(続)NISAの運用の軌跡は長期投資の縮図
(NISAも長期投資、分散投資の一部です。)
前回、NISAの2014年の非課税枠が今年12月末をもって満了となりますので、来年1月以降の取り扱いを決めるにあたって、過去およそ5か年の振り返りを記事にしました。
では2014年の非課税枠をロールオーバーするのか否か。
■NISAの特徴(おさらい)
NISAは5年間の適用期間中において譲渡益や配当金が発生した場合、非課税となる制度です。つまり確定リターンについては税金の控除なしに丸々懐に入ります。
しかし一方で、損失が発生しても確定申告において、その他の口座にて生じた損益との通算はできません。NISA口座で損をしても、他の所得と相殺ができず、他の所得全額に対して税金が課せられます。
つまりNISAは儲けが出たときは、通常の特別口座/一般口座による取引よりも更に儲かり、損が出たときには、更に損をするという仕組みです。
NISAは採用すれば100%メリットがあるスキームというわけではありません。利益も損失もより拡大するスキームというわけです。
さらにNISAは非課税期間が5年と制限されています。WATANKOは「損益通算ができない」ことと「非課税期間が5か年」の2つが並立していることこそがNISAの最大のデメリットと考えます。
もしも非課税期間の制限が撤廃されれば、評価損を抱えている間は売却を避け、利益がでる時期まで待つことによって、損益通算ができないデメリットを回避できるからです。
なお以前、個人投資家の中には、特に損益通算ができないことにナーバスになり、非課税期間中であってもそこそこ利益が出ていれば、期間満了を待たずに売却、利益確定する方が散見されました。
相場が上昇しており、そこそこの利益が出たのであって、その後も保有していれば更に利益が出た可能性があったかもしれませんが、いわゆる行動心理学の「損失回避の法則」が働いたのか、さっさと手仕舞いするその様は、さながら短期投資家のような鮮やかさでありました。(褒めているのか、そうでないのかは読み手の皆さんの想像にお任せします。)
■NISAは資産運用全体の中の一部
WATANKOの資産運用のスタイルは長期投資、分散投資であります。NISAのスキームはそれに完全とはいえませんが、ある程度は合致しています。
ですからWATANKOは資産運用の一部にNISAを適用しました。
長期投資に関しては、2008年~2027年の20年間の長期投資の期間中にNISAの5年+ロールオーバー5年がしっかりと合致しています。分散投資とは地域、アセットクラス、投資期間の分散を指しますが、NISAは投資期間の分散(一般NISAで5か年、WATANKOは用いていませんが、つみたてNISAはなんと20年です。)という点において当てはまります。
そしてここからがミソなのですが、WATANKOは長期投資、分散投資を採用している以上、自分の運用成績において常勝・全勝を狙っているわけではありません。
購入した商品が全て利益を出している。投資期間中はいつでも評価益を達成している。
投資したアセットクラスの全ての保有商品が一定の目標を達成する。
このようなことは最初から望んではいません。
長期投資、分散投資の結果、購入商品群の成績は8勝2敗、7勝3敗、6勝4敗かもしれません。しかし途中の成績がどうであれ、一部の商品がどうであれ、最終的にトータルでみて目標を達成できていれば、WATANKOの資産運用はOKであります。
NISAを適用した分の運用成績も同様です。NISAの最終的な損益については年ごとにプラスとマイナスがあって混在するであろうことは当初から覚悟の上です。
そこそこの利益が出るところで売却することは、一見こじっかりした堅実な行動に見えますが、長期投資、分散投資で運用するWATANKOからみれば、なんとももったいなく見えます。
例えば前回の記事で紹介したWATANKOのNISAの2014年枠の損益推移をみれば、2015年は下落するも、2016年から2017年にかけては上昇に転じています。ここでもし2016年の早いうちに利益がでるからといって売却したとすれば、その後の更なる増益を享受するおことはできなかったでしょう。
■NISA枠、十番勝負
NISAの非課税枠は5年間、そして各年でロールオーバーがさらに5年間設定されます。
ロールオーバー時点で時価が新たに簿価(取得価額)になるため、ロールオーバーは新しい簿価からスタートした新規扱いとなるでしょう。
つまりNISAは5年を期間とする運用の勝負が十番あるわけです。
①2014年~2018年(2014年枠)
②2015年~2019年(2015年枠)
③2016年~2020年(2016年枠)
④2017年~2021年(2017年枠)
⑤2018年~2022年(2018年枠)
⑥2019年~2023年(2014年枠のロールオーバー)
⑦2020年~2024年(2015年枠のロールオーバー)
⑧2021年~2025年(2016年枠のロールオーバー)
⑨2022年~2026年(2017年枠のロールオーバー)
⑩2023年~2027年(2018年枠のロールオーバー)
①から⑩の十番勝負である程度の勝ち(利益)を拾うことができれば十分だと考えています。
なおあえて皮算用を付記すれば、どうやら①は良い成績を残せそうです。②も相場が前年よりも低迷した際に安く商品購入しているから前年同様に期待できそうです。これで2勝がすでに計算できるといえるでしょうか。
■まとめ
繰り返しますが、NISA口座でも特別口座/一般口座でも、WATANKOが実践しているのは長期投資、分散投資であります。したがいNISAだけに「損失回避の法則」に囚われることはありません。
もしもNISA枠で失敗した(トータルで損失しか出なかった)としても、それが資産運用の“C'est la vie!”であります。
【結論】2014年の非課税枠はロールオーバーします。
(あとがきにかえて)
妻ミサト「私たちの結婚生活は何本勝負になっているのかしら?」
WATANKO「潔く1本勝負ということでいかがでしょうか。」
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