一方で実質コストで見てみると、少し様相は変わります。
先進国株式クラスを事例としてとりあげます。
参照記事
梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)
【先進国株式】低コストインデックスファンド徹底比較 2018年6月末
相互リンクいただいている著名ブロガー、水瀬ケンイチさんの上記記事を参照ください。
信託報酬ではニッセイとSlimが同率で並びますが、実質コストで比較するとSlimがニッセイよりもはるかに低コストです。さらにたわらもまた信託報酬はニッセイよりも大きいものの、実質コストでは逆転してニッセイを下回ります。
私が三菱UFJ国際投信の担当であれば、HPやセミナーで「投信のコストは実質コストが大事。実質コストで比べればSlimはニッセイを凌駕しています。本当の低コスト単独No.1はSlim」と大いにアピールするでしょう。
私がアセットマネジメントOneの担当であれば、HPやセミナーで「投信のコストは実質コストが大事。配当込みインデックス連動の商品の中で(←何気にこれも重要)実質コストでくらべれば、たわらはニッセイよりも低コストです。」と大いにアピールするでしょう。
運用会社にとっては信託報酬で最安値でなくとも、実質コストが最安値であるならば、「実質的な最安値は当社の商品です」ともっとアピールしても良いのではないでしょうか。
もちろん年度が変わって実質コストもまた変動し、最安値を謳えなくなった時は、そういったアピールを取り下げるほかありませんが。
そして毎年、「実質コスト最安値」とアピールするためには、諸費用の低減化にむけた努力を続けることが重要です。←ここが一番大事なところです。
(あとがきにかえて)
なお本稿はやはり相互リンクいただいているなるたくさんのブログ記事にインスパイアされて書きましたことを申し添えて〆とさせていただきます。
関連記事
低コストの投資信託で資産形成 | LoLo Investors
今も「たわらノーロード先進国株式」を買い続ける理由。
なるたくさん!参考になりました。ありがとうございます。
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