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2018年10月23日 (火)

華麗なる法人成りを考える際の現実的な視点

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(法人成りは慎重に)

個人投資家諸氏の中には自分が行っている副業を個人事業から法人へと転換し、その経済面のメリットを享受しようと考える方、そして実行に移す方をWeb上でもリアルでもみかけることがあります。いわゆる法人成りであります。

自営業においてのそれは、商売が一定規模以上になってきたときには至極当然の発想であり、行動でありましょう。

WATANKOはその昔、アパート経営を始めた時に、アパート建築・仲介会社から法人成りを勧められました。アパート経営の売上と給与所得をあわせて、年収が20百万円程度を越える場合、法人成りした方がオトクとのことです。

はたしてWATANKOのようなサラリーマン兼業不動産投資家にとって法人成りは妥当な選択なのでしょうか。

■法人成りのメリットの現実的な視点

法人成りのメリットとそれに対するWATANKOがみた現実的な視点は次のとおりです。

「一定額の所得以上であれば、税率は個人よりも法人の方が低いです。」

「家族を役員にして所得を分散させ、累進課税率を引き下げます。」

⇒これは税務的にはそのとおりですが、金額的に十分なメリットになり得るためにはそれなりの所得規模があることが必要です。後述しますが、法人化にともなう維持コストの発生をカバーするとどこまで手残りの利益があがるのか。

「個人では認められない経費も法人なら認められます。」

「さらなる節税方法として保険を購入して利益圧縮できます。」

⇒自家用車の減価償却費も計上できることにはグッときます。しかし冷静になればこれは税金分がかからないという話であり、出費自体は個人も法人も同じです。費用計上できるからといって、浮いた税金分以上に無駄な出費自体を増やしてしまっては元も子もありません。また個人事業主であっても経費での落とし様は色々とあり、法人の場合との差もどれだけあるのかについては一概には言えません。

「欠損金がでれば繰り越しして、後年の利益とぶつけて節税できます。」

⇒赤字が出ることを前提としたメリットが果たしてメリットと言えるのでしょうか。これは赤字に対する税制面の救済であり、赤字自体を丸ごと補填するものではありません。セーフティネットのようなものと勘違いしているとしたら危険です。

「法人なので信用力があがります。」

「債務に関して有限責任にできます。」

⇒個人事業主が法人成りした会社に対して、その個人以上の与信など付きようがありません。借り入れをしようとすれば、個人保証を求められるケースが多いのではないでしょうか。その意味からすればこれらはほとんど幻想にすぎません。

■不自由で手間がかかる点を覚悟すべき

一方で法人成りに対するデメリットもあります。

「赤字でも税金の支払いが発生します。」

「設立費用が掛かることに加えて毎年の決算、税務などの事務コストが増えます。」

上記はよく指摘される内容ですが、現実的な視点からみれば、ことはそう簡単ではありません。

1.スキームが複雑化

法人形態を導入することで、自分の所有不動産に関わるスキームが複雑になり、所有不動産の将来のマネジメントに制約をうけることがあります。

将来、子どもなど後継者が法人や不動産を引き継ぐ時に、このスキーム含めてきちんとできるのか?個人の死後、後継者はひょっとしたら法人の清算や不動産の売却を行うやもしれません。そのときに複雑なスキームを残しておくと恨まれそうです。

2.都度、専門家の費用がかかる

何か追加アクションを起こそうとするたびに、専門家に依頼することになり、諸経費が発生します。あわせて手間暇もかかってきます。

こういった費用は法人成りで得た節税分を結構相殺してしまうやもしれません。

3.法人の資産を勝手に利用できない

法人成りによって、法人名義の現預金がある程度たまる仕組みとなります。法人名義のこの現預金を使って、個人が自分の名義で勝手に別途資産を買うわけにはいきません。

その場合、かたいことをいえば法人と個人の間で金銭貸借の契約を交わし、個人は法人に一定の金利を支払う必要があります。また返還をしないならば、永久に契約の更新が必要です。

■まとめ

上記1~3の問題は、個人が法人経営に余裕時間のかなりを割いて取り組み、かつそれ自体にやる気をもって取り組み、十分なシミュレーションの上に実行すれば、最終的には個人事業よりも経済的な便益も得られるでしょう。

自営業の方であれば法人成りのメリットを徹底活用すべく、こうして知力と体力を投入することは十分可能かもしれません

しかしながら、サラリーマンが兼業の形態として、単に節税のために気軽に法人成りを実行することには慎重になるべきです。当初思いもしていなかった手間や費用負担が発生する、複雑かつ制約があるスキームのために資産利用や法人の移管がとても大変となる、といった現実的なデメリットが生じる可能性を忘れてはなりません。

(あとがきにかえて)

本記事では専門的な税務アドバイスととられかねないように、税制に関する具体的な数値には言及していません。税制面の詳細については関係官庁・自治体やしかるべき専門家に確認いただきますようお願い致します。

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