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2019年1月20日 (日)

パッシブ・ファンド選びの批判記事が全然腹落ちしない件

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(うーん、何か違う。)

10年以上もインデックス投資を続けていると、インデックス投資に対する批判的な記事を見かけることがしばしばあります。WATANKOはそこに自分でも新しい気づきがあることを期待して一生懸命に読むのですが、なかなか期待を満たす記事に出くわすことはありません。

先日もダイヤモンド・オンラインでインデックス投資に対してやや警笛をならすような記事を拝見しました。

関連記事

ダイヤモンド・オンライン
投信も「シンプル・イズ・ベスト」なのか?

■3つの理由に対する見方

つみたてNISAの導入を背景に、パッシブ・ファンド(インデックスファンド)の存在感が高まってきている。パッシブ・ファンドは低コストが特徴的であるが、それだけでパッシブ・ファンドを選んではいけないとのことです。筆者はその理由を3つあげていますが、日本の投資信託の実情について基礎知識程度しか持ち得ていないWATANKOから見てもあまり説得性がある理由にはどれも思えません。

理由1:今後はリターンを獲得するのが非常に難しい市場環境

債券への配分比率が高いパッシブのバランス型ファンドでは、少なくとも当面はリターン面で苦戦することが予想されるのです。コストが安いからといって、このようなパッシブ・ファンドに投資することが賢明な投資と言えるのか、今一度、考える必要があるのではないでしょうか?

⇒今後の金利は上昇するので債券価格は下落する、だから債券比率の高いバランス型ファンドはリターン面では苦戦するということです。しかしながら投資信託の過半は日本又は海外の株式クラスの商品であり、このメインボリュームについて取り上げていないのは全く不十分であります。また個人投資家の多くは自身のポートフォリオの中で株式クラスを中心に据えていることでしょう。その点からみても株式クラスを取り上げていない時点で的外れ感が否めません。

理由2:インデックスの選定はアクティブ・ファンドの選定と同様、難しい

パッシブ・ファンドであっても、ベンチマークとしてのインデックスを何にするのかを選ぶことは大変なのです。例えば、日本株式の場合、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)が一般的なベンチマークですが、日経平均株価は一部上場銘柄の超大手の225銘柄しか含まれていませんし、TOPIXも現時点の大企業の割合が圧倒的に多く、今は小さいがこれから成長する企業のウェイトは多いとは言えません。

⇒インデックスを選ぶことが大変といいますが、それほどひとつのアセットクラスで沢山のインデックスが居並んでいる状況でしょうか。例にあげられている日本株式の場合、メジャーなインデックスとしては日経平均かTOPIX、あとはせいぜいJPX日経400くらいしかありません。それぞれの特徴を理解して、自分が一番腹落ちするインデックスを選ぶことがとても難しすぎる作業でしょうか。日経平均とTOPIXが逆相関にあるならば、迷いのひとつもでてきますが、実際にはインデックスの動きとしてはどちらを選んだとしても天地ほどの差が出てくるわけではないでしょう。

有象無象のテーマのもとに絞りこまれた投資対象から最善のものを選ぶアクティブ投信の方が、その選定においては万倍難しいです。

理由3:実質的には責任者不在!?

パッシブのファンドマネジャーはインデックス通りに運用することが目的であり、高いリターンを獲得することが目的ではない点です。これは、リターンについて責任を持っている人が誰もいない状況とも言えるでしょう。


⇒これは3つの中で一番酷いと感じた理由です。前段は正しく、パッシブのファンドマネジャーはインデックスに連動させることが仕事です。でも後段にある「リターンについて責任を持っている人が誰もいない状況」とは何を言っているのでしょうか。どんな優れたファンドマネジャーとて将来のリターンに「責任」など持てるはずはありません。

責任がとれるというならば目標を下回ったら、その分を穴埋めしてくれるのでしょうか。目標未達に終わったのでそのマネジャーは運用会社内で「責任」をとってクビになることはあるかもしれませんが、運用会社でもファンドマネジャー自身でもどちらでもよいので顧客の棄損した資産の「責任」を取ってくれるのでしょうか。

あるいはもしもこれが「アクティブ投信のファンドマネジャーなら責任『感』をもって仕事をするから選ぶ価値がある」という意味ならばWATANKOは目標が達成できないのであれば、そんな心構えの有る無しは関係ないと言いたいところです。

繰り返しますが結果に責任をとれるファンドマネジャー、アクティブ投信など世界のどこにも存在しません。

「〇〇の方針に沿って投資をするけど、それが有益だと信じるならばお金を託してみてはくれませんか」

せいぜいこんなところです。

以上、パッシブ・ファンド選びについての批判記事が全然腹落ちしない件でありました。

■金融庁のKPIでファンドの評価はどうなるか

取り上げた記事の結びとして、これからは金融庁が投資信託の良し悪しが比較可能となる共通のKPIを公表することに触れています。これによってコストやリスクに見合ったリターンを投資家に提供していないアクティブ投信は淘汰されていくとのことです。

筆者はパッシブ・ファンドの選び方に対してやや批判的ではありましたが、一方現状で沢山蔓延っているアクティブ投信にも警笛を鳴らしています。

これについてはWATANKOもパッシブ、アクティブあわせてどのような比較結果になるのか興味深いです。

(あとがきにかえて)

よくみられる注記ですが、ここでも「本記事中の発言は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属するアライアンス・バーンスタイン株式会社の見解ではありません。」と末尾に記されています。

今回のようなハテナ?記事が書かれたりすることがある以上、所属元にとってこの但し書きはやはり欠かせません。


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