生活防衛資金で守るのは家族の生活ですか?それとも投資の元本ですか?【Refrain2018】
(多くの皆さんとは逆の発想であり、ご意見お待ち申し上げます。)
生活防衛資金とは提唱者の木村剛氏の言葉でいえば「世の中で何が起きようが、会社が倒産しようが、クビになろうが、絶対に自分と家族の生活を守るための資金」ということです。
著名なインデックス投資ブロガーであり、相互リンクさせていただいている吊られた男さんが、この生活防衛資金と投資資金の取り崩し優先順位づけについて記事を書かれています。
吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)
生活防衛資金の位置づけや取り扱いは、意外と難しいぞ
いざ自分や家族の身に不測の事態が生じて、一定のまとまった金額が必要になった場合、資金の取り崩し順序として生活防衛資金と投資資金のどちらが先かというものです。
ひょっとして少なくない人が、いや多くの人が「投資資金は温存し、生活防衛資金から取り崩す」と考えてはいませんでしょうか。
しかし元本保証がないリスクを受け入れて投資に供することができる資金(=一定の損失を受け入れることを認容した資金)を温存して、生活維持の最後の砦ともいうべき生活防衛資金から先に取り崩すというのは、よく考えると生活防衛資金の本来の役割に反してはいませんでしょうか。
個人の家計において生活防衛資金を貯めること自体は、それ以外の余裕資金でもって投資をするしないにかかわらず重要な考え方です。
もしも不測の事態に陥った場合、生活防衛資金とは投資資金よりも先に取り崩すべき資金であるならば、「生活防衛資金を先ず確保しましょう」という主旨の裏に隠されたメッセージは「世の中で何が起きようが、会社が倒産しようが、クビになろうが、『投資』をやめずに継続するために生活防衛資金を確保しよう」ということになりはしませんでしょうか。
■もっと露骨に言いましょう
不測の事態とは、例えば病気や失業により家計が逼迫して現金が必要となった事態をさすとしましょう。その際にあいにくと災害や景況悪化などによって相場もまた下落し、投下資金も元本割れを引き起こしている状態であるとしましょう。
そのような時に生活防衛のために金融商品を売却すれば損が確定する。そんな展開を回避したいという心理がここには潜んでいるかもしれません。
繰り返しますが生活防衛資金を確保するという考え方自体は非常に堅実であります。
その生活防衛資金とは投資資金よりも家計上、維持優先度が高い資金です。そうであるならば不測の事態がおきた場合には先ず投資資金から取り崩すべきでしょう。
なにせ投資資金のもとになっているのは余裕資金であるわけですから。
この取り崩しがあまりに多額に及び、いよいよ投資資金が枯渇した場合に、最後の砦としての生活防衛資金があるのではないでしょうか。この考え方の方が生活防衛資金の理念に沿っています。
生活防衛資金を確保されている皆さん。いかがでしょうか?
■WATANKOは生活防衛資金ゼロ
人それぞれなので、別に真似してくださいという気はまったくありませんが、WATANKOの場合、以前から記事に書いていますとおり生活防衛資金はゼロです。
そのかわりに不測の資金需要が生じた際には、目前にある投資待機資金委に加えて投資商品を必要分だけ躊躇なく解約して資金需要に充てることにしています。なにせ生活防衛資金がゼロですから選択の余地はありません。
もちろん相場状況によっては売却損が伴うことはあり得ますが、仕方ありません。もともとリスク許容度の範囲内で投資を行っていれば認容できるでしょう。
それに生活防衛資金分も投資にまわしたフルインベストメント状態により投資効率MAXであったことで理論上、最大のリターンを追求できています。
後年の確定申告における損益通算でいくばくかの補填の可能性が期待できます。そしてそもそも一度に投資資金の全額を取り崩すような事態にかならずしもなるとは限りません。取り崩し額は限定的、ゆえに損失もまたしかりというのが現実的な展開予想ではないでしょうか。
最後にもう一度。
生活防衛資金で守るのは家族の生活ですか?それとも投資の元本ですか?
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世間で唱えられている投資の技法のいくつかに対して、WATANKOは自分なりにその解釈を進めた結果、自分としては採用することが適当ではないという結論にたどり着くことがあります。
コア・サテライト投資がそのひとつであり、この生活防衛資金もまたそのひとつであります。
投資に常勝、全勝はありえません。
資金が必要になった時に商品を売却し、損失が確定する。
そういった事態を甘受する覚悟は持つべきでありましょう。
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» 生活防衛資金はけっこう使ってるので常に積立状態です [ほったらかし投資のまにまに]
生活防衛資金の我が家の考え方を紹介します。
生活防衛資金とはリストラで失業したり、ケガや病気で入院した場合のように、普段の生活にはない急な支出にたいしての生活費のことです。
家族構成や必要と考えている金額など、生活防衛資金については10人いれば10人の解釈がありますので、我が家の現時点における生活防衛資金のことを書いていきます。
WATANKOさんの記事生活防衛資金...... [続きを読む]
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生活防衛資金に対しる解釈、大変興味深く読ませていただきました^^;
目からうろこの考え方で、読んでいて楽しかったのです。
私は、生活防衛資金(生活資金、無リスク資産などなど)は、年金受給開始(70歳予定なのであと10年)までのつなぎ資金であると位置づけて数十年にわたり蓄えてきました。
それに加えて、リスク資産(無リスク資産もリスクはあるのですが)を、ポートフォリオに従い、積み立ててきました。
今はセミリタイヤして、子供も大人になり、妻も働いていますので、
結果的に、家族を守るはずであった生活防衛資金と言われるものは、いつの間にか自分で自由にできる資金となりました。
生活防衛資金は、年齢とともに増えてきていますが、子供が独立・妻の自立・自分の老化及び支出の急減とともに、使う時の額や使う可能性に関しては減ってきています。
このままだと、ほとんど使わないかもしれません。
その状態ですので、この先、不測の事態の時は、生活防衛資金(無リスク資産)から使う予定です。
投稿: いろいろでセカンドライフ | 2018年11月 7日 (水) 06時53分
リンク先も確認しました。
ごもっともな話なのですが、なんだか違和感。
私の考える、生活防衛資金は、
「震災など不測の事態により、
インフラも故障して、ネットも使えず、
投資資金の切崩しさえ出来ない状況で、
とりあえず、近くの地銀なりに駆け込んで、
通帳と印鑑(もしくは本人証明)さえあれば(出来れば)、
とりあえずの生活資金を確保できる。」
という立ち位置にあります。
なので、
「投資資金の切崩しさえ出来ない状況」
にまで至らない有事の際は、
「生活防衛資金」を除いた無リスク資産とリスク資産
からバランスを崩さないよう、取り崩せばよいと
思うのですがいかがでしょう?
投稿: パク之助 | 2018年11月 7日 (水) 10時52分
「強者の論理の様な気がします。」
これから資産運用を始めようとしている人。始めたけどよく分からない。
若くて、給料も多くなく、少ない給料から積立投資の為の手引書だと思います。
資産運用とは、長期継続、定額積立、バイアンドホールド、リスク許容度理解。
平均と時間の力を味方につける為の、仕組みづくりだから、生活防衛資産なのです。
更に言えば、作り上げた仕組みを壊さない為の防衛なのです。
一方、既に経験を積んで、資産形成期を済ませて、潤沢な保有資産を持っている人。
人的な資産も豊富で、不労所得(配当金 家賃)がある人、生活防衛を考える必要はありません。
投稿: オークX32 | 2018年11月 7日 (水) 14時29分
私は生活防衛資金で投資をする派です。
生活防衛資金は投資活動も含めた日常生活を賄うために用意しています。
投資は私にとって特別なことではなく日常なんですよね。
投稿: AKI | 2018年11月 7日 (水) 19時33分
いろいろでセカンドライフさん
コメントありがとうございます。
また貴ブログ記事も拝見しました。当記事のご紹介ありがとうございます。
社会人になるまえから生活防衛資金を貯め、結婚前には形成完了し、以来60歳まで恙なく維持してきたその実績に感服します。
その資金のいくばくかは、これから好きなことに使ってもよいのでしょう。
投稿: WATANKO | 2018年11月 8日 (木) 23時23分
パク之助さん
コメントありがとうございます。
>私の考える、生活防衛資金は、「震災など不測の事態により、インフラも故障して、ネットも使えず、投資資金の切崩しさえ出来ない状況で、とりあえず、近くの地銀なりに駆け込んで、通帳と印鑑(もしくは本人証明)さえあれば(出来れば)、とりあえずの生活資金を確保できる。」という立ち位置にあります。
生活防衛資金の定義は人それぞれなのですが、それでもあえていえば多くの人が考える生活防衛資金とは数カ月~1、2年の生活費という規模なのであるのに対して、上記はだいぶ少ない金額であるように思えます。
>「投資資金の切崩しさえ出来ない状況」にまで至らない有事の際は、「生活防衛資金」を除いた無リスク資産とリスク資産からバランスを崩さないよう、取り崩せばよいと思うのですがいかがでしょう?
上記の文から解釈するに「投資資金」と「生活防衛資金」は別とわかりますが、「投資資金」と「無リスク資産とリスク資産」の関係がよくわかりません。
投稿: WATANKO | 2018年11月 8日 (木) 23時40分
オークX32さん
コメントありがとうございます。
>これから資産運用を始めようとしている人。始めたけどよく分からない。
若くて、給料も多くなく、少ない給料から積立投資の為の手引書だと思います。
木村剛氏の著書のことを指しているのでしょうか。
>資産運用とは、長期継続、定額積立、バイアンドホールド、リスク許容度理解。
平均と時間の力を味方につける為の、仕組みづくりだから、生活防衛資産なのです。
更に言えば、作り上げた仕組みを壊さない為の防衛なのです。
上記から解釈するに生活防衛資金とは個人の投資のスキームであり、元本を守るための
技法であるというわけですね。これは木村氏の著書に書かれた「生活防衛資金」なるものの詳しい解説ですか。それともオークX32にとって腹落ちしている「生活防衛資金」の解釈ですか。
>一方、既に経験を積んで、資産形成期を済ませて、潤沢な保有資産を持っている人。
人的な資産も豊富で、不労所得(配当金 家賃)がある人、生活防衛を考える必要はありません。
当ブログの運営者を指しているのであれば、一言付け加えさせていただくとすれば、当人はインデックス投資をスタートさせた(資産形成を始めた)10年前から一貫して生活防衛資金はゼロという考え方をしています。資産形成がある程度出来上がってから唱え始めたわけではないのです。
とはいえ、「強者の論理の様な気がします。」とのご指摘のいわんとするところもなんとなくわかります。驕りがあるかもしれませんので自戒させていただきます。
ありがとうございました。
投稿: WATANKO | 2018年11月 8日 (木) 23時53分
AKIさん
コメントありがとうございます。
>私は生活防衛資金で投資をする派です。
生活防衛資金は投資活動も含めた日常生活を賄うために用意しています。
投資は私にとって特別なことではなく日常なんですよね。
それでは有事の際には生活防衛資金のうちの無リスク資産分と、リスク資産分(投資にまわしている分)のどちらから取り崩すのでしょうか?
↑これはつまるところ本記事の問いかけと同じ質問です。
投稿: WATANKO | 2018年11月 8日 (木) 23時58分
問一 木村剛氏の著書を2001年頃に購入し読みました。
かなり昔の事なので、細かい所まで覚えていませんが、
「急がずゆっくりと続ける事でお金持ちになろう。」
共感した事は覚えています。
問ニ 私の娘夫婦が、おりまして、私が趣味で資産運用を
やっている事を知っています。idecoの事、保険の事、
マイカーの事、持ち家の事、色々相談を受けます。
基本的には私の経験を話します。その際、書籍の情報
資産運用のブログ記事(含むWATANKOさん)等を用い
て具体的に助言します。オークの腑落している部分を
伝えます。その際は、出来るだけ仕組みを壊すな。
でも、それに縛られるな。必要なら壊す事も必要だ。
夫婦で相談して決めなさい。と伝えています。オーク
投稿: オークX32 | 2018年11月 9日 (金) 08時36分
>それでは有事の際には生活防衛資金のうちの無リスク資産分と、リスク資産分(投資にまわしている分)のどちらから取り崩すのでしょうか?
私の場合は、
・生活防衛資金
・投資資産(リスク資産、無リスク資産)
の2つに分かれていまして、有事の際には生活防衛資金を取り崩します。
有事の際にも生活防衛資金の一部は、積立投資として投資資産に回ります。
有事の際にも投資活動を含めた普段どおりの生活ができるよう生活防衛資金を用意しています。
投稿: AKI | 2018年11月 9日 (金) 19時07分
オークX32さん
ご回答ありがとうございます。
>書籍の情報 資産運用のブログ記事(含むWATANKOさん)等を用いて具体的に助言します。
このような市井の個人投資家のブログ記事でも参考になれば幸いです。
投稿: WATANKO | 2018年11月 9日 (金) 23時05分
AKIさん
ご回答ありがとうございます。
うーん、何だかなんでもアリなように思えてきました・笑
ともかくもリスクの取りすぎにご注意ください。
投稿: WATANKO | 2018年11月 9日 (金) 23時07分