【クルマ記事Refrain2019】車両重量が重い車は、今やほとんど買うに値しません
(車両重量が軽いとこんな風に軽やかです。←大嘘)
良い車の条件として最も大事なことはタイヤがボディの四隅にあること、そして車の運動性能の質を決める最も重要な項目はホイールベースであるということを前々回、前回記事にしました。
良い車にはさらにあと二つ大事な要素があり、今回はそのひとつについて述べます。
自動車の設計とはその多くがトレードオフのせめぎ合いです。つまりはあちらを立てればこちらが立たず。ある性能を追求すれば、別の性能を我慢しなければなりません。
乗り心地を良くしようとすればサスペンションを柔らかくしますが、一方でフニャフニャした挙動になってしまい操縦性がおぼつきません。空気抵抗を少なくしようとしてボディを鋭角にデザインすれば、一方で室内空間が狭くなり、居住性が損なわれます。
しかしながらトレードオフではなく、絶対的に追及してしかるべき項目も少なからずあります。そのひとつが車両重量です。車両重量に関してはトレードオフの面はなく、その数値は軽いほど良いわけであり、重くなれば良い点というのはちょっと見当たりません。
現代の車はだんだんと重くなる傾向にあります。これは、
1.FMCを繰り返す毎に大きく立派にみせようとしてボディが大きくなった。走行性能を高めるためにボディ剛性やシャシーを構成する部品点数が増えた。
2.安全装備、ラグジュアリ装備、そのほか先進装備の付加がすすんで装備品の重量がかさんだ。
といった事情によります。
こうした車両重量の増加に伴う動力性能の低下への対策としてはエンジンの排気量をあげて馬力アップが考えられますが、排気量を上げることによってエンジン重量が重くなりますので車両重量がさらに重くなるわけであり、馬力アップ分が相殺されてしまいます。それを補うためにさらに馬力アップを行えば...以降、車両重量の増加の負のスパイラルに陥ります。
さらに言うまでもありませんが、車両重量が重い車は、
▼発進加速が悪い(思うような加速ができない。またアクセルをつい踏みすぎて燃費が悪化する。)
▼制動距離が長くなる(=止まりにくい車になる。またブレーキに負担がかかり、フェードしやすくなる。)
▼操縦性が悪化する(車両の動きはキビキビではなく鈍重となる。衝突回避性からみてもマイナス)
▼一般的には資材を多く使うのでコストが高くなる。
と、このように安全面、経済面からみて何一つ良いことはありません。
また自動車好きの視点からみても車両重量が重い車は意のままに運転する方向とは真逆になります。ヒラリヒラリとした旋回を楽しむどころか、鈍重でいつも重いものをよっこらしょと動かしている感じです。
WATANKOはこのような車両重量が嵩んだ鈍重な鉄の塊に数百万円も払う気にはなれません。そのような車は今やほとんど産業廃棄物といってもよいくらいです。
WATANKOが日本の道路上でオーナードライバーが日常的にスポーティなドライビングをするために、心地よい軽さを感じるとする基準をあえて指摘するとなれば、経験的にみて車両重量は1,500kgくらいが上限でしょうか。
勿論、現実的には自動毎のクラス分けからして許容される車両重量の範囲というのはあります。メルセデス・ベンツSクラスを車両重量1,200kg未満で製造しろとまではいいません。そのような車種はそのキャラクターにあった走らせ方と車両車重がありますし、同クラスの競合他車よりも車両重量が相対的に少なければ十分合格であります。
先日、「貴方は自分のマイカーのホイールベースの寸法をご存じですか」という問いかけをブログ記事として載せましたが、同様に車両重量もご存じでしょうか。
ちなみにWATANKOのマイカーのうちNDロードスターとミラ・イースはともに、軽量ボディが特徴であります。ロードスターでおよそ1,000kg(参考:フェアレディZ 1,480kg、トヨタ86 1,210kg)、ミラ・イースは650kg(参考:ダイハツ タント920kg、スズキ ワゴンR 730kg)しかありません。
貴方のマイカーの車両重量は同じクラスの他車種と比べて重いか、軽いか。そして(ここから大事)なぜ重いのか。はたまた軽いのか。それが他の要求性能、必要な装備、許容コストとどのようなトレードオフのもとに企画し、設計されているのが探求することです。
メーカーが志低くテキトーに企画・設計・製造され車両重量の嵩んだ車のオーナーとなり、毎日ストレスを感じながら、そしてガソリン代を余分に払いながら走らせつづけているとなれば自動車好きのWATANKOとて、そんな車は手放したくなってきます。
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