日産はトップの不正はさておき、車好きとしてはでてくるモデルで評価します
(ゴーンよりも車づくり)
日産自動車のカルロス・ゴーン会長が金融商品取引法違反の容疑で一昨日逮捕されました。師走を前にしたこのビックニュースに多くの人々と同様、WATANKOも釘付けになりました。一夜明けた昨日もまたメディアを賑わし続けていました。
■やっ(ちまっ)たぜ!日産
ゴーン会長と代表取締役のグレッグ・ケリーがやらかしたことについては以下のとおりです。
日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:西川 廣人)は、内部通報を受けて、数カ月間にわたり、当社代表取締役会長カルロス・ゴーン及び代表取締役グレッグ・ケリーを巡る不正行為について内部調査を行ってまいりました。 その結果、両名は、開示されるカルロス・ゴーンの報酬額を少なくするため、長年にわたり、実際の報酬額よりも減額した金額を有価証券報告書に記載していたことが判明いたしました。 そのほか、カルロス・ゴーンについては、当社の資金を私的に支出するなどの複数の重大な不正行為が認められ、グレッグ・ケリーがそれらに深く関与していることも判明しております。
(日産自動車のHPから抜粋)
この内容からさらにこの先、どんな詳細が明らかになっていくのか。今回の犯罪の背景・真因は何なのか。今後の日産の経営ひいてはルノー、三菱のアライアンスはどうなってしまうのか。日経ビジネスや東洋経済などがこれらを題材として特集記事を掲載するので、ここで感想や憶測を書くことは些末でちっぽけですので割愛します。(それでも驚きを隠せずに思わずTwitterで連投していまいましたが。)
いずれにしても偉大なる企業経営者の中には晩節を汚した者がいますが、カルロス・ゴーンもまたそのリストに名前を連ねることになったわけです。
■日産のラインナップをみてみる
日産の今後の新車販売はどうなるのか。会社のイメージダウンは避けられないとしても、それは自動車自体の商品力とはまた別であります。
しかしながらゴーン会長の不正とは別に、日産の現行モデルのラインナップには課題があげられます。
以下は現在国内で販売されている乗用車(除くEV,商用車)の現行モデルの発売開始時期と経過年月です。
現在、16モデルほどあります。昔にくらべればだいぶ減ったかなという印象です。(よくみたらラティオがなくなっていた・・・。)
(1)モデルサイクルが伸びすぎている
国産車のモデルサイクルですが、かつては2年経過時のマイナーチェンジをはさんで4年おきにフルモデルチェンジが行われてきました。その後、あまりに煩雑なので全般的に伸びる傾向がでてきましたが、それでも各メーカーともメイン車種となればフルモデルチェンジのサイクルは6年くらいが一般的であります。
ところが上記を見ますと日産の現行16モデルのうち、9モデルがすでに6年を超えており、そのうち6モデルが8年を経過、モデルとしてはあきらかに古くなっています。
8年超の6モデルのうち、半分パイクカーのジューク、台数が出ないスポーツカーのGT-RとフェアレディZは致し方ないとしても、台数が見込めるキューブ、高価な看板車種であるエルグランド、フーガが8年以上も放置されているとは、なんとも古色蒼然としたラインナップであります。
モデルが古いということは、燃費向上を実現した新しいドライブトレーンや安全装備、自動運転技術など最新のスペックとデザインを持ち得ておらず、他社の最新モデルと比べて商品力が劣後していることになります。
(2)モデル構成が市場にマッチしていない
現在の流行は大小さまざまなサイズのSUVですが、日産にはミドルサイズでモデルサイクルがすでに4年を超えたエクストレイルしかありません。
その一方で昔ながらのセダンがシーマ、フーガ、スカイライン、ティアナ、シルフィの5車種と3分の1近くを占めています。
現在のモデル構成は明らかに市場にマッチしていません。
これらモデルサイクルの伸びすぎによる商品力の低下とモデル構成が市場にマッチしていなことから販売は落ち込み、いまや軽自動車・登録車合わせた販売台数としては国内シェア5位となっています。
逆の見方をすればそれ故にモデル数が16まで整理が進んできたのでしょう。そして売れないから更に車種が整理される、とう悪循環が進みやしませんでしょうか。
なかには「日産にはEVがあるから大丈夫!」という意見もあるかもしれせんが、現在のリーフとノートe-POWERだけで必要台数を稼ぎ切ることができません。販売の土台となるのは価格面も考慮に入れるとやはり内燃機関モデルということになります。
それなのにこのお寒い状況では新車販売のジリ貧が心配されることでしょう。
■これから出てくるモデルで評価
日産は現在、ゴーン会長の不正という「やっ(ちまっ)たぜ!日産」状態にありますが、ここでWATANKOはひとりの消費者、そして車好きとして表明するならば、あくまで日産がこれからだしてくるニューモデルの良し悪しでもって、同社の自動車メーカーとして評価してきたいと考えます。
北米と中国で台数を伸ばすことに専念するあまり、半ば放置状態になっていた日本国内の市場に対して経営リソースをもっと割り当てて、現在の市場にマッチした新しいモデルをコンスタントに投入していくことが求められます。
例えば、
★ルノーとの提携を活かし企業イメージ刷新のマーケティングを兼ねてアルピーヌとシャシーを共有したスポーツモデル(フェアレディZのフルモデルチェンジかシルビアの復活でもよいです)を開発する。(トヨタとBMW、マツダとフィアットだってやっています。)
★次期ルノー・ルーテシア、マーチ、三菱ミラージュの3ブランドで展開する骨太なBセグメント・コンパクトを開発する。当然EVバージョンもありです。
★今流行のSUVについても3社の開発リソースと、それぞれが持っているブランドの活用によって新しいモデルの投入はいくらでも企画できるでしょう。
新興国市場向けの無味乾燥としたモデルではなく、車好きを唸らせる魅力あるモデルの登場を待つ者はWATANKOだけではありますまい。日本にも、そしてフランスにもたくさんいると信じています。
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